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3話「誕生日パーティー」
しおりを挟むお祖父様たちが到着した二時間後、誕生日パーティーが始まった。
ルード様にエスコートされて会場に入ったので、何人かの方は私とルード様の仲を誤解したかもしれません。
私とルード様は家庭教師と教え子、もしくは幼馴染でしかないのに、ルード様にご迷惑をおかけしてしまいました。
貴族への挨拶はお祖父様がサポートして下さっている。
ロイヤルブルーのドレスに着替えた私を見たとき、ルード様のお顔がほんのり色づいていた気がします。
それから時折私の顔をじっと見て、私と目が合うと慌てて目を逸らすのですが、私の顔に何かついているのでしょうか?
お二人は片時も私の側を離れませんでした、傍から見るとそんなに私は危なっかしいのかしら?
「こんなに綺麗なビアンカを一人にしたら、狼に狙われる」
ルード様がぼそぼそと呟きました。声が小さくて狼の部分しか聞こえませんでしたが、パーティーに野生の狼が迷い込むことなんてあるのかしら? ルード様は心配性ですね。
そのとき招待客の一人に話しかけられた。
「オイデンブルク公爵令嬢、お誕生日おめでとうございます」
「ニコル侯爵、ニコル侯爵夫人、ありがとうございます」
「この度の誕生日の催しは変わっておりますな」
「ご気分を損ねましたか?」
「いや実に良い企画だ、私の誕生日にも同じ事をやろうと計画しています。妻と『素晴らしいアイデアだ、是非とも真似したい』そう話しておりました」
ニコル侯爵ご夫妻はとても仲がよく、民を思いやる優しさに満ちている方だ、なのでこの企画に賛同して下さると思っていました。
「だとしたらとても嬉しいですわ」
私の元には誕生日の祝辞を言いに大勢の貴族が訪れていた。
皆様「楽しい催しだ」「立派だ」「私の誕生日にも同じ事をしたいと」と言って下さった。
誕生日にあれをすることが、各地ではやったらいいなと思っている。
そのとき両親と妹が遅れて会場に入ってきた。
妹が身に纏っているドレスを見て、お祖父様が目を見張る。
「ビアンカ、お前が言っていたことは本当だったようだな」
「ええ残念ですが」
妹は桃色のドレスを身にまとい、ルビーのイヤリングとネックレス、珊瑚の髪飾りを身に着けていた。
ドレスとイヤリングは今年の誕生日に身に着けるようにと、お祖父様が私宛に送って下さった物だ。
ルビーのネックレスは昨年の生誕祭にお祖父様が私にプレゼントしてくださった物で、珊瑚の髪飾りは昨年の誕生日にお祖父様から頂いたものだ。
それらの全てが数時間後には、妹の「ずるいですわ!」「欲しいですわ!」攻撃と、両親の「姉なんだから妹に譲りなさい」の援護射撃を受けて、妹に奪われていた。
妹と両親は私の姿を見つけ、こちらに向かって突進してきた。
妹は私の前に立つと私を指差し「お姉様ずるいですわ!」と叫んだ。
「サファイアの首飾りとおそろいのイヤリングと髪飾り、ロイヤルブルーのドレス! 私の身に着けているドレスより、お姉様の身に纏っているドレスの方がきらびやかでデザインが洗練されてるわ! どうしてそんな豪華なドレスやアクセサリーをお姉様が持ってるのよ! ずるいわ! 酷いわ!」
私に向かって散々叫んだあと、私の隣に立つお祖父様をキッと睨みつけた。
「分かったわ! またお祖父様ね! お姉様にばかり高価なドレスやアクセサリーを買い与えて! ずるいわ!」
お祖父様を大声で罵った。
そして私の顔を見て「お姉様が今身につけている物、全部私に頂戴!!」得意の「頂戴攻撃」を仕掛けてきた。
「そうだ姉なんだから妹のミアに譲りなさい!」
「妹のミアが可哀相だとは思わないの!」
妹の「ずるいわ!」「欲しいわ!」攻撃を両親が援護する。
パーティー会場は両親と妹の登場により、騒然となった。
良識のある貴族は、哀れな者を見る目で妹と両親を見ていた。
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