212 / 470
大希
おそよう
しおりを挟む
ショッピングモールでの時間を楽しんだ後にヒロ坊くんの家へと皆で帰ります。
時刻は既に五時を回っていました。もう少しすれば山下さんもいらっしゃるでしょう。
山下さんと沙奈子さんをお誘いしなかったのは、それがお二人のいつもの過ごし方だからです。昨日はカナの誕生日パーティに参加していただきましたので、今日はごゆっくりしていただければということで。
お二人も、本当はそうやってゆったりと過ごすのが好きな方々なのですから。
ヒロ坊くんの家に帰ると、お義父さんはまだお休みのようでした。ですがそろそろ山下さんがいらっしゃる時間です。なので、イチコとカナとフミと私は二階へと上がり、ヒロ坊くんと千早には一階で自由にしてもらいます。
と言いますか、ヒロ坊くんと千早は、夕食の用意やお風呂の用意をしてくださいます。誰がお願いした訳でもないのですが、
「私とヒロで用意しとくよ」
と、千早が自らそう言ってくれたのです。彼女達の料理の腕は信頼に足るものです。それを本人から申し出でくださったのですから、無下に断るのも違うと私は感じました。だからお願いしているのです。
千早にとっても、ほとんどこの家の娘のように好きにさせてもらってる恩義に報いたいというのもあるでしょうし。
本当に、『成長著しい』とはこのことを言うのでしょうね。
彼女の成長ぶりには私も敬意を表するしかできません。
その時、
「おそよう」
部屋を仕切るカーテンが開かれ、お義父さんが私達にそう声を掛けてきました。そろそろ時間ということで起きてこられたのです。
もう夕方六時前。「おはよう」ではさすがにおかしいということで「おそよう」というのがいつもの挨拶でした。
「おそよう」
イチコが応え、
「おそようございます」
と、カナとフミと私が応えます。
そしてお義父さんは一階へと降りていかれました。顔を洗い歯を磨くためです。
しばらくすると戻ってこられて、いつもの位置に座ります。
するとその時、玄関の呼び鈴が鳴らされました。
「はーい♡」
それにヒロ坊くんと千早が応え、出迎えます。
「いらっしゃい♡」
やはり山下さんと沙奈子さんでした。沙奈子さんには一階で待ってただいて、山下さんが二階に上がってきます。
「こんにちは」
と声を掛けながら山下さんが姿を現し、席に着きます。それと同時に、玲那さんと絵里奈さんもビデオ通話で参加されました。
こうして全員が揃い、私はまず、
「お誕生日、おめでとうございます」
と、お義父さんに頭を下げたのです。
今日は、お義父さんの誕生日ですから。
そんな私に、
「ありがとう。でも、この歳になるともう誕生日がおめでたいものだという実感はまるでないかな。後は衰えていくだけだから」
そう言ってお義父さんは穏やかに笑みを浮かべたのでした。
時刻は既に五時を回っていました。もう少しすれば山下さんもいらっしゃるでしょう。
山下さんと沙奈子さんをお誘いしなかったのは、それがお二人のいつもの過ごし方だからです。昨日はカナの誕生日パーティに参加していただきましたので、今日はごゆっくりしていただければということで。
お二人も、本当はそうやってゆったりと過ごすのが好きな方々なのですから。
ヒロ坊くんの家に帰ると、お義父さんはまだお休みのようでした。ですがそろそろ山下さんがいらっしゃる時間です。なので、イチコとカナとフミと私は二階へと上がり、ヒロ坊くんと千早には一階で自由にしてもらいます。
と言いますか、ヒロ坊くんと千早は、夕食の用意やお風呂の用意をしてくださいます。誰がお願いした訳でもないのですが、
「私とヒロで用意しとくよ」
と、千早が自らそう言ってくれたのです。彼女達の料理の腕は信頼に足るものです。それを本人から申し出でくださったのですから、無下に断るのも違うと私は感じました。だからお願いしているのです。
千早にとっても、ほとんどこの家の娘のように好きにさせてもらってる恩義に報いたいというのもあるでしょうし。
本当に、『成長著しい』とはこのことを言うのでしょうね。
彼女の成長ぶりには私も敬意を表するしかできません。
その時、
「おそよう」
部屋を仕切るカーテンが開かれ、お義父さんが私達にそう声を掛けてきました。そろそろ時間ということで起きてこられたのです。
もう夕方六時前。「おはよう」ではさすがにおかしいということで「おそよう」というのがいつもの挨拶でした。
「おそよう」
イチコが応え、
「おそようございます」
と、カナとフミと私が応えます。
そしてお義父さんは一階へと降りていかれました。顔を洗い歯を磨くためです。
しばらくすると戻ってこられて、いつもの位置に座ります。
するとその時、玄関の呼び鈴が鳴らされました。
「はーい♡」
それにヒロ坊くんと千早が応え、出迎えます。
「いらっしゃい♡」
やはり山下さんと沙奈子さんでした。沙奈子さんには一階で待ってただいて、山下さんが二階に上がってきます。
「こんにちは」
と声を掛けながら山下さんが姿を現し、席に着きます。それと同時に、玲那さんと絵里奈さんもビデオ通話で参加されました。
こうして全員が揃い、私はまず、
「お誕生日、おめでとうございます」
と、お義父さんに頭を下げたのです。
今日は、お義父さんの誕生日ですから。
そんな私に、
「ありがとう。でも、この歳になるともう誕生日がおめでたいものだという実感はまるでないかな。後は衰えていくだけだから」
そう言ってお義父さんは穏やかに笑みを浮かべたのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
99
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる