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出会い。
に。
しおりを挟む急に騒がしくなったと感じてやっと目を開けた。
「え…」
そこには私の知っているものや人はいなくて、そう、まるで江戸時代に迷い混んでしまったようで。
驚きのあまりに声もでなくてただぽかんと口を開けていた。
後ろを振り返って見るとどうやらここは神社のようで社がたっている。上を見れば鳥居のきれいな赤。
「貴様、何者だ」
「怪しい着物だな」
やっと立ち上がった私の前に現れたのは浅葱色の羽織。
腰に下げた長いものは私のいた時代じゃ許されないはずのもの。
ここは、本当に幕末なの…。
ぼぉっと浅葱色に目を向けていると腕を引っ張られる。
「答えよ、何者だ。斬るぞ」
斬るという言葉と同時に聞こえたかちゃっという重たい金属の音が妙に耳に残った。
「お前達、何をしている」
「隊長…怪しい奴が、」
背中まで伸びた髪を緩く結んだ男が一歩前に出てくる。
隊長ということはもしかしたら名前はしってるかもしれないなんて他人事のように考えた。
「此奴は何か悪事を働いたのか」
「いえ、今のところは…何も」
「では、連れていけ。判断は上に任せる」
声を漏らす間もなく洋服に包まれた私の腕を和服の彼がつかんで引いた。
「来い、刃向かえば斬る」
「…はい」
どうしてこうなったのか。
いや、これは夢ではないのか。
呆然と歩くなか引かれる腕の痛みに顔をしかめた。
◆
連れてこられたのは私の好きな場所だった。
ただ違ったのは、
「八木邸が、きれい…」
あれほどまで昔の味を出していた八木邸はタイムスリップしてしまったかのようにきれいだった。
いや、八木邸がではなく、タイムスリップしてしまったのは多分、私だ。
後ろ手に縄をかけられ為す術もなくただ大人しく前を歩く背を追いかける。
一室の前で立ち止まると一人が入った。すぐに顔を出すと周りにいた三人程を散らし、私に入るよう促した。
「副長、此奴が市中にいた怪しい奴です」
副長と呼ばれた人物はそれまで忙しなく動かしていて手を止めると筆をおきこちらを向いた。
「っ…」
色は白く伸びた髪は中より少し高い位置で結われ、腰まで落ちている。
整った顔立ちには似合わないほど眉根を寄せていて、目はまるで血に飢えた獣のようにぎらついている。
「…その服装、洋装か?何者だ、お前」
見た目は女性のようだといっても過言では無いほど美しいのに声や動作は確かに男でどうしてか息がつまりそうだった。
「わ、私は、東條 椿と申します」
「その格好は」
「先程おっしゃっていたよう、洋装です」
「何をしていた、いや、どこからきた」
「それは…」
「…どうした、言えねぇのか」
「いえ、どのように申し上げればよいのか…」
「はっきりしろ。俺は忙しい」
嘘を告げたとしてこのまま質問を繰り返されればいつかボロが出る。
ただ本当のとこを言ったとしても信じてもらうどころかふざけていると斬られてしまうかもしれない。
だってそれは私自身も信じられないのだから。目の前の私を睨む男は鬼のようであると有名な人だから。
黙っている私に限界がきたのか手をついて彼が立とうとしたところで首筋に冷たいものがあてられた。
小さく悲鳴をあげてその先を見れば私をここまで連れてきた男が白く輝く刀を抜いて冷めた目で私を見ている。
「答えろ」
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