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大希

ヒロばっかりズルい!

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「もう、玲那! 笑いすぎ!」

玲那さんが息も絶え絶えで悶絶しながら笑っているのを、絵里奈さんが諫めていました。

ですが私は、玲那さんがそうやって笑ってくださっていること自体は決して不快ではなかったのです。玲那さんほどの境遇の方がこのように笑えるというのは、とても素晴らしいことだと思うのです。

恥ずかしいのは恥ずかしいですが。

かつての私は、今の玲那さんのように大きな口を開けて思い切り笑うのを、不様で品性がなく醜いとさえ思っていました。それは、私自身がそのようにして笑いたいと思えることがなかったからですね。

だから、私自身はまだそこまで思い切り笑うことには恥ずかしさもありますが、心のどこかでリミッターを掛けてしまっていて、お腹の底からみっともないくらいに笑うということができませんが、他の方がそのように笑ってくださることに対しては、今はもう不様とも品性がないとも醜いとも思いません。

そんな風に笑える動物というのは、人間くらいなものです。笑うことこそが『人間らしさ』の一つではないでしょうか。

私は、みなさんに笑っていてほしい。みなさんの笑顔を見るのが嬉しいんです。

みなさんが笑ってくださるのなら私はそれで十分なんです。みなさんが笑っていられる状況こそが、彼にとっても幸せなはずですから。

みなさんの笑顔の中で、彼が幸せそうに笑っていてくれるのが、私の一番の幸せなのです。

素直にそう思えます。

と同時に、お風呂でのことが蘇ってしまって、顔がさらに熱くなりました。

『ピカお姉ちゃんが喜ぶから、後ろからぎゅ~ってしてあげな』

私が頭を洗っている時、カナにそう耳打ちされたヒロ坊くんが、

「うん、分かった!」

と笑顔で応え、躊躇うことなく私に抱きついたそうです。

「ピカちゃん、ぎゅ~っ♡」

と声を上げながら。

なので当然、それが誰か分かってしまいました。しかも、彼の体が密着したことで、その……あの……

とにかく、瞬間的に体中の血が沸騰するかのような錯覚さえ覚え、気付いた時には視界が真っ赤になっていたのです。

すると、それを見た千早が、

「こら~っ! ヒロ! やりすぎ!!」

ヒロ坊くんを諫めていました。

などということがあり、その日の<会合>では私はずっと頭がのぼせたようになってしまって、帰り際にも、ヒロ坊くんに、

「またね!」

と声を掛けられたら、

「ひゃいっ!」

なんて声が出てしまって……

一緒にヒロ坊くんの家を出たフミには、

「ピカ、私は応援してるよ」

とは言ってもらえたものの、千早については、

「ヒロばっかりズルい!」

頬を膨らませて怒っていたのです。私がヒロ坊くんのことばかりを考えていたことにヤキモチを妬いていたのでしょうね。

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