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2人飲み
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会社近くの居酒屋のカウンター席。
横居と敏雄はいつものように並んで座って、愚痴をこぼし合っていた。
「なーんか、いじめで自殺者が出てメディアに取り上げられて、大騒ぎになる学校側の言い分って、毎度毎度パターン同じですよねえ。「いじめと自殺の関連性はありません」「加害者にだって人権がある」って、どの学校も答えが似たりよったりなんですよ」
敏雄から話を聞いた横居が、フライドポテトをかじった。
「いじめにまともに対処しない学校なんて、どこも考え方が同じなんだろ。だからどいつもこいつも同じようなことしか言えないんだ!」
敏雄はカツオのたたきを箸でつまんで口に入れた。
しかし、あんまり美味しいとは思えない。
いつものことだ。
怒りで味もわからなくなるなんてこと、今に始まったことではない。
「ひどいのになってくると、死んだ被害者や被害者の遺族のことをボロクソに言いますよね。「いじめられる側にも問題ある」「家庭に問題がある」って。いじめが起きて、ニュースになったときのためのマニュアルがあるんですかね?そのマニュアルにそう書いてあんのかな?」
横居が皮肉めいた物言いをする。
「マニュアル通りに対応する頭もないから、そんなどっかで聞いたことある言葉しか出てこないんだよ。「とりあえずコレ言っとけばどうにかなるだろ」って事態を軽く見てんのさ!」
敏雄は、背の高いグラスになみなみ注がれたウーロンハイをグーッと飲み干した。
気分の悪くなるような事件を取材した後は、どうしても愚痴が多くなるし、アルコールの摂取量も増える。
敏雄は記者会見での校長、教頭、その他学校関係者の、見苦しいことこの上ない対応を思い出して、忌々しい気持ちになった。
保護者たちの話を聞くに、そのときと変わらない対処だったのは明確だし、聞き取りをした保護者から怒りの声が返ってくるのもごく当然のことであろう。
「加害者グループの主犯の大バカ娘、伊達さんが取材しましたよね?どんなカンジでした?」
「だいたい予想通りの解答だったよ。「アレは私じゃない、他のヤツが私ひとりを悪者にしてる!」だとよ。見事なまでの被害者ヅラだぜ」
敏雄はウーロンハイが入っていたグラスの底から、すっかり溶けて小さくなった氷をつまんで、口に放り込んだ。
「そいつ、スマートフォンに死んだ被害者の女の子のエロ画像入れてて、警察もそれは把握済みなんでしょう?
おまけに、他のメンバーに「お前がアイツを呼び出せ」って命令したメッセージも残ってるらしいし、他のヤツも満場一致で「アイツが主犯です」って言ってるらしいじゃないですか。
それだけ証言と証拠バリバリ残ってるのに「あれは私じゃない」とか言うの、めちゃくちゃムリありますよねえ。
3歳児が口の周りにべったりアンコつけて、「アタチ、何も食べてまちぇん、おまんじゅうなんて知りまちぇん」って言ってるようなもんじゃないすか」
横居は幼児語を混じえて、ヘタな芝居を始めた。
「結局はバカなガキどもの浅知恵だからなあ、悪あがきが見苦しいったらねえよ!
教師連中もガキどもも、今ごろは責任のなすりつけ合いや周りの人の口止めに必死だろうなあ。ご苦労なこった!!」
氷をガリガリかじりながら、敏雄はひたすらに悪態をついた。
いじめ事件について取材したのは、これが初めてではない。
しかし、何度やっても気分が悪くなるし、未だに慣れない。
きっと、慣れる日などやってこないのだろう。
横居と敏雄はいつものように並んで座って、愚痴をこぼし合っていた。
「なーんか、いじめで自殺者が出てメディアに取り上げられて、大騒ぎになる学校側の言い分って、毎度毎度パターン同じですよねえ。「いじめと自殺の関連性はありません」「加害者にだって人権がある」って、どの学校も答えが似たりよったりなんですよ」
敏雄から話を聞いた横居が、フライドポテトをかじった。
「いじめにまともに対処しない学校なんて、どこも考え方が同じなんだろ。だからどいつもこいつも同じようなことしか言えないんだ!」
敏雄はカツオのたたきを箸でつまんで口に入れた。
しかし、あんまり美味しいとは思えない。
いつものことだ。
怒りで味もわからなくなるなんてこと、今に始まったことではない。
「ひどいのになってくると、死んだ被害者や被害者の遺族のことをボロクソに言いますよね。「いじめられる側にも問題ある」「家庭に問題がある」って。いじめが起きて、ニュースになったときのためのマニュアルがあるんですかね?そのマニュアルにそう書いてあんのかな?」
横居が皮肉めいた物言いをする。
「マニュアル通りに対応する頭もないから、そんなどっかで聞いたことある言葉しか出てこないんだよ。「とりあえずコレ言っとけばどうにかなるだろ」って事態を軽く見てんのさ!」
敏雄は、背の高いグラスになみなみ注がれたウーロンハイをグーッと飲み干した。
気分の悪くなるような事件を取材した後は、どうしても愚痴が多くなるし、アルコールの摂取量も増える。
敏雄は記者会見での校長、教頭、その他学校関係者の、見苦しいことこの上ない対応を思い出して、忌々しい気持ちになった。
保護者たちの話を聞くに、そのときと変わらない対処だったのは明確だし、聞き取りをした保護者から怒りの声が返ってくるのもごく当然のことであろう。
「加害者グループの主犯の大バカ娘、伊達さんが取材しましたよね?どんなカンジでした?」
「だいたい予想通りの解答だったよ。「アレは私じゃない、他のヤツが私ひとりを悪者にしてる!」だとよ。見事なまでの被害者ヅラだぜ」
敏雄はウーロンハイが入っていたグラスの底から、すっかり溶けて小さくなった氷をつまんで、口に放り込んだ。
「そいつ、スマートフォンに死んだ被害者の女の子のエロ画像入れてて、警察もそれは把握済みなんでしょう?
おまけに、他のメンバーに「お前がアイツを呼び出せ」って命令したメッセージも残ってるらしいし、他のヤツも満場一致で「アイツが主犯です」って言ってるらしいじゃないですか。
それだけ証言と証拠バリバリ残ってるのに「あれは私じゃない」とか言うの、めちゃくちゃムリありますよねえ。
3歳児が口の周りにべったりアンコつけて、「アタチ、何も食べてまちぇん、おまんじゅうなんて知りまちぇん」って言ってるようなもんじゃないすか」
横居は幼児語を混じえて、ヘタな芝居を始めた。
「結局はバカなガキどもの浅知恵だからなあ、悪あがきが見苦しいったらねえよ!
教師連中もガキどもも、今ごろは責任のなすりつけ合いや周りの人の口止めに必死だろうなあ。ご苦労なこった!!」
氷をガリガリかじりながら、敏雄はひたすらに悪態をついた。
いじめ事件について取材したのは、これが初めてではない。
しかし、何度やっても気分が悪くなるし、未だに慣れない。
きっと、慣れる日などやってこないのだろう。
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