50 / 63
第四章・リック視点
61話「そのときはこれが正しい行為だと信じていた」
しおりを挟む
そのあと僕はクロス子爵家に先触れを送り、エミリーと会う約束を取り付けた。
クロス子爵家を訪れると、ガーデンテラスに案内された。
このときの僕の中でのエミリーの評価は、幼い頃からの婚約者で、金で僕を買った守銭奴で、僕の贈ったプレゼントを捨てるクズで、学園でミアをいじめていた悪女で、権力を使って己の罪をねじ伏せる悪い貴族で、ミアの実感のナウマン男爵家に難癖をつけて慰謝料を請求している極悪人だった。
だからエミリーと会ったとき、彼女を傷つける酷い言葉を平気で吐くことができた。
「ミアの実家のナウマン男爵家が取り潰され、ミアは娼館に売られることになった。
僕はミアを身請けし、ミアの家族の面倒を見たいと思っている。
僕は侯爵令息とはいえ、次男だから受け継ぐ財産が少ない。
とてもではないが僕一人ではミアを身請けし、ミアの家族を養っていくことはできない。
だからお前でいいから結婚してやる。
俺の容姿と魔力と優秀な頭脳を、グロス子爵家では喉から手が出るほど欲しがっていただろう?
地味で取り柄のないお前と結婚してやるから、ミアとその家族を養うことを許可しろと言っているんだ。
グロス子爵家の人間は、金で人を買うのは得意だろ?
六年前だって金の力で優秀な僕を、お前みたいな平凡でなんの取り柄もないつまらない女の婚約者にしたのだからな。
僕とミアとミアの家族が暮らすために、グロス子爵家の敷地内に別邸を建ててくれ。
僕に愛されるなんて期待するな。
僕が生涯愛するのはミアだけだ。
だが婿養子の務めは果たしてやる。
跡継ぎを残すために、嫌だがお前も抱いてやる。
上手く行けば、僕に似た金髪碧眼で容姿端麗で強い魔力を持った優秀な子が生まれるかもな。
お前の遺伝子が強く出て『ハズレ』だったときは言ってくれ、三人までなら子供を作ることに協力してやる。
手始めに五千万ゴールド出してくれ、その金でミアを身請けしたい」
……と。
僕の話を聞いたエミリーは当然怒った。
「馬鹿にしないで下さい!」
エミリーは椅子から立ち上がり、僕のことを睨みつけた。
「今までの非礼を謝罪に来たのかと思えば、 一言の謝罪もない。
その上愛人を囲いたいから金を出せですって!?
最低ですね!
あなたとの婚約を破棄します!
顔も見たくありません!
今すぐこの屋敷から出ていって下さい!」
エミリーは冷徹にそう言い放ち、僕の提案を断った。
「おい、いいのか僕との婚約を破棄して?
世間は魅了の魔法をかけられた僕たちに同情的だぞ?
お前はブルーノ公爵令嬢やメルツ辺境伯令嬢と違い、美人でもないし、スタイルも良くないし、頭も良くないし、語学やダンスや乗馬が得意な訳でもない。
そんなお前が僕との婚約を破棄したらどうなると思う?
世間からバッシングを受けて、誰からも縁談が来なくなるぞ?
確実に行き遅れ、社交界で馬鹿にされるぞ?
それでもいいのか?」
僕がそう伝えるとエミリーは、
「あなたと結婚するくらいなら、一生独り身で過ごした方がましです!」
と吐き捨てるように言った。
僕はその言葉にカッとなって椅子から立ち上がっていた。
エミリーを殴ろうとしたとき、子爵と兵士が茂みから出てきた。
僕は兵士に取り押さえられ、腕を後ろにひねりあげられた。
そして魔力封じの手錠をかけられ、連行された。
これではもう魔法が使えない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
下記作品の続編の投稿を開始しました!2022/12/17
「聖女として召喚された女子高生、イケメン王子に散々利用されて捨てられる。傷心の彼女を拾ってくれたのは心優しい木こりでした」【続編投稿開始!】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/668700646 #アルファポリス
リコ視点、コルト視点、アビー視点、ケットシー視点で投稿していく予定です!
こちらの作品もよろしくお願いします!
クロス子爵家を訪れると、ガーデンテラスに案内された。
このときの僕の中でのエミリーの評価は、幼い頃からの婚約者で、金で僕を買った守銭奴で、僕の贈ったプレゼントを捨てるクズで、学園でミアをいじめていた悪女で、権力を使って己の罪をねじ伏せる悪い貴族で、ミアの実感のナウマン男爵家に難癖をつけて慰謝料を請求している極悪人だった。
だからエミリーと会ったとき、彼女を傷つける酷い言葉を平気で吐くことができた。
「ミアの実家のナウマン男爵家が取り潰され、ミアは娼館に売られることになった。
僕はミアを身請けし、ミアの家族の面倒を見たいと思っている。
僕は侯爵令息とはいえ、次男だから受け継ぐ財産が少ない。
とてもではないが僕一人ではミアを身請けし、ミアの家族を養っていくことはできない。
だからお前でいいから結婚してやる。
俺の容姿と魔力と優秀な頭脳を、グロス子爵家では喉から手が出るほど欲しがっていただろう?
地味で取り柄のないお前と結婚してやるから、ミアとその家族を養うことを許可しろと言っているんだ。
グロス子爵家の人間は、金で人を買うのは得意だろ?
六年前だって金の力で優秀な僕を、お前みたいな平凡でなんの取り柄もないつまらない女の婚約者にしたのだからな。
僕とミアとミアの家族が暮らすために、グロス子爵家の敷地内に別邸を建ててくれ。
僕に愛されるなんて期待するな。
僕が生涯愛するのはミアだけだ。
だが婿養子の務めは果たしてやる。
跡継ぎを残すために、嫌だがお前も抱いてやる。
上手く行けば、僕に似た金髪碧眼で容姿端麗で強い魔力を持った優秀な子が生まれるかもな。
お前の遺伝子が強く出て『ハズレ』だったときは言ってくれ、三人までなら子供を作ることに協力してやる。
手始めに五千万ゴールド出してくれ、その金でミアを身請けしたい」
……と。
僕の話を聞いたエミリーは当然怒った。
「馬鹿にしないで下さい!」
エミリーは椅子から立ち上がり、僕のことを睨みつけた。
「今までの非礼を謝罪に来たのかと思えば、 一言の謝罪もない。
その上愛人を囲いたいから金を出せですって!?
最低ですね!
あなたとの婚約を破棄します!
顔も見たくありません!
今すぐこの屋敷から出ていって下さい!」
エミリーは冷徹にそう言い放ち、僕の提案を断った。
「おい、いいのか僕との婚約を破棄して?
世間は魅了の魔法をかけられた僕たちに同情的だぞ?
お前はブルーノ公爵令嬢やメルツ辺境伯令嬢と違い、美人でもないし、スタイルも良くないし、頭も良くないし、語学やダンスや乗馬が得意な訳でもない。
そんなお前が僕との婚約を破棄したらどうなると思う?
世間からバッシングを受けて、誰からも縁談が来なくなるぞ?
確実に行き遅れ、社交界で馬鹿にされるぞ?
それでもいいのか?」
僕がそう伝えるとエミリーは、
「あなたと結婚するくらいなら、一生独り身で過ごした方がましです!」
と吐き捨てるように言った。
僕はその言葉にカッとなって椅子から立ち上がっていた。
エミリーを殴ろうとしたとき、子爵と兵士が茂みから出てきた。
僕は兵士に取り押さえられ、腕を後ろにひねりあげられた。
そして魔力封じの手錠をかけられ、連行された。
これではもう魔法が使えない。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
下記作品の続編の投稿を開始しました!2022/12/17
「聖女として召喚された女子高生、イケメン王子に散々利用されて捨てられる。傷心の彼女を拾ってくれたのは心優しい木こりでした」【続編投稿開始!】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/668700646 #アルファポリス
リコ視点、コルト視点、アビー視点、ケットシー視点で投稿していく予定です!
こちらの作品もよろしくお願いします!
応援ありがとうございます!
3
お気に入りに追加
1,832
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる