1,391 / 2,978
第三世代
新編 穏やかな表情
しおりを挟む
新暦〇〇三四年三月十日
正直、地味で変わり映えしない毎日が続く。興味もない人間がそんなのを見せられたら、確かに苦痛にもなるだろう。でも俺はそんな赤の他人の苦痛よりも、自分の家族の心情を優先する。絵的に派手なイベントで麗の気持ちを強引に切り替えさせようとも思わない。
普通のフィクションならそれで上手くいくんだろうが、現実ではそんなものが上手くいく保証はどこにもない。で、上手くいかなかった時には、
『どうして分かってくれないんだ!?』
とキレるんだろう? はっきり言ってそんなもの、やられた方としては迷惑以外の何物でもないだろうな。自分が望んでもないやり方をされて、『これで立ち直れ!』とか強要されるなんて、意味が分からない。そのデリカシーのなさが不快なんだとなんで分からないのかが分からない。
そうして俺達は、丁寧に麗に接し、陽と和のフォローも丁寧に行った。
その一方、新の方はどうしているかと言うと、少し寂しそうにしている時もありつつ、同時に、麗に煩わされることがなくなったのが良かったのか、すごく穏やかな表情をしているのが、あんずやますらおのカメラに捉えられていた。
やっぱり、新にとっては麗の気持ちは負担だったんだな。
とは言え、麗のことが嫌いというわけじゃないのも確かだろう。普通なら成長と共に親にじゃれつくのが収まっていくはずが別の意味で滅茶苦茶じゃれつかれるようになって、しかもそれがいつ終わるとも知れないという状態だったことで、さすがに疲れてしまったんだろう。
あくまで子供として仲間として麗にじゃれつかれている間は、迷惑そうにはしていなかった。麗が新を雄と見做して気持ちを向けるようになってきてからだ。新が戸惑った様子を見せだしたのは。
そう。麗が<子供>だった間は良かったんだ。成長すれば自然と離れていくから。なのに、離れていくどころか熱烈なアピールをするようになったんだもんな。無理もないのか。
俺達の集落で暮らしていた時にも、基本的には自分のことは自分でしていた新は、アカトキツユ村に移ってからも、これといってあんずとますらおを煩わせることもなかった。あんずとますらおの家の片隅を自分の寝床にして休み、朝になれば勝手に自分で食事をしに行って、パパニアンが虫除けのために塗り、白い毛を維持するのにも役立っている木の実を塗って手入れをするのも自分でやる。ただそれについては、手が届かない部分については、あんずに手伝ってもらったりもしているが、まあそれくらいはな。
正直、地味で変わり映えしない毎日が続く。興味もない人間がそんなのを見せられたら、確かに苦痛にもなるだろう。でも俺はそんな赤の他人の苦痛よりも、自分の家族の心情を優先する。絵的に派手なイベントで麗の気持ちを強引に切り替えさせようとも思わない。
普通のフィクションならそれで上手くいくんだろうが、現実ではそんなものが上手くいく保証はどこにもない。で、上手くいかなかった時には、
『どうして分かってくれないんだ!?』
とキレるんだろう? はっきり言ってそんなもの、やられた方としては迷惑以外の何物でもないだろうな。自分が望んでもないやり方をされて、『これで立ち直れ!』とか強要されるなんて、意味が分からない。そのデリカシーのなさが不快なんだとなんで分からないのかが分からない。
そうして俺達は、丁寧に麗に接し、陽と和のフォローも丁寧に行った。
その一方、新の方はどうしているかと言うと、少し寂しそうにしている時もありつつ、同時に、麗に煩わされることがなくなったのが良かったのか、すごく穏やかな表情をしているのが、あんずやますらおのカメラに捉えられていた。
やっぱり、新にとっては麗の気持ちは負担だったんだな。
とは言え、麗のことが嫌いというわけじゃないのも確かだろう。普通なら成長と共に親にじゃれつくのが収まっていくはずが別の意味で滅茶苦茶じゃれつかれるようになって、しかもそれがいつ終わるとも知れないという状態だったことで、さすがに疲れてしまったんだろう。
あくまで子供として仲間として麗にじゃれつかれている間は、迷惑そうにはしていなかった。麗が新を雄と見做して気持ちを向けるようになってきてからだ。新が戸惑った様子を見せだしたのは。
そう。麗が<子供>だった間は良かったんだ。成長すれば自然と離れていくから。なのに、離れていくどころか熱烈なアピールをするようになったんだもんな。無理もないのか。
俺達の集落で暮らしていた時にも、基本的には自分のことは自分でしていた新は、アカトキツユ村に移ってからも、これといってあんずとますらおを煩わせることもなかった。あんずとますらおの家の片隅を自分の寝床にして休み、朝になれば勝手に自分で食事をしに行って、パパニアンが虫除けのために塗り、白い毛を維持するのにも役立っている木の実を塗って手入れをするのも自分でやる。ただそれについては、手が届かない部分については、あんずに手伝ってもらったりもしているが、まあそれくらいはな。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる