オオカミ竜・ジャック ~心優しき猛獣の生き様~

京衛武百十

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レオン

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オオカミ竜オオカミは、基本的には昼行性である。とは言えそれは、『夜間に活動しない』という意味ではない。あくまで昼の方が活動しやすいというだけだ。

けれど同時に、夜は必ずしも得意ではないというのも事実。

そんな夜に、

「!?」

ジャックはハッとなった。

『何か、いる……!』

人間のように深い眠りにつくことはほとんどない上に常に周囲を警戒していることで察することができた。すると、他にも気付いた者がいた。ジョーカーの兄と、ジョーカーとクイーンの子供達だった。

ジャック達が警戒しているのを察したか、遅れて他の者達も次々と起きてくる。

だがその時、ジャックは尻尾に棘でも刺さったかのような感覚を覚えた。

「!!」

本当に棘が刺さったわけではなかったが、自身が察知した感覚に従い、彼は弾かれたように体を翻して動く。

するとそこには、何者かの影。その正体を確かめる前に反射的にぐわっと食らい付いていた。確かめてからでは間に合わないと本能的に悟ったからだろう。そして牙が捉える感覚。細かくて柔らかい毛に覆われた柔らかい肉。初めて感じるそれに戸惑いながらもジャックは容赦なく<そいつ>を噛み砕いた。

「ギャアアー!」

耳に突き刺さるような悲鳴。

レオンだった。レオンが闇にまぎれて迫っていたのだ。それをきっかけに仲間達も迎撃に移る。

<ジョーカーの兄>も、レオンを捉えていた。巨大な口で肩口を捉え、渾身の力で噛み砕く。無論、容赦などない。相手は闇にまぎれて忍び寄ってくるような奴だ。そんなものは<敵>でしかない。

<何かの行き違い>

とかそんなことを考えている余裕もない。地球人の場合、生態観察や、それこそただ『可愛い♡』とか言って不用意に近付いたりする者もいるだろうが、たとえ悪意も害意もなくても、野生の肉食獣にこんな風にして接近する方がそもそもどうかしている。

ゆえにジャック達の対応は当然のことだった。しかも、

「ピギャッッ!」

という悲鳴。幼体こどもだった。ジャックの群れの幼体こどもの悲鳴だ。

「ガアアッッ!!」

吠えながらジャックが向かった先には、レオンに首を噛まれている幼体こどもの姿。それを咥えたまま逃げようとしたレオンの前脚(腕)にジャックは食らい付き、振り回し、引きちぎった。

「ギイイッッ!!」

悲鳴を上げつつ地面に倒れたレオンが咥えていた幼体こどもを離すものの、その子はもう動く気配もなかった。死んでいたのだ。

「ゴオアアアアアーッッ!!」

幼体こどもが殺されたことを察し、ジャックは腹の底から爆発させるようにして咆哮する。

『貴様ら、許さない!!』

彼の怒りそのものの姿であった。

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