未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

文字の大きさ
43 / 2,978
ハーレム

IDタグ(二千二百年前の遺品か)

しおりを挟む
ふくだ。お前の名前はふくにしよう。伏せるでふく

すっかり俺に懐いて甘えてくるライオン少女に向かって、俺はそう言った。草むらに見事に潜伏してたところとか、スタン弾を腹に受けて臥せってるところかとか、何だか俺にすっかり服従してるようにも見えるところとか、とにかく何となくふくだと思ったのだ。

ふくですか。承知しました」

と、エレクシアは淡々と運転しながらそう応え、

ふくちゃんですね。可愛い」

と、セシリアCQ202は手の平を顔の前で合わせて笑顔を浮かべていた。

だが、ひそかじんの二人は不機嫌そうに睨んでいるだけだったが。それでもまあ、襲い掛かってくる訳でもないし、別にいいだろう。しばらくの間は注意深く様子を見ないといけないかもしれないが、そのうち慣れてくれるんじゃないかな。

それよりも俺は、そのすぐ後でセシリアCQ202が見せた表情が気になっていた。窓からコーネリアス号の方をじっと見詰めていたのだ。その手に、亡くなった乗員達のIDタグの束を握り締めながら。

六十人分のIDタグの束は、何とも言えない存在感があった。まるで自分達が生きていたことを主張するかのように。そしてセシリアCQ202はそれを大事そうに手にしていた。

ロボットに心はないが、こういう姿を見ていると心があるように感じてしまうのも無理はないだろうな。

俺も、遭難者としての先輩方に思いを馳せる。

半ば投げやりな気持ちで、厄介事から逃げようという気持ちも間違いなく持っていて夢色星団に突入した俺と違って、あくまで生きて帰ることを前提に入植可能な惑星を探していた彼らはどんな想いでここで最期を迎えたんだろうな。家族を想って泣いたのか、絶望に心を折られて打ちひしがれていたのか……

後でセシリアCQ202から改めて詳しい説明を受けると、彼らを襲ったという謎の生物の所為で命を落としたのは、三十六人だったと言う。残りの二十四人は、怪我がもとで亡くなった者、病死した者が殆どで、自衛用の銃で自殺した者も二人いたそうだった。自殺したうちの一人は、野苺に似た例の果実を隠れて食って腹を壊した奴だったそうだ。やはり精神的に病んでいたということか。

それに、怪我や病気で亡くなった者も、実は治療を拒んでのものだったから、<事実上の自殺>のようなものだったらしい。

なお、恒星間航行技術ハイパードライブの技術そのものは、様々なメーカーが既にロボット船による合計一万回ものテストを重ねた後だったから安全性も耐久性も信頼性も十分なもので、実質的には恒星間航行が人間に与える影響を検証するのが主な目的の一つだったらしい。ロボット船によるテストも初期の頃こそは事故も相次いだが、最初に開発された縮退炉には欠陥があったりしたらしいが、欠陥が解消された縮退炉が開発されると、最後の一千回くらいはまったく無事故ですべて無事に帰還したそうだ。だから本来はそこまで命懸けの航海でもなかった筈なのだ。

参加したメンバーにしても、もちろんリスクは覚悟した上で様々な試験や訓練を乗り越えて選ばれた者達だっただろうから心身共にタフだったんだろう。それでもなお、もう二度と故郷へは帰れない、自分達がここにいるということを知らせる手立てもないという事実の前には、正気を保ちきれない者も出てくるということなんだろうな。

……いや、銃で自殺した二人はともかく、他の二十二人は、むしろ『理性的だったから』こそ、自然に死ねる方法を選んだのかもしれない……?

だが同時に、俺は思った。もし彼らが、ひそか達のような存在に出会っていたらどうだっただろうか? 言葉は通じなくても、人間らしいコミュニケーションは取れなくても、これほどまでに人間に近い彼女達が隣人として暮らしている惑星だと分かっていれば、もしかすると結果は違っていたのかもしれないとも思わなくはなかった。

ただそれも、俺の場合は元の世界に未練も何もなかったという前提の違いもあるかもしれないが。

それと、気になることは他にもある。彼らを襲ったという謎の生物だ。セシリアCQ202の説明によると、フィクションなどでは割とメジャーな、俗に<スライム>と呼ばれるものを連想させる、透明な不定形生物だということだった。

銃で撃っても死なず、ナイフで切っても死なず、淡々と生物を襲うそいつらの最初の襲撃で、三十一人が死亡したという。

その後、残った乗組員達はコーネリアス号に閉じこもって生活していたが、閉鎖された空間での長期間の生活は相当苦しかったらしく、ストレスが原因になったのか体調を崩してそのまま病気になり、その上で敢えて治療を拒み、何人もがそれで命を落としたそうだった。

さらには、息抜きと称して外に出て不定形生物に襲われた者が三人。最後に残った二人は、外には出なかったが、せめて外の空気を吸いたいと思ったのか外気取り入れ口を開けたままにしていてそこから侵入され、遂に全滅となったそうだ。

外気取り入れ口については、普通ならメイトギアが気付くところを、開閉を知らせるセンサーにわざわざ細工をして開いていることを分からないようにし、しかもそれをメイトギアに知られない為にか近付かないように命令していたらしい。そういう意味でも、正常な判断力を失っていたんだろうな。

それで言えば、俺がふくを相手にやったことも、明らかにまともじゃなかった。エレクシアにも言われた通り、身の程をわきまえない行為だった。今後はもう、危険なことはエレクシアに任せることを徹底する。

そして、ひそかじんふくとイチャイチャしながら面白おかしく生きるのだ。そうしていてもいずれは俺も死ぬ。そんな生き方でいいじゃないかと、ローバーの中をぐるりと見渡して思ったのだった。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...