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大希
報復の応酬
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「このまま何事もなければいいな。なんて言うと、フラグになるかな? それはイヤだけど」
玲那さんの言葉に、私も『油断してはいけませんね』と思わされます。
ですが、それに対して山下さんが、
「だけどそれは、これまでやられたことをNって子に『ただただ我慢しろ』って言うのに等しい理不尽な話だっていうのも事実なんだろうな……」
確かに、『何事もなければいいな』というのは、フミの弟くんに罵られた側が裁判を起こさないでほしいという風にも取れてしまいますね。事実上の<相互挑発>、つまり喧嘩に等しい言葉の応酬だったのは事実でも、言われた方としては納得できないというのもあるでしょう。
ですので私も申し上げさせていただきます。
「はい。山下さんがおっしゃりたいことも、ごもっともだと思います。先方が既にこれまでの発言を証拠として記録し、告訴に踏み切るための手続きに入っている可能性も含め、今後も慎重に見守りたいと思っています。もし、先方が告訴に踏み切るのでしたら、私は敢えて先方側につくことをフミにも了承してもらっています。
過去の発言を掘り返してみても、特定の人物に対する誹謗中傷に当たると思しきものは一年以上前から続いていました。昨日今日のものではありません。これだけの期間、子供の行為を見過ごしていたことについては、ご両親の監督責任は決して小さいとは言えないでしょう。
先方にも好ましくない行為があったのだとしても、それを理由に犯罪を実行に移していいというわけではありません。事実、実際に発生している事件の多くが、被害者側にも原因となるであろう好ましくない行為に対する復讐や報復として行われているものだというのも確かなのです。
イジメられたことに対する報復であったり、不貞行為に対する報復であったり、長年の嫌がらせに対する報復であったりという事例が非常に多いということが分かっています。
玲那さんの事例など、まさにその典型でしょう。非常に残念なことです。
フミの弟さんの事例についても、先方に何らかの好ましくない行為があってのことであればなおさら、報復の応酬になることをどこかで止める必要が出てきます。
私としても、今回、フミの弟さんが絡まれたことで意気消沈し、自身の行為を改め、かつ先方がそれをもって事態の収束と判断しこのまま治まってくれることを期待せずにはいられません。『痛み分け』で終わっていただけるのならそれに越したことはないのでしょう。
さりとて、そのような形で終わることを強要することもできません。ならば、告訴によって法に基づき司法に委ねるという形に持っていくのが落としどころだと考えます。そうすれば、先方にどのような落ち度があったのかという点についても明らかにすることもできますので」
玲那さんの言葉に、私も『油断してはいけませんね』と思わされます。
ですが、それに対して山下さんが、
「だけどそれは、これまでやられたことをNって子に『ただただ我慢しろ』って言うのに等しい理不尽な話だっていうのも事実なんだろうな……」
確かに、『何事もなければいいな』というのは、フミの弟くんに罵られた側が裁判を起こさないでほしいという風にも取れてしまいますね。事実上の<相互挑発>、つまり喧嘩に等しい言葉の応酬だったのは事実でも、言われた方としては納得できないというのもあるでしょう。
ですので私も申し上げさせていただきます。
「はい。山下さんがおっしゃりたいことも、ごもっともだと思います。先方が既にこれまでの発言を証拠として記録し、告訴に踏み切るための手続きに入っている可能性も含め、今後も慎重に見守りたいと思っています。もし、先方が告訴に踏み切るのでしたら、私は敢えて先方側につくことをフミにも了承してもらっています。
過去の発言を掘り返してみても、特定の人物に対する誹謗中傷に当たると思しきものは一年以上前から続いていました。昨日今日のものではありません。これだけの期間、子供の行為を見過ごしていたことについては、ご両親の監督責任は決して小さいとは言えないでしょう。
先方にも好ましくない行為があったのだとしても、それを理由に犯罪を実行に移していいというわけではありません。事実、実際に発生している事件の多くが、被害者側にも原因となるであろう好ましくない行為に対する復讐や報復として行われているものだというのも確かなのです。
イジメられたことに対する報復であったり、不貞行為に対する報復であったり、長年の嫌がらせに対する報復であったりという事例が非常に多いということが分かっています。
玲那さんの事例など、まさにその典型でしょう。非常に残念なことです。
フミの弟さんの事例についても、先方に何らかの好ましくない行為があってのことであればなおさら、報復の応酬になることをどこかで止める必要が出てきます。
私としても、今回、フミの弟さんが絡まれたことで意気消沈し、自身の行為を改め、かつ先方がそれをもって事態の収束と判断しこのまま治まってくれることを期待せずにはいられません。『痛み分け』で終わっていただけるのならそれに越したことはないのでしょう。
さりとて、そのような形で終わることを強要することもできません。ならば、告訴によって法に基づき司法に委ねるという形に持っていくのが落としどころだと考えます。そうすれば、先方にどのような落ち度があったのかという点についても明らかにすることもできますので」
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