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お調子者な子鬼
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「師匠!! 次はどこに行くんですか!!」
結局あの後王都の出口付近でロイに見つかり、一緒に旅をすることになった。旅の道中で撒こうかと考えたが、流石に子供を何もない道端で放置はどうかと思い次の街まで同行することを許可した。
「南にあるモヤズハムの村まで行きそこでお前を置いていく」
「ちょっと待ってくださいよ!? それじゃあわざわざ師匠についてきた意味がないじゃないですか!?」
「そんなことは知らん。お前が勝手についてきただけだろう」
「僕は師匠に戦いの技を教えてほしいんです!! その為だったら何でもする覚悟です!!」
「はぁ…」
本当に厄介な荷物を引っ掛けてしまったものだ。
「お前は何故オレにそこまで技を教えてほしいんだ? いくら貧民街出身とはいえ他の寮に比べれば十分に生活は出来るレベルがほとんどだろう」
「僕が父に武術を教えててもらってたと言うのはさっき言いましたよね? その時に言われたんです」
「...なんと言われたんだ?」
「あっ!? もしかして気になりますか!?」
「…」
苛ついたので歩く速度を早める。オレとロイでは体格に差があるのでロイは焦りながら駆け足で追いかけてくる。
「ち…ちょっと!? 師匠待ってくださいよ!? ちゃんと話しますから!!」
「父にはいつか教えた武術を世に広めてほしいと…僕ならそれが出来ると…そう言われました」
「ではオレに教わらずその親に教わればいいではないか?」
「父は金を稼ぐついでに修行をするため王都の外へ行くことが多々ありました。いつもなら1ヶ月ほどで戻ってくるのですが…」
「…2年ほど前から帰ってこないんです。」
「すまない、無神経なことを言ってしまった」
「いえ…僕が勝手に話したことなので!! それに師匠なら分かると思いますが、外には魔物なんかの危険が多いので父に限らず商人なんかもよく被害に合うらしいですし…」
「そうだな」
これは事実だ。オレも武人や賊に遭遇するよりも、魔物と遭遇するほうが多かった。
実際この世界での死亡する原因が病気の次くらいには街の外で魔物などに襲われて死ぬこと多い。
「父が魔物に襲われたのか、それとも誰かに殺されたのか。それはわかりませんが僕が教わった武術を…父の思いを…今のまま腐らせては父のこれまでが全て無駄になってしまう!!」
「小さい頃から父に武術を教えてもらったからこそわかるんです。父がどれほど苦労してあの技術体系を生み出したのか」
「…ですが今の僕には父の武術を継げるほど力はなく、技の継承にも行き詰まっていました。」
「…」
「そこに現れたのが師匠、あなたです」
「…」
「ひと目見てわかりました。あなたは僕が持っていない何かを持っていると…」
「きっとあなたなら僕だけでは成せない何かを知っていると…」
「だから…」
ロイは立ち止まり頭を深く下げる。
「僕にどうか師匠のわz「わかった」…!?」
ウィルの言葉にロイは即座に身体を起こす。そこには鬼が此方を見定めるように立っていた。
その威圧感にロイは一瞬後退りしそうになるが、それをグッとこらえそしてウィルの眼をまっすぐ見た。
その様子をウィルは少しの間黙って見ていたが、ついには逃げずにこちらを見たロイに…
「…お前に師事してやろう」
「本当ですか!?」
喜ぶロイにウィルは、ただし…と付け加える。
「オレが教えるのは武器の扱い方と戦い方その基本だけだ。武術はお前が自分でどうにかしろ」
「っ…わかりました」
「そして…もし途中で泣き言をいう様なら」
「オレはその時点でお前を斬り捨てる。やり直しも何もない。たった一度きりのチャンスをモノにできない奴など死ねばいい」
戦いとはそういうものだ…そう言うとウィルは再度歩き始める。それに遅れぬようロイもついて行く。
しかし先程までのように焦ったりはしない。ウィルは歩く速度を緩め、ロイもそれに並んで歩く。
「てことはこれからは正式に師弟の関係ってことでいいんですよね!?」
「…それをどう呼ぶかは好きにしろ。」
「やった!! じゃあやっぱり先生呼びのほうが良いかなぁ? 僕にとっての師匠はやっぱり父唯一人ですし…」
「そういえば、お前の習った武術はなんという」
「父の武術ですか?」
「それ以外に何がある」
「そ…そうですよね!! えーと、父の武術の名は…」
先程までの重い雰囲気は完全に消え、最初に出逢ったときと同じ調子で話すロイ。
そして普段は寡黙で無感情なウィルもこのときだけは少しだけ…口元をほころばせた。
その日、剣鬼は一人の子鬼を拾った。
結局あの後王都の出口付近でロイに見つかり、一緒に旅をすることになった。旅の道中で撒こうかと考えたが、流石に子供を何もない道端で放置はどうかと思い次の街まで同行することを許可した。
「南にあるモヤズハムの村まで行きそこでお前を置いていく」
「ちょっと待ってくださいよ!? それじゃあわざわざ師匠についてきた意味がないじゃないですか!?」
「そんなことは知らん。お前が勝手についてきただけだろう」
「僕は師匠に戦いの技を教えてほしいんです!! その為だったら何でもする覚悟です!!」
「はぁ…」
本当に厄介な荷物を引っ掛けてしまったものだ。
「お前は何故オレにそこまで技を教えてほしいんだ? いくら貧民街出身とはいえ他の寮に比べれば十分に生活は出来るレベルがほとんどだろう」
「僕が父に武術を教えててもらってたと言うのはさっき言いましたよね? その時に言われたんです」
「...なんと言われたんだ?」
「あっ!? もしかして気になりますか!?」
「…」
苛ついたので歩く速度を早める。オレとロイでは体格に差があるのでロイは焦りながら駆け足で追いかけてくる。
「ち…ちょっと!? 師匠待ってくださいよ!? ちゃんと話しますから!!」
「父にはいつか教えた武術を世に広めてほしいと…僕ならそれが出来ると…そう言われました」
「ではオレに教わらずその親に教わればいいではないか?」
「父は金を稼ぐついでに修行をするため王都の外へ行くことが多々ありました。いつもなら1ヶ月ほどで戻ってくるのですが…」
「…2年ほど前から帰ってこないんです。」
「すまない、無神経なことを言ってしまった」
「いえ…僕が勝手に話したことなので!! それに師匠なら分かると思いますが、外には魔物なんかの危険が多いので父に限らず商人なんかもよく被害に合うらしいですし…」
「そうだな」
これは事実だ。オレも武人や賊に遭遇するよりも、魔物と遭遇するほうが多かった。
実際この世界での死亡する原因が病気の次くらいには街の外で魔物などに襲われて死ぬこと多い。
「父が魔物に襲われたのか、それとも誰かに殺されたのか。それはわかりませんが僕が教わった武術を…父の思いを…今のまま腐らせては父のこれまでが全て無駄になってしまう!!」
「小さい頃から父に武術を教えてもらったからこそわかるんです。父がどれほど苦労してあの技術体系を生み出したのか」
「…ですが今の僕には父の武術を継げるほど力はなく、技の継承にも行き詰まっていました。」
「…」
「そこに現れたのが師匠、あなたです」
「…」
「ひと目見てわかりました。あなたは僕が持っていない何かを持っていると…」
「きっとあなたなら僕だけでは成せない何かを知っていると…」
「だから…」
ロイは立ち止まり頭を深く下げる。
「僕にどうか師匠のわz「わかった」…!?」
ウィルの言葉にロイは即座に身体を起こす。そこには鬼が此方を見定めるように立っていた。
その威圧感にロイは一瞬後退りしそうになるが、それをグッとこらえそしてウィルの眼をまっすぐ見た。
その様子をウィルは少しの間黙って見ていたが、ついには逃げずにこちらを見たロイに…
「…お前に師事してやろう」
「本当ですか!?」
喜ぶロイにウィルは、ただし…と付け加える。
「オレが教えるのは武器の扱い方と戦い方その基本だけだ。武術はお前が自分でどうにかしろ」
「っ…わかりました」
「そして…もし途中で泣き言をいう様なら」
「オレはその時点でお前を斬り捨てる。やり直しも何もない。たった一度きりのチャンスをモノにできない奴など死ねばいい」
戦いとはそういうものだ…そう言うとウィルは再度歩き始める。それに遅れぬようロイもついて行く。
しかし先程までのように焦ったりはしない。ウィルは歩く速度を緩め、ロイもそれに並んで歩く。
「てことはこれからは正式に師弟の関係ってことでいいんですよね!?」
「…それをどう呼ぶかは好きにしろ。」
「やった!! じゃあやっぱり先生呼びのほうが良いかなぁ? 僕にとっての師匠はやっぱり父唯一人ですし…」
「そういえば、お前の習った武術はなんという」
「父の武術ですか?」
「それ以外に何がある」
「そ…そうですよね!! えーと、父の武術の名は…」
先程までの重い雰囲気は完全に消え、最初に出逢ったときと同じ調子で話すロイ。
そして普段は寡黙で無感情なウィルもこのときだけは少しだけ…口元をほころばせた。
その日、剣鬼は一人の子鬼を拾った。
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