10 / 15
辛い過去は忘れて新たな未来を
4
しおりを挟む
「今までよく頑張ったな。色々なことが重なれば、そりゃあ死にたくもなるよな」
「……っ」
抱き締めてくれた八雲さんは、『頑張ったな』『偉かったな』と言いながら優しく頭を撫でてくれる。
こんな風に慰められるとは思っていなかったからびっくりしたけど、心地良さと暖かな温もり、そして何よりも、『頑張った』『偉かった』と言われたことが嬉しくて、これまで一生懸命生きてきたことが報われたような気がして、自然と涙が溢れていた。
「辛い過去を忘れろ――なんて言われても、それは無理だろうけど、お前の辛かったこと全ては、あの屋上に置いてきたはずだ。ここでは新たな人生を歩んでく、そう気持ちを切り替えろ。大丈夫だ、ここに居る限り、お前の面倒は俺が見てやる。どうしようもなく辛いことや悲しいことがあれば、すぐに言え。お前はもう、一人じゃないから」
「……っ、ありがとう……ございます……ッ」
八雲さんは、不思議な人だ。
初対面なのに、私の気持ちを解ってくれる。
私がして欲しいこと、欲しかった言葉をくれる。
彼のような人に、私はずっと、出逢いたかったんだと思う。
子供のように泣きじゃくる私を、八雲さんは抱き締め、頭を撫でて慰め続けてくれた。
そして、彼の言うように、これまで辛かったこと、悲しかったことの全てを、その涙と共にさよならをして、これからは新たな気持ちで生きていこうと心に誓った。
「――落ち着いたか?」
「……っ、はい……すみません……」
「謝ることはねぇよ。泣いてスッキリしたようだな。表情が変わった」
「……八雲さんのおかげです。ありがとうございます」
「俺は別に、何もしちゃいねぇよ。さてと、そろそろ寝るか。流石に俺も眠い」
「そうですよね、すみません、付き合わせてしまって! あの、それじゃあベッドを使ってください! 私は眠くないので、起きてますから」
気付けば時刻はもう午前四時を過ぎている。
私はあまり眠くなかったこともあって八雲さんにベッドを使って貰おうと思い、ベッドから降りようとしたのだけど、
「駄目だ。お前もきちんと寝とけ。身体は疲れてるはずだから目瞑ってりゃ寝れるだろ」
そう言って八雲さんに腕を引かれてベッドに戻され、強制的に布団を掛けられた。
そして、
「悪いが、俺もここで眠らせて貰う。安心しろ、何もしねぇから。そんじゃ、おやすみ」
八雲さんは私の隣に入り込むと、布団を掛け、こちらに背を向けて横になって『おやすみ』と言った。
まさか同じベッドで眠ることになるなんて予想もしていなかったし、初めは緊張していたけれど、八雲さんが傍に居てくれて安心したのか、眠くないと思っていたけど本当は眠かったのか、いつの間にか眠ってしまっていた私はそのままお昼過ぎまでぐっすり眠ってしまうのだった。
「……っ」
抱き締めてくれた八雲さんは、『頑張ったな』『偉かったな』と言いながら優しく頭を撫でてくれる。
こんな風に慰められるとは思っていなかったからびっくりしたけど、心地良さと暖かな温もり、そして何よりも、『頑張った』『偉かった』と言われたことが嬉しくて、これまで一生懸命生きてきたことが報われたような気がして、自然と涙が溢れていた。
「辛い過去を忘れろ――なんて言われても、それは無理だろうけど、お前の辛かったこと全ては、あの屋上に置いてきたはずだ。ここでは新たな人生を歩んでく、そう気持ちを切り替えろ。大丈夫だ、ここに居る限り、お前の面倒は俺が見てやる。どうしようもなく辛いことや悲しいことがあれば、すぐに言え。お前はもう、一人じゃないから」
「……っ、ありがとう……ございます……ッ」
八雲さんは、不思議な人だ。
初対面なのに、私の気持ちを解ってくれる。
私がして欲しいこと、欲しかった言葉をくれる。
彼のような人に、私はずっと、出逢いたかったんだと思う。
子供のように泣きじゃくる私を、八雲さんは抱き締め、頭を撫でて慰め続けてくれた。
そして、彼の言うように、これまで辛かったこと、悲しかったことの全てを、その涙と共にさよならをして、これからは新たな気持ちで生きていこうと心に誓った。
「――落ち着いたか?」
「……っ、はい……すみません……」
「謝ることはねぇよ。泣いてスッキリしたようだな。表情が変わった」
「……八雲さんのおかげです。ありがとうございます」
「俺は別に、何もしちゃいねぇよ。さてと、そろそろ寝るか。流石に俺も眠い」
「そうですよね、すみません、付き合わせてしまって! あの、それじゃあベッドを使ってください! 私は眠くないので、起きてますから」
気付けば時刻はもう午前四時を過ぎている。
私はあまり眠くなかったこともあって八雲さんにベッドを使って貰おうと思い、ベッドから降りようとしたのだけど、
「駄目だ。お前もきちんと寝とけ。身体は疲れてるはずだから目瞑ってりゃ寝れるだろ」
そう言って八雲さんに腕を引かれてベッドに戻され、強制的に布団を掛けられた。
そして、
「悪いが、俺もここで眠らせて貰う。安心しろ、何もしねぇから。そんじゃ、おやすみ」
八雲さんは私の隣に入り込むと、布団を掛け、こちらに背を向けて横になって『おやすみ』と言った。
まさか同じベッドで眠ることになるなんて予想もしていなかったし、初めは緊張していたけれど、八雲さんが傍に居てくれて安心したのか、眠くないと思っていたけど本当は眠かったのか、いつの間にか眠ってしまっていた私はそのままお昼過ぎまでぐっすり眠ってしまうのだった。
2
あなたにおすすめの小説
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
ヤンデレヤクザの束縛婚から逃れられません!
古亜
恋愛
旧題:ヤンデレヤクザの束縛婚〜何も覚えていませんが〜
なぜかここ一年の間の記憶を失い、なぜかその間にヤクザの若頭と結婚することになってました。
書いてみたかった記憶喪失もの。相変わらずのヤクザものです。
文字数バラバラで40話くらい。
なんでも許せる方向け。苦手な方は即回れ右でお願いします。
お肌に合わないと感じたら即座に使用を止めてください。誤字脱字等はご指摘いただければありがたく修正させていただきます。肌に合わない、想像と違った等の批判否定は豆腐メンタルにきて泣きますのでご遠慮ください。
この話はフィクションです。
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
駆け出しご当地アイドルがヤクザに一目惚れされた話
一ノ瀬ジェニファー
恋愛
ド田舎の道の駅で、持ち歌もグッズもないまま細々と活動を続けるご当地アイドル・桜あかり(16)。
夢は大きく武道館!……と言いたいところだけど、今はレジ打ちもこなす「なんでもできるマルチな地底アイドル」。
そんな彼女に、ある日転機が訪れる。
地元の道の駅がテレビで紹介され、あかりの笑顔が全国放送で流れたのだ。
その映像を東京で目にしたのが、幸村 静(ゆきむら しずか)。
見た目は完璧、物腰も柔らか──けれどその正体は、裏の世界の男だった。
「会いたいから」というシンプルすぎる理由で、あかりに会いに片道10時間を車で会いに来た。
謎のヲタク知識もを引っ提げて、推し活(という名の執着)が始まる……!
これは、アイドルを夢見る少女と、厄介オタクなヤクザの、ピュアで不穏でちょっと笑える物語。
ヤクザの組長は随分と暇らしい
海野 月
恋愛
キャバクラでバイトするリカ
店に来たヤクザの組長である中井律希のテーブルにつかされた
目当ての女の接客じゃないことに面倒くさそうな態度だったこの男。それがどうして――
「リカちゃん。俺の女になって」
初めての彼氏がヤクザなんて絶対にごめんだ!
汚い手も使いながらあの手この手で迫ってくる中井を躱し、平和な日常を取り戻そうとあがくストーリー
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
虚弱なヤクザの駆け込み寺
菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。
「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」
「脅してる場合ですか?」
ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。
※なろう、カクヨムでも投稿
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる