行き場を失くした私を拾ってくれたのは、強くて優しい若頭の彼でした

夏目萌

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『若頭』という立ち位置の彼

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「心ちゃん? どうかした?」
「あの、私……ああいう服は着たことがないし、似合わないと思いますから出来ればもう少しシンプルなものが……」
「そんなことないよ、絶対似合う! ほら、早く行こう」
「七星さん……」

 別のお店が良いと言ったものの聞き入れては貰えず、半ば強引に七星さんに手を引かれた私はそのお店に入り、彼が『これだ』という服を片っ端から選んでは私に手渡してきて試着するよう言うので、仕方なく着てみることにした。

 茶色を基調としたチェック柄のワンピースに、カーディガンタイプのセーラーカラーニット、大きめのニットに裾の部分がレースになっているロングスカート、リボンとハートの刺繍が施されたスウェットプルオーバーにレースティアードフリルミニスカート等々、七星さんが選んでくれたのはどれも着やすいデザインのものばかりだったこともあって、着てみると似合わなくもないかも? なんて思ったりもした。

 結局試着したもの全てを購入することになり、その後は下着や生活必需品を買い込み、結構な量の買い物をしてしまったことで、いくら頼るとは言ったものの何だか凄く申し訳無い気持ちでいっぱいになった。

「こんなに沢山買ってしまって、良かったんでしょうか?」
「大丈夫大丈夫! だってこれから生活していく上で必要な物なんだからさ。寧ろまだまだ足りないくらいでしょ」

 確かに、まだ足りない物もあるかもしれないけれど、ひとまず必要最低限の物は買ってもらえたから困ることはないだろう。

 こうなったらこの恩は家事をして返していくしかないと意気込んだ私は、

「七星さん、スーパーに寄ってもらえますか? お夕飯の材料を買って帰りたいんですけど……」

 スーパーで食材を買って帰りたいことを七星さんに告げたのだけど、

「夕飯? ああ、折角だけど、今日はいいんだ」

 何故か断られてしまう。

「今日は心ちゃんの歓迎パーティーだから、主役のキミに作らせる訳にはいかないでしょ? 多分、新くんと博くんが準備してくれてると思うしさ」
「パーティー……」

 それというのも今日は私の歓迎パーティーを開いてくれるつもりのようで、聞いたときは驚いたけれど、そういう風に歓迎されることなんて殆ど無かった私は凄く嬉しなり、ワクワクが止まらなかった。


「ただいま~」
「ただいま帰りました」

 七星さんと共に帰宅すると、既に皆が帰宅していた。

「七星、ご苦労だったな、荷物は心の部屋に運んでくれ」
「了解!」

 八雲さんが出迎えてくれて、荷物を抱えた七星さんに指示していく。

「あの、七星さん、後は私が自分で運びますから……」
「いいって! こういうのは男の仕事! 心ちゃんは兄貴とリビングに行ってて」

 自分の荷物を運んでもらうのは申し訳ないと後はやると言ったものの七星さんは『いらない』と言って聞いてはくれず、

「心、荷物は七星に任せればいい。お前はこっちに来てろ」

 そして、八雲さんにまで気にするなと言われたことで、それ以上何も言えなかった私は「それじゃあ、お願いします」と七星さんに伝えて八雲さんと共へリビングに向かった。

「必要な物は買えたか?」
「はい、その……少し沢山買ってしまって……」
「構わねぇよ。金のことは気にしなくていい。お前のことだから気にするかと思って七星には予め伝えておいたからそれなりに買ってきたんだろうが、まだ足りねぇモンもあんだろ? まあこれから生活していて必要だと感じればその都度買えばいいが、遠慮はすんな。俺らはもう、家族同然なんだから」
「……ありがとうございます」

 何故八雲さんはここまで親切にしてくれるのか、それが不思議でならない。

 そんなことを思いながらダイニングテーブルに視線を移すと、

「うわぁー! 美味しそう!」

 様々な料理が並んでいて、美味しそうな匂いも漂ってくる。

「もう準備は既に整ってるからな。七星が降りてきたら食べ始めよう。お前はここに座れ」
「は、はい、失礼します」

 美味しそうな料理を前に感動していると席に着くよう促されたので、私は言われた通り八雲さんの隣の席に着く。

 続いて、ソファーに座っていた御堂さんがこちらへやって来ると、八雲さんの向かい側の席に着いた。
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