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牢獄の女怪
投獄初日
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「む……」
頭を棍棒で殴られ昏倒したミカが意識を取り戻すと、そこは石が敷き詰められた地下牢の床の上だった。入り口のところで意識を失って倒れ込み、そのままにされたのだろう。
「……っ!?」
殴られた頭も痛んだが、それ以上にガツンと鋭い痛みが顎から脳天へと突き抜ける。
口の中に異物感があり床に吐き出すと、血塗れの小さな白い塊が「チッ」と音を立てて転がった。口の中に鉄臭い味が広がる。それが血であることはすぐに分かり、白い塊の正体も察せられた。
前歯だった。
石の床に倒れこんだ時に顔を打ち、前歯が折れたのだ。その激痛がギリギリとミカの脳髄を締め上げる。
「く……」
さすがにこれにはミカも小さな呻き声を上げてしまった。
歯が当ったことで口の中も派手に切れ、結構な出血になっている。
「……」
その痛みに耐えながら周囲を窺うと、人の気配はなかったものの、牢の扉はしっかりと閉ざされ、鎖も巻きつけられていた。鍵だけでも足りないとでも言うかのように。
『ご丁寧なものだな……』
折れた前歯の痛みに頭もよく働かなかったが、取り敢えずミカはその場に蹲り、少しでも痛みがマシになる姿勢を探った。
と言っても、さすがに麻酔でも掛けなければ収まるような痛みではなく、彼女はただそれに耐えるしかできなかった。
こうして投獄初日は、ただ痛みに耐えるだけで過ぎた。
おそらくまだ準備も完全には整ってない状態でミカらを連れてきたので、構っている暇もなかったのだろう。
食事も出なかったが、とても食べられるような状態ではなかったのもあり、別に気にならなかった。
一方、その頃、ルパードソン家の人間達は看守長の前に立たされ、
「お前ら、本当に憐れだな。
お前らのことも責めてやらなきゃと思ってたんだが、気が変わった。お前らはここで帝国のために働け。そうすりゃ手加減してやる。
そうさな。まずは改装工事の人足だ。人手はいくらあっても足りねえ。
まあ、死ぬ気で働くことだ。どのみちお前らは生きてここからは出られねえからよ。だったら、少しでもマシになるように努力しな」
と訓示を受けた。
「……はい…分かりました……」
この時点でルパードソン家の当主代理だったウルフェンスの弟が拳を握り締めながらもそう応える。
これにより、ルパードソン家の人間達は、端的に言えば<奴隷>として働くこととなった。
一番の理由としては全員を入れておくだけの牢がまだ用意できていなかったというものだったが、『人手が欲しい』というのも事実だっただろう。
加えて、ミカの態度があまりにもあまりだったので、ほんの僅かだが同情心が湧いたというのもあったのかもしれない。
頭を棍棒で殴られ昏倒したミカが意識を取り戻すと、そこは石が敷き詰められた地下牢の床の上だった。入り口のところで意識を失って倒れ込み、そのままにされたのだろう。
「……っ!?」
殴られた頭も痛んだが、それ以上にガツンと鋭い痛みが顎から脳天へと突き抜ける。
口の中に異物感があり床に吐き出すと、血塗れの小さな白い塊が「チッ」と音を立てて転がった。口の中に鉄臭い味が広がる。それが血であることはすぐに分かり、白い塊の正体も察せられた。
前歯だった。
石の床に倒れこんだ時に顔を打ち、前歯が折れたのだ。その激痛がギリギリとミカの脳髄を締め上げる。
「く……」
さすがにこれにはミカも小さな呻き声を上げてしまった。
歯が当ったことで口の中も派手に切れ、結構な出血になっている。
「……」
その痛みに耐えながら周囲を窺うと、人の気配はなかったものの、牢の扉はしっかりと閉ざされ、鎖も巻きつけられていた。鍵だけでも足りないとでも言うかのように。
『ご丁寧なものだな……』
折れた前歯の痛みに頭もよく働かなかったが、取り敢えずミカはその場に蹲り、少しでも痛みがマシになる姿勢を探った。
と言っても、さすがに麻酔でも掛けなければ収まるような痛みではなく、彼女はただそれに耐えるしかできなかった。
こうして投獄初日は、ただ痛みに耐えるだけで過ぎた。
おそらくまだ準備も完全には整ってない状態でミカらを連れてきたので、構っている暇もなかったのだろう。
食事も出なかったが、とても食べられるような状態ではなかったのもあり、別に気にならなかった。
一方、その頃、ルパードソン家の人間達は看守長の前に立たされ、
「お前ら、本当に憐れだな。
お前らのことも責めてやらなきゃと思ってたんだが、気が変わった。お前らはここで帝国のために働け。そうすりゃ手加減してやる。
そうさな。まずは改装工事の人足だ。人手はいくらあっても足りねえ。
まあ、死ぬ気で働くことだ。どのみちお前らは生きてここからは出られねえからよ。だったら、少しでもマシになるように努力しな」
と訓示を受けた。
「……はい…分かりました……」
この時点でルパードソン家の当主代理だったウルフェンスの弟が拳を握り締めながらもそう応える。
これにより、ルパードソン家の人間達は、端的に言えば<奴隷>として働くこととなった。
一番の理由としては全員を入れておくだけの牢がまだ用意できていなかったというものだったが、『人手が欲しい』というのも事実だっただろう。
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