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大希
本音
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『明日のお昼は、ピザがいい。石窯で焼いたやつ。またあれを見たい』
そう言ったカナに、アンナは朗らかに微笑みながら、
「はい、分かりました」
と応えました。そして、
「皆さんは何か他にリクエストはありますか?」
とも尋ねます。
「私たちもピザでいいです」
絵里奈さんが応え、山下さん、玲那さん、沙奈子さんも頷き、イチコとフミも、
「私もそれでいい」
とのことでした。ただ、千早は、
「イシガマって何?」
不思議そうな表情で訊いてきたのです。するとカナがすかさず、
「石窯っていうのはね、石とかでできたオーブンなんだよ。それでピザを焼くんだよ。すっごく美味しいよ」
どこか自慢気に説明します。そんなカナに、千早は、
「何それすごい! 私も見たい!」
興奮気味に声を上げました。
こうして全員一致で明日の昼食はピザと決まり、
「承知しました。それでは腕によりをかけてご用意させていただきます」
アンナの笑顔はさらに朗らかになったのでした。
それからは並んだお寿司を皆さん大変な勢いで平らげ、千早に至っては、
「さ、さすがに食べすぎかな~…」
などと呟きながら、何か隠しているのですか?といった風のお腹をさすっています。
そんな千早に私もつい、
「あまり無茶をしてはいけませんよ」
声を掛けてしまいました。
そこにアンナが、
「お風呂の用意ができてますが、どうなさいますか? 露天風呂と内風呂、どちらも入れます」
と。
それに真っ先に反応したのはカナでした。
「もちろん、露天風呂だよね~!」
続けてイチコ達も、
「だよね~」
と応じ、当然のように露天風呂に入ることが決まります。ただ、そうなると、男性である山下さんは、さすがに女性と一緒というわけにはいきません。
そこで山下さんは、
「じゃあ、みんなの後で僕と一緒に入る?」
「うん!」
ヒロ坊くんに声を掛け、彼も大きく頷いたのでした。
ですが私はこの時、
「…あ、そうなんですね……」
などと漏らしてしまうくらい、正直申し上げて残念な気分になっていました。
と言うのも、本音を申し上げればヒロ坊くんも一緒に入っていただけるのでは?と期待していたのです。
なにしろ彼は、普段からイチコやカナと一緒にお風呂に入ることがあったのですから。
小学六年生で高校生の姉やその友達と一緒にお風呂というのは珍しいかもしれませんが、ヒロ坊くんはそういうことをまったく意識させない中性的な部分もあって、カナも最初から抵抗なく一緒にお風呂に入れたとのこと。
私はそれが羨ましくて、だから今回、
『別荘での露天風呂であれば私も一緒に……』
と考えていたりもしたのです。
そう言ったカナに、アンナは朗らかに微笑みながら、
「はい、分かりました」
と応えました。そして、
「皆さんは何か他にリクエストはありますか?」
とも尋ねます。
「私たちもピザでいいです」
絵里奈さんが応え、山下さん、玲那さん、沙奈子さんも頷き、イチコとフミも、
「私もそれでいい」
とのことでした。ただ、千早は、
「イシガマって何?」
不思議そうな表情で訊いてきたのです。するとカナがすかさず、
「石窯っていうのはね、石とかでできたオーブンなんだよ。それでピザを焼くんだよ。すっごく美味しいよ」
どこか自慢気に説明します。そんなカナに、千早は、
「何それすごい! 私も見たい!」
興奮気味に声を上げました。
こうして全員一致で明日の昼食はピザと決まり、
「承知しました。それでは腕によりをかけてご用意させていただきます」
アンナの笑顔はさらに朗らかになったのでした。
それからは並んだお寿司を皆さん大変な勢いで平らげ、千早に至っては、
「さ、さすがに食べすぎかな~…」
などと呟きながら、何か隠しているのですか?といった風のお腹をさすっています。
そんな千早に私もつい、
「あまり無茶をしてはいけませんよ」
声を掛けてしまいました。
そこにアンナが、
「お風呂の用意ができてますが、どうなさいますか? 露天風呂と内風呂、どちらも入れます」
と。
それに真っ先に反応したのはカナでした。
「もちろん、露天風呂だよね~!」
続けてイチコ達も、
「だよね~」
と応じ、当然のように露天風呂に入ることが決まります。ただ、そうなると、男性である山下さんは、さすがに女性と一緒というわけにはいきません。
そこで山下さんは、
「じゃあ、みんなの後で僕と一緒に入る?」
「うん!」
ヒロ坊くんに声を掛け、彼も大きく頷いたのでした。
ですが私はこの時、
「…あ、そうなんですね……」
などと漏らしてしまうくらい、正直申し上げて残念な気分になっていました。
と言うのも、本音を申し上げればヒロ坊くんも一緒に入っていただけるのでは?と期待していたのです。
なにしろ彼は、普段からイチコやカナと一緒にお風呂に入ることがあったのですから。
小学六年生で高校生の姉やその友達と一緒にお風呂というのは珍しいかもしれませんが、ヒロ坊くんはそういうことをまったく意識させない中性的な部分もあって、カナも最初から抵抗なく一緒にお風呂に入れたとのこと。
私はそれが羨ましくて、だから今回、
『別荘での露天風呂であれば私も一緒に……』
と考えていたりもしたのです。
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