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『若頭』という立ち位置の彼
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「それから二年後くらいに新くんと博くんが立て続けに加入して、今はあの面子で落ち着いてる感じなんだ」
「黒尾さんたちや御堂さんもやっぱり、家出とかそういう理由で八雲さんの家に住んでいるんでしょうか?」
「新くんと博くんは、蘇我組が管理するホストクラブで働いてたんだけど、本人たちが別の仕事に就きたいって希望してきて、二人とも機械系に強いからそういう仕事の方が良いかもってことで、システム系の会社に移ったんだ。その後で二人の仕事ぶりがなかなかだと組長が目をつけたことで蘇我組のハッカーとして二人を囲うことに決めて兄貴の家に住まわせてる。愛斗は元は九州の方で情報屋として色々な組織に情報を流してたんだけど、ある組織と上手くいかなくなってやりにくさを感じて関東の方に出てきたらしくてさ、元から組長とも顔見知りだったからその伝手でうちの組に入って、兄貴が面倒見る為に家に住まわせたって感じだよ」
八雲さんの家に住んでいる面々が組織に加入することになった経緯を知った私は皆それぞれ事情があるのだと納得すると共に、そんな人たちの中で何も出来ない自分が居るのはやはり場違いな気がして、より申し訳無さが募っていく。
「……私は本当に八雲さんの家でお世話になって構わないのでしょうか。何も出来ないし、居ても足手まといになるだけな気が……」
「心ちゃんは女の子だし、俺らみたいな仕事をしろなんて誰も思ってないから大丈夫だよ。俺だって初めは家のこと任されるだけの存在だったし、それを今度は心ちゃんにやってもらおうってことでしょ? 今は当番制で俺らが家のことしてたから、心ちゃんがそれを担ってくれるのは俺らとしても助かるしさ、俺らにとっても良いことしかないって!」
「七星さん……」
私に気を遣っての言葉だろうけれど、嘘でもそう言って貰えるのは嬉しかった。
「とにかくさ、兄貴に救われたのは俺らも同じだし、俺も初めはそんなことしてもらうのは悪いなってこと沢山あったよ。でも家出て金も無かった俺は兄貴を頼るしか無かったから、悪いと思いつつ厚意に甘えた。そんな俺に兄貴は、『自分が出来ることで返してくれりゃいい』って言ってくれたから、兄貴の側で支えられる今は、それなりに恩を返せてると思うんだ……だからさ、心ちゃんも今は兄貴の厚意に甘えるべきだよってこと! お金のこともだけど、兄貴が良いって言ってることは素直に受け取るのが一番だと思うから」
「そう、ですね……。ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えてお世話になろうと思います」
「うん。それじゃあ買い物しよっか。何から見る?」
「えっと、それじゃあ洋服から……」
「洋服ね! どの店にしよっか?」
「そうですね……」
服を見ることに決めたものの、お店があり過ぎてどこを見るべきか迷う。
服は出来るだけシンプルなものがいいし、出来れば値段も安めなお店があればと思っていると、
「あ、あの店なんて良いんじゃない?」
「え?」
「ほら、心ちゃん、ああいう服が似合いそう! 行こう!」
「え、あ……ちょっと、七星さん……」
七星さんが『私に似合いそう』と向かい側にある店を指差して言うと、私の手を引いて歩き出す。
七星さんが私に似合うと言ったのは、バルーン袖のものだったり、袖や裾回りにフリルが付いたような、ふんわりしたデザインの服やヒラヒラとしたスカートが沢山置いてあるガーリー系のお店で、私はこれまでシンプルな格好やパツンスタイルが多かっただけに、こういう『女の子』みたいな格好には些か抵抗があって入りにくいと思ってしまい思わず足を止めた。
「黒尾さんたちや御堂さんもやっぱり、家出とかそういう理由で八雲さんの家に住んでいるんでしょうか?」
「新くんと博くんは、蘇我組が管理するホストクラブで働いてたんだけど、本人たちが別の仕事に就きたいって希望してきて、二人とも機械系に強いからそういう仕事の方が良いかもってことで、システム系の会社に移ったんだ。その後で二人の仕事ぶりがなかなかだと組長が目をつけたことで蘇我組のハッカーとして二人を囲うことに決めて兄貴の家に住まわせてる。愛斗は元は九州の方で情報屋として色々な組織に情報を流してたんだけど、ある組織と上手くいかなくなってやりにくさを感じて関東の方に出てきたらしくてさ、元から組長とも顔見知りだったからその伝手でうちの組に入って、兄貴が面倒見る為に家に住まわせたって感じだよ」
八雲さんの家に住んでいる面々が組織に加入することになった経緯を知った私は皆それぞれ事情があるのだと納得すると共に、そんな人たちの中で何も出来ない自分が居るのはやはり場違いな気がして、より申し訳無さが募っていく。
「……私は本当に八雲さんの家でお世話になって構わないのでしょうか。何も出来ないし、居ても足手まといになるだけな気が……」
「心ちゃんは女の子だし、俺らみたいな仕事をしろなんて誰も思ってないから大丈夫だよ。俺だって初めは家のこと任されるだけの存在だったし、それを今度は心ちゃんにやってもらおうってことでしょ? 今は当番制で俺らが家のことしてたから、心ちゃんがそれを担ってくれるのは俺らとしても助かるしさ、俺らにとっても良いことしかないって!」
「七星さん……」
私に気を遣っての言葉だろうけれど、嘘でもそう言って貰えるのは嬉しかった。
「とにかくさ、兄貴に救われたのは俺らも同じだし、俺も初めはそんなことしてもらうのは悪いなってこと沢山あったよ。でも家出て金も無かった俺は兄貴を頼るしか無かったから、悪いと思いつつ厚意に甘えた。そんな俺に兄貴は、『自分が出来ることで返してくれりゃいい』って言ってくれたから、兄貴の側で支えられる今は、それなりに恩を返せてると思うんだ……だからさ、心ちゃんも今は兄貴の厚意に甘えるべきだよってこと! お金のこともだけど、兄貴が良いって言ってることは素直に受け取るのが一番だと思うから」
「そう、ですね……。ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えてお世話になろうと思います」
「うん。それじゃあ買い物しよっか。何から見る?」
「えっと、それじゃあ洋服から……」
「洋服ね! どの店にしよっか?」
「そうですね……」
服を見ることに決めたものの、お店があり過ぎてどこを見るべきか迷う。
服は出来るだけシンプルなものがいいし、出来れば値段も安めなお店があればと思っていると、
「あ、あの店なんて良いんじゃない?」
「え?」
「ほら、心ちゃん、ああいう服が似合いそう! 行こう!」
「え、あ……ちょっと、七星さん……」
七星さんが『私に似合いそう』と向かい側にある店を指差して言うと、私の手を引いて歩き出す。
七星さんが私に似合うと言ったのは、バルーン袖のものだったり、袖や裾回りにフリルが付いたような、ふんわりしたデザインの服やヒラヒラとしたスカートが沢山置いてあるガーリー系のお店で、私はこれまでシンプルな格好やパツンスタイルが多かっただけに、こういう『女の子』みたいな格好には些か抵抗があって入りにくいと思ってしまい思わず足を止めた。
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