ショウドウ ~未開の惑星に転生した男、野生を生きる~

京衛武百十

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蟷姫

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俺をの手を掴んで自分の首に擦り付ける<カマキリ怪人>が、なんだか妙に可愛く思えてきやがった。

いや、本当に『可愛い』ってこったろうな。俺に対して求愛行動を示してるってえことなら、相手に好かれようとして<可愛げ>みたいなもんを見せるってのも普通だろ。

俺だって女の一人や二人は知ってっからよ。いいと思った相手に好かれようとするってことくらい分かる。

「まったく。お前も俺みてえなのがいいなんてなあ、変わってんなあ」

と思ったが、悪い気はしねえ。

が、同時に、油断はできねえ。本当にカマキリってえわけじゃねえのは分かってっけどよ、カマキリは、動くもんは何でも<餌>と見做す習性があって、交尾相手のオスだろうが何だろうが襲って食っちまったりするらしいしな。こいつのお眼鏡に適わないってなりゃあ途端に<餌>ってえことにされるだろ。なら、気を引き締めてかからなきゃなあ。

ただ、そうなると<カマキリ怪人>ってのも味気ねえか。

「だなあ……ああ、蟷姫とうきってなあどうだ? <蟷螂の姫>ってことでよ」

「……?」

なんて名前を付けちゃみたが、当然、意味は通じてる様子もねえ。ねえけど、ま、いいんじゃねえかな。俺の方の納得の問題だ。

「よろしくな、蟷姫とうき。ちなみに俺の名前は相堂しょうどう幸正ゆきまさ。ユキでいいぜ」

とも言ったが、

「? ……?」

これもさすがに分かってねえ。

でも、いいさ。



そんなこんなで蟷姫とうきと一緒に暮らすことになったんだが、それでも彼女は毎日、俺に仕掛けてきやがった。こいつらにとっちゃ弱え奴はただの<餌>ってえことなんだろう。これで死ぬような弱え相手に用はねえってことだな。

だから俺も、蟷姫とうきが一緒に暮らすにふさわしい相手だってえことをきっちりと示してやる。

ある時は胸に正拳突きをくらわし、ある時は<裸締め>で絞め落とし、またある時は腰投げで後頭部から地面に叩きつけてやったりもした。

なのにまあ本当に頑丈な奴だ。人間なら何度か死んでてもおかしくねえようなそれでもすぐにケロっとしてやがる。

それで、俺に甘えるみてえに手を掴んで自分の首筋に擦り付けるんだ。

すると、そん時は首筋が少し柔らかくなるんだよ。どうやらこいつらにとっても首筋はそれなりに弱点で、それを相手に晒すってのが求愛行動ってことみてえだな。

でもまあ、そうは言っても戦おうって時にゃ硬くなるってのは、裸締めをくらわした時の感触で分かったけどよ。

普通の人間じゃ、同じように締め上げようとしても痛くも痒くもなかったろうぜ。

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