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いいから聞いてみ?
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祐樹さんに自宅まで送ってもらった翌朝。私が出社すると、唯香さんが鬼の形相で私のデスクまでやって来た。
「ちょっと、真鍋さん。昨日あなたを送って行ったイケメン、本当にあなたの恋人なの?」
唯香さんは挨拶もそこそこに聞いてくる。どうしよう。本当は恋人じゃないって正直に言う?
でも、恋人がいないって言ったら、「じゃあ何であのイケメンはあなたの彼氏だなんて言ったのよ」としつこく追及されそうな気がする。ここは、嘘を吐こう。
「はい。……あの人は、私の恋人です」
私が気まずそうにして答えると、唯香さんは唇を噛み締めてから呟いた。
「……何であんたばっかりイケメンに好かれるのよ……! オシャレもしてないし、話だって面白くない癖に……!」
ああ、これは相当悔しがってるな……。私は、唯香さんを宥めるようにして言った。
「で、でも、唯香さんは島本さんに選ばれたじゃないですか。私ばかり好かれてるなんて事無いですよ」
「ああ、あの人ね……」
唯香さんは、白けた表情で少し離れたデスクにいる島本さんを一瞥した。そして、溜息を吐いて言葉を続ける。
「慎也さん、何だか思ったのと違うのよね。彼があなたの側にいる時は、キラキラして見えたんだけど、いざ彼氏にしてみるとアラが目立つようになって……。昨日だって、慎也さん、仕事でミスをして部長に叱られてたのよ」
そう言われると、島本さんの表情が暗い気がする。まあ、以前島本さんがキラキラして見えたのは、私が島本さんの仕事をフォローしていたからかもしれないけれど。
「……ところで、真鍋さん。あなた、あんなイケメンとどこで知り合ったのよ?」
唯香さんに聞かれて、私は特に考える事も無く答えた。
「私の妹がセッティングしてくれた合コンに参加して出会ったんです。祐樹さん、妹と同じ職場みたいで……」
「ふうん、そう……」
唯香さんはそう呟くと、意味深に笑った。
◆ ◆ ◆
その日の夜、私が自宅に帰ると、リビングで待ち受けていた雛乃が私に飛びついてきた。
「お姉ちゃーん、待ってたよおー! この前は酔っぱらっちゃってお姉ちゃんにも迷惑かけたよね、ごめんねー!!」
「ああ、いいよ、別に。祐樹さんがここまで送って来てくれたから」
私は苦笑して雛乃の頭を撫でる。そして私と雛乃は、リビングで食事をする事にした。雛乃がパスタを作ってくれるらしい。
「そう言えばさ、お姉ちゃん。私が酔っぱらった日、吾妻と何かあった?」
椅子に座ってパスタを食べ始めた雛乃が私に聞いてくる。私は、ぐっと言葉に詰まった。雛乃は、さらに言葉を続ける。
「最近、吾妻、どことなく元気が無いんだよねー。いつも通り明るい笑顔を作ってるんだけど、何だか覇気が無いっていうか……」
そうか、祐樹さん、元気ないのか……。雛乃に追及された私は、ポツリポツリと今までの事を雛乃に話した。
話を聞き終えた雛乃は、うーんと唸りながら腕組みをして言った。
「吾妻にお姉ちゃん以外の恋人がねえ……。そんな事あり得ないと思うんだけどなあ……。お姉ちゃん、ちゃんと吾妻と話してみなよ。ハードル高いかもしれないけどさ」
「で、でも、聞くのが怖くて……」
「いいから聞いてみ? もし吾妻がお姉ちゃんを悲しませるようなら、私が吾妻をぶちころ……ぶちのめしてあげるから」
そう言って、雛乃は私にウインクした。……最後を言い直した意味があまり無いと思うけど、私の事を励ましてくれたのは素直に嬉しい。私は、穏やかな笑みを浮かべて言った。
「……ありがとう、雛乃。私、祐樹さんと話してみるよ」
「ちょっと、真鍋さん。昨日あなたを送って行ったイケメン、本当にあなたの恋人なの?」
唯香さんは挨拶もそこそこに聞いてくる。どうしよう。本当は恋人じゃないって正直に言う?
でも、恋人がいないって言ったら、「じゃあ何であのイケメンはあなたの彼氏だなんて言ったのよ」としつこく追及されそうな気がする。ここは、嘘を吐こう。
「はい。……あの人は、私の恋人です」
私が気まずそうにして答えると、唯香さんは唇を噛み締めてから呟いた。
「……何であんたばっかりイケメンに好かれるのよ……! オシャレもしてないし、話だって面白くない癖に……!」
ああ、これは相当悔しがってるな……。私は、唯香さんを宥めるようにして言った。
「で、でも、唯香さんは島本さんに選ばれたじゃないですか。私ばかり好かれてるなんて事無いですよ」
「ああ、あの人ね……」
唯香さんは、白けた表情で少し離れたデスクにいる島本さんを一瞥した。そして、溜息を吐いて言葉を続ける。
「慎也さん、何だか思ったのと違うのよね。彼があなたの側にいる時は、キラキラして見えたんだけど、いざ彼氏にしてみるとアラが目立つようになって……。昨日だって、慎也さん、仕事でミスをして部長に叱られてたのよ」
そう言われると、島本さんの表情が暗い気がする。まあ、以前島本さんがキラキラして見えたのは、私が島本さんの仕事をフォローしていたからかもしれないけれど。
「……ところで、真鍋さん。あなた、あんなイケメンとどこで知り合ったのよ?」
唯香さんに聞かれて、私は特に考える事も無く答えた。
「私の妹がセッティングしてくれた合コンに参加して出会ったんです。祐樹さん、妹と同じ職場みたいで……」
「ふうん、そう……」
唯香さんはそう呟くと、意味深に笑った。
◆ ◆ ◆
その日の夜、私が自宅に帰ると、リビングで待ち受けていた雛乃が私に飛びついてきた。
「お姉ちゃーん、待ってたよおー! この前は酔っぱらっちゃってお姉ちゃんにも迷惑かけたよね、ごめんねー!!」
「ああ、いいよ、別に。祐樹さんがここまで送って来てくれたから」
私は苦笑して雛乃の頭を撫でる。そして私と雛乃は、リビングで食事をする事にした。雛乃がパスタを作ってくれるらしい。
「そう言えばさ、お姉ちゃん。私が酔っぱらった日、吾妻と何かあった?」
椅子に座ってパスタを食べ始めた雛乃が私に聞いてくる。私は、ぐっと言葉に詰まった。雛乃は、さらに言葉を続ける。
「最近、吾妻、どことなく元気が無いんだよねー。いつも通り明るい笑顔を作ってるんだけど、何だか覇気が無いっていうか……」
そうか、祐樹さん、元気ないのか……。雛乃に追及された私は、ポツリポツリと今までの事を雛乃に話した。
話を聞き終えた雛乃は、うーんと唸りながら腕組みをして言った。
「吾妻にお姉ちゃん以外の恋人がねえ……。そんな事あり得ないと思うんだけどなあ……。お姉ちゃん、ちゃんと吾妻と話してみなよ。ハードル高いかもしれないけどさ」
「で、でも、聞くのが怖くて……」
「いいから聞いてみ? もし吾妻がお姉ちゃんを悲しませるようなら、私が吾妻をぶちころ……ぶちのめしてあげるから」
そう言って、雛乃は私にウインクした。……最後を言い直した意味があまり無いと思うけど、私の事を励ましてくれたのは素直に嬉しい。私は、穏やかな笑みを浮かべて言った。
「……ありがとう、雛乃。私、祐樹さんと話してみるよ」
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