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青葉の不満
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「おう、春也。せっかく来てくれたところ悪いんだけどな、いま横居が来てるんだ」
ドアを開けるなり、敏雄はリビングの方を指差して、状況を説明した。
「は⁈なんでまた…」
青葉は、明らかに不愉快そうな顔をして驚いた。
「たぶん、他に頼れるヤツがいないんだろ」
これは事実だ。
ほかの記者やカメラマンは、ひっきりなしにかかってくる電話や、壁に書かれた嫌がらせの落書きの処理なんかに駆り出されていた。
結果、元凶となった横居は煙たがられて、誰にも相手にされなくなってしまったのだ。
「そんなの、横居さんの自業自得じゃないですか!むしろ、この程度で済んだことを喜ぶべきじゃないですかね⁈千文さんなんか、今回のこととはまったくの無関係なのに、顔にケガしたんですよ?女の人なのに、顔にキズが残ったら責任取れるんですかね、あの人」
青葉は納得いかないようで、カンカンになって抗議してきた。
「それはそうだけどな、春也。横居のこと、あんまり責めないでやってくれるか?あの落ち込み様じゃあ、追い出した先で何があるかわからん。自分の家で首吊って死んでた…とかもありえるぜ」
「あの人があ?そんな繊細なタマですかねえ?」
横居が室内にいると分かっていながら、青葉は大声でイヤミっぽく言い放った。
わざとかもしれない。
今の今まで散々イヤミを言われ続け、今回の騒動の尻拭いで手を煩わされ、さらに恋人の家に先に上がり込まれているとあっては、こんな口を聞きたくなるのも当然であろう。
「わかんねえもんだぞ。ふだん好き放題してる無神経なヤツに限って、何かトラブるとこっちが心配になるくらいに落ち込むからな」
敏雄は、経験則からの見解を述べた。
実際、日頃から女遊びが酷い男ほど、不倫が発覚して妻に別れを切り出されると、異常なほど落ち込むのを散々見てきたのだ。
「それにしたって…」
「わかってるよ」
敏雄は、それしたって横居の自業自得ではないかと抗議しようとする青葉の唇に、人差し指を当てで制止した。
「お前の気持ちはわかる。たしかにアイツの自業自得だ。でも、それだけに今のアイツは相当落ち込んでる。お前に突っかかる元気もないんだよ。だからいまは、お前も突っかかるなよ?わかったな?」
敏雄は、わがままを言う幼児をあやす幼稚園教諭のように、青葉の頬を撫でた。
「わかりましたよ…」
青葉は、敏雄のこのやり方に弱い。
こんなやり方をされては、怒っている自分が幼稚に思えてしまって、大人しくならざるをえない。
「横居には、なるだけ早く帰ってもらうように説得するからよ」
幼児扱いはまだまだ続く。
今度は、背中を撫でられた。
「はい…」
ばつが悪そうな態度で、青葉は渋々了承した。
「横居が帰った後は、気持ちイイお楽しみだ。たくさん付き合ってやる」
耳に唇がつくぐらいに顔を近づけて、敏雄が熱っぽく囁いた。
「はい…」
唇をつけられた耳が、熱い。
青葉は思わず赤面して、耳を押さえた。
「ほら、入れよ。寒いだろ、熱いの入れてやる」
敏雄は青葉を室内に招き入れると、玄関ドアを閉めて、鍵とドアロックをかけた。
そうして2人でリビングに向かうと、うなだれてソファに座った横居がいた。
ドアを開けるなり、敏雄はリビングの方を指差して、状況を説明した。
「は⁈なんでまた…」
青葉は、明らかに不愉快そうな顔をして驚いた。
「たぶん、他に頼れるヤツがいないんだろ」
これは事実だ。
ほかの記者やカメラマンは、ひっきりなしにかかってくる電話や、壁に書かれた嫌がらせの落書きの処理なんかに駆り出されていた。
結果、元凶となった横居は煙たがられて、誰にも相手にされなくなってしまったのだ。
「そんなの、横居さんの自業自得じゃないですか!むしろ、この程度で済んだことを喜ぶべきじゃないですかね⁈千文さんなんか、今回のこととはまったくの無関係なのに、顔にケガしたんですよ?女の人なのに、顔にキズが残ったら責任取れるんですかね、あの人」
青葉は納得いかないようで、カンカンになって抗議してきた。
「それはそうだけどな、春也。横居のこと、あんまり責めないでやってくれるか?あの落ち込み様じゃあ、追い出した先で何があるかわからん。自分の家で首吊って死んでた…とかもありえるぜ」
「あの人があ?そんな繊細なタマですかねえ?」
横居が室内にいると分かっていながら、青葉は大声でイヤミっぽく言い放った。
わざとかもしれない。
今の今まで散々イヤミを言われ続け、今回の騒動の尻拭いで手を煩わされ、さらに恋人の家に先に上がり込まれているとあっては、こんな口を聞きたくなるのも当然であろう。
「わかんねえもんだぞ。ふだん好き放題してる無神経なヤツに限って、何かトラブるとこっちが心配になるくらいに落ち込むからな」
敏雄は、経験則からの見解を述べた。
実際、日頃から女遊びが酷い男ほど、不倫が発覚して妻に別れを切り出されると、異常なほど落ち込むのを散々見てきたのだ。
「それにしたって…」
「わかってるよ」
敏雄は、それしたって横居の自業自得ではないかと抗議しようとする青葉の唇に、人差し指を当てで制止した。
「お前の気持ちはわかる。たしかにアイツの自業自得だ。でも、それだけに今のアイツは相当落ち込んでる。お前に突っかかる元気もないんだよ。だからいまは、お前も突っかかるなよ?わかったな?」
敏雄は、わがままを言う幼児をあやす幼稚園教諭のように、青葉の頬を撫でた。
「わかりましたよ…」
青葉は、敏雄のこのやり方に弱い。
こんなやり方をされては、怒っている自分が幼稚に思えてしまって、大人しくならざるをえない。
「横居には、なるだけ早く帰ってもらうように説得するからよ」
幼児扱いはまだまだ続く。
今度は、背中を撫でられた。
「はい…」
ばつが悪そうな態度で、青葉は渋々了承した。
「横居が帰った後は、気持ちイイお楽しみだ。たくさん付き合ってやる」
耳に唇がつくぐらいに顔を近づけて、敏雄が熱っぽく囁いた。
「はい…」
唇をつけられた耳が、熱い。
青葉は思わず赤面して、耳を押さえた。
「ほら、入れよ。寒いだろ、熱いの入れてやる」
敏雄は青葉を室内に招き入れると、玄関ドアを閉めて、鍵とドアロックをかけた。
そうして2人でリビングに向かうと、うなだれてソファに座った横居がいた。
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