9歳の彼を9年後に私の夫にするために私がするべきこと

大希

カナの誕生日パーティ

「誕生日、おめでとう！」

フミがマイクを持ってそう声を上げました。本日の進行役ということですね。

今日は、カナの誕生日パーティ。

いつものカラオケボックスのパーティルームを借りて行います。費用は原則として私持ちですが、そうしないと皆、いつもと同じように集まってただケーキやお菓子を食べるだけという形で終わってしまうので、私としてはこう、もっと発散していただければと思うのです。

もちろん、『やりたくない』とおっしゃるのでしたら強要はできませんが、実際に楽しんでいただけるので、私としてもその甲斐はあります。

ただ、山下さんからは、

「仮にも社会人だから…」

ということで、山下さん、沙奈子さん、玲那さん、絵里奈さんの分について負担の申し出がありました。そちらを無下に断るのも違うのではと思いましたので、負担していただいています。

ですが、そういう諸々は脇に置いて、カナは鬱憤を晴らすかのようにはしゃいでいました。むしろ、はしゃぎ過ぎで、

「ちょっと、カナ！　飛ばしすぎ！　って言うか、服、服！」

と、フミに服を直されたりしています。Tシャツがめくれあがってインナーが見えそうになっていたからです。

私達の中では最も身長が高く、本人の意に反してセックスアピールを感じるスタイルをしているだけあって、フミも気が気じゃないようですね。

もっとも、ここにいらっしゃる＜男性＞は山下さんとヒロ坊くんだけで、お二人とも性的なことには強い関心を示さない方なので、あまり心配はないのかもしれません。ましてやヒロ坊くんとは今でも一緒にお風呂に入ったりすることもあるそうですし。

それでも、『はしたない』と言われればそうなのかも知れませんが。

ですが、この場では、はしたないくらいで丁度いいのかもしれません。

人間は常にかっちりとした振る舞いだけをしていることはできません。時には羽目を外し、いわゆる『はっちゃける』瞬間も必要だと思うのです。そして今まさにこの場がそれなのです。それをしても大丈夫なように、私はここを借りたのですから。



たっぷり二時間楽しんで、いよいよ終了の時間となりました。

「いや～、喉がガラガラだよ」

そう言ったカナの声は確かにいつものそれより濁っていました。

「もうちょっと歌いたかったけど、さすがにしんどいよね」

千早も汗を光らせながら言います。玲那さんも、声は出せませんが二人と一緒に『はっちゃけて』ましたから、顔が紅潮しています。

イチコとヒロ坊くんも楽しんでくれていました。

山下さんと沙奈子さんと絵里奈さんは、そんなカナ達の様子を微笑ましそうに見守ってくださっていました。

とても有意義な時間だったと思います。