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第8章 変わってしまう日常編
【雇用№131】魔族襲撃 後始末編4
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「パパ、難しい顔して何を考えているですか?あっ、次の重症者がいましたよ。」
「ちょっと世界の成り行きについて考えてた。どうしたらいいのかなって?まずはあの人を助けよう。ノエルは引き続き周りを見て、気付いたことを教えてくれ。」
「はい、パパ。バッチリサポートします」
それから僕たちは、何十人もの人達の命を助け、感謝された。中には初めに見た人みたいに助けられない人もいた。幼い子供や女性が多かった。
僕はその時は、手を合わせるだけ合わせて次の人の所に行った。地震や洪水なんかの自然災害にあったことは、これまでに一度もなかったが、きっとこういう光景が至る所にあるのだろう。
ポーションで回復した人が増えてきたためか、徐々に火消しや他の重症者の手当て、瓦礫の除去などし始めている人が多い。
「ふぅー、これで大体全部終わったのかな?」
「パパ、この辺りはひとまずOKですよ。」
「これで街の西側は、OKと。このまま東側を通っていくか、中央通りを戻って行くかだな。」
「そうですね。東側は、チルさんですから少し歩いて怪我人がいなければ中央通りに向かって行ってはどうですか?」
「そうだな。街の人に聞けばそれも分かるかもしれないな。」
「でも、パパ。ポーションのストックはまだあるんですか?かなり使ったと思うのですが。」
「そうだね。またちょっと在庫確認するか。」
異次元空間を出して、ポーションを確認していく。。。
………んっ、無い?
「パパ、ポーションはありましたか?」
「まだあると思ってたんだが、無くなってたよ。袋の中には、1本とタブレットが1錠だけか……。」
「それだと後よくて1名だけですね。ウェルザさんの所に合流しましょう。」
「それがいいか。チルの方に向かっても一名、ウェルザさんの方に向かっても一名だしな。」
何でだろう?生後1日未満の娘に、方向性を指し示してもらっているパパ(ぼく)って一体?
幸い道中に怪我を負っている人は見当たらなかった。こうなると、ポーションが無くなってから、重症者を見るのが怖くて怖くてしょうがなくなってくる。
「ウェルザさん。お疲れ様です。負傷者は、かなりの数がいましたね。お陰でポーションが残り一個の状態です。そちらはどんな感じでしょうか?」
「リュウさんお疲れ様です。こちらも一通り終わった所ですわ。ポーションは全くと言っていいほど手持ちがありませんわね。途中からは、手持ちの包帯とアルコールで消毒と手当てをしてましたよ。」
「そっちもですか。ギリギリ足りたという形ですね。うちって薬草はまだストックありましたっけ?あれば、これからポーションを作ってきますよ。」
「ストックはまだ少しありますよ。もう日も暮れてきましたので一度ファームに戻りましょうか。」
そこへ、ドタバタと人が走ってくる。
「誰かポーション持ってない?重症者がいるので分けて欲しいです。」
走ってきたのは額に汗をつけたチルであった。
「チル、ポーションなら僕が一本持ってるよ。」
「リュウ兄ちゃん。なら、一緒に来て、ガンツさんがガンツさんが大変なの…腕が腕が取れちゃってるの。早くしないと…………。」
泣きそうになって、チルが口早に報告してくる。
「えっ、ガンツさんが。チル場所を教えて、僕も行く。」
「ウェルザさんとモニカちゃんはウリと一緒にファームに戻っていて、念のため支給ポーションを作っておいてほしい。」
「分かりましたわ。」
「うん」
「ぷぎゅ」
僕とチルは『疾走』の呪文を唱えて走り出す。
ガンツさんは、服屋の前で倒れていた。左肘より少し上から手が無くなっている。他にも身体全身に傷があり、いくつか、穴まで空いており、ガンツさんの場所には血溜まりが出来ている。
「ガンツさん、ガンツさん大丈夫ですか。これタブレット型のポーションです。口に含んでて下さい。」
壁に背を預けて座っているガンツさん。生気が無くなって顔色が青くなっている。無理やり口を人差し指と親指でこじ開け、固形ポーションを放り込む。液体のポーションは、傷口の損傷の激しい部分から、かけていく。
まだ、腕口から血が流れている。このままでは失血多量で死んでしまうんじゃないだろうか。低級のポーションに血液を作る効果はない。お腹や胸の傷は塞いだが、腕の傷までポーションが持たなかった。
「チル、包帯はないか。腕口を縛って、失血を止める」
「ごめん。リュウ兄ちゃん持ってない。私もらってくる。」
チルは、服屋の中に入り込んでいく。
「ガンツさん。しっかりして下さい。お家に帰ったら、素敵な奥さんが待ってますよ。」
「んんーっ、あぁーリュウか。悪いな。デーモン2対を一人で相手してへましちまったわ。」
目が開いてない。どこを見てるか分からない顔で僕の問いにガンツさんが答えてくる。声に元気がない。相当参っている様だ。
僕は服を脱いで、力一杯引きちぎり、切れ端の布で腕の切り口を圧迫して行く。血が止まらない。布が硬くて縛り切れない。早く血を止めないといけないのに。
「ちょっと世界の成り行きについて考えてた。どうしたらいいのかなって?まずはあの人を助けよう。ノエルは引き続き周りを見て、気付いたことを教えてくれ。」
「はい、パパ。バッチリサポートします」
それから僕たちは、何十人もの人達の命を助け、感謝された。中には初めに見た人みたいに助けられない人もいた。幼い子供や女性が多かった。
僕はその時は、手を合わせるだけ合わせて次の人の所に行った。地震や洪水なんかの自然災害にあったことは、これまでに一度もなかったが、きっとこういう光景が至る所にあるのだろう。
ポーションで回復した人が増えてきたためか、徐々に火消しや他の重症者の手当て、瓦礫の除去などし始めている人が多い。
「ふぅー、これで大体全部終わったのかな?」
「パパ、この辺りはひとまずOKですよ。」
「これで街の西側は、OKと。このまま東側を通っていくか、中央通りを戻って行くかだな。」
「そうですね。東側は、チルさんですから少し歩いて怪我人がいなければ中央通りに向かって行ってはどうですか?」
「そうだな。街の人に聞けばそれも分かるかもしれないな。」
「でも、パパ。ポーションのストックはまだあるんですか?かなり使ったと思うのですが。」
「そうだね。またちょっと在庫確認するか。」
異次元空間を出して、ポーションを確認していく。。。
………んっ、無い?
「パパ、ポーションはありましたか?」
「まだあると思ってたんだが、無くなってたよ。袋の中には、1本とタブレットが1錠だけか……。」
「それだと後よくて1名だけですね。ウェルザさんの所に合流しましょう。」
「それがいいか。チルの方に向かっても一名、ウェルザさんの方に向かっても一名だしな。」
何でだろう?生後1日未満の娘に、方向性を指し示してもらっているパパ(ぼく)って一体?
幸い道中に怪我を負っている人は見当たらなかった。こうなると、ポーションが無くなってから、重症者を見るのが怖くて怖くてしょうがなくなってくる。
「ウェルザさん。お疲れ様です。負傷者は、かなりの数がいましたね。お陰でポーションが残り一個の状態です。そちらはどんな感じでしょうか?」
「リュウさんお疲れ様です。こちらも一通り終わった所ですわ。ポーションは全くと言っていいほど手持ちがありませんわね。途中からは、手持ちの包帯とアルコールで消毒と手当てをしてましたよ。」
「そっちもですか。ギリギリ足りたという形ですね。うちって薬草はまだストックありましたっけ?あれば、これからポーションを作ってきますよ。」
「ストックはまだ少しありますよ。もう日も暮れてきましたので一度ファームに戻りましょうか。」
そこへ、ドタバタと人が走ってくる。
「誰かポーション持ってない?重症者がいるので分けて欲しいです。」
走ってきたのは額に汗をつけたチルであった。
「チル、ポーションなら僕が一本持ってるよ。」
「リュウ兄ちゃん。なら、一緒に来て、ガンツさんがガンツさんが大変なの…腕が腕が取れちゃってるの。早くしないと…………。」
泣きそうになって、チルが口早に報告してくる。
「えっ、ガンツさんが。チル場所を教えて、僕も行く。」
「ウェルザさんとモニカちゃんはウリと一緒にファームに戻っていて、念のため支給ポーションを作っておいてほしい。」
「分かりましたわ。」
「うん」
「ぷぎゅ」
僕とチルは『疾走』の呪文を唱えて走り出す。
ガンツさんは、服屋の前で倒れていた。左肘より少し上から手が無くなっている。他にも身体全身に傷があり、いくつか、穴まで空いており、ガンツさんの場所には血溜まりが出来ている。
「ガンツさん、ガンツさん大丈夫ですか。これタブレット型のポーションです。口に含んでて下さい。」
壁に背を預けて座っているガンツさん。生気が無くなって顔色が青くなっている。無理やり口を人差し指と親指でこじ開け、固形ポーションを放り込む。液体のポーションは、傷口の損傷の激しい部分から、かけていく。
まだ、腕口から血が流れている。このままでは失血多量で死んでしまうんじゃないだろうか。低級のポーションに血液を作る効果はない。お腹や胸の傷は塞いだが、腕の傷までポーションが持たなかった。
「チル、包帯はないか。腕口を縛って、失血を止める」
「ごめん。リュウ兄ちゃん持ってない。私もらってくる。」
チルは、服屋の中に入り込んでいく。
「ガンツさん。しっかりして下さい。お家に帰ったら、素敵な奥さんが待ってますよ。」
「んんーっ、あぁーリュウか。悪いな。デーモン2対を一人で相手してへましちまったわ。」
目が開いてない。どこを見てるか分からない顔で僕の問いにガンツさんが答えてくる。声に元気がない。相当参っている様だ。
僕は服を脱いで、力一杯引きちぎり、切れ端の布で腕の切り口を圧迫して行く。血が止まらない。布が硬くて縛り切れない。早く血を止めないといけないのに。
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