悪しき女帝のためのパヴァーヌ

京衛武百十

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牢獄の女怪

他人の評価

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食事を終えるとミカは、ベッドに座って目を瞑った。今食べたものを自身の消化器官がしっかりと消化する様子を確かめるように。

胃が働いていることを感じ取り、消化に必要なエネルギーをそこに集中するために無駄に動かないようにしているのだ。

これもすべて、最も効率よく回復するためである。

こうしてある程度は胃の活動が落ち着いてきたと思うと、今度はゆっくりと体をほぐすように手足をぶらぶらとさせたり、その場で足踏みをしたりした。<動的ストレッチ>というものだろう。これにより全身の筋肉の状態を良好に保ち、明日に備える。

けれどそれら一連の動作は、その意味を理解できない者にとっては異様にも見えたようだ。

『やっぱりこの女、頭がおかしくなってるな……

まあ、いい体してるから頭がどうとかはどうでもいいけどよ』

彼女の牢の前で警備をしていた看守が覗き窓から見える光景にそんなことを思う。

しかしその種の<他人の評価>は、ミカにとってはさほど重要ではなかった。

『いかに責められても屈していない』

と、大多数の人間から見えればそれでいいのだから。

すると本当に、翌早朝までには、膣や肛門の痛みもほとんどなくなり、ほぼ万全の状態まで回復していた。

まったくもって途轍もない女である。

そして今日も<務め>を果たす。

「……」

一番手が看守長でなかったことについても、特に何も言わなかった。

「やった! 今日は俺が一番か!」

朝一でミカの体を貪りに来た、三十代後半から四十代前半くらいの看守が嬉しそうに口にした。

と、そこに、二番手の看守が来て、

「なんだよ、もう始めてんのかよ」

少々呆れ気味にそんなことを口にした。が、一番手の男は、

「そう言うお前だって…!」

と返す。で、二人して好き勝手にミカを嬲り始めた。

けれど彼女はやはり平然とそれを受け入れる。しかしそんな様子に、

『まったく…よくやるぜ……!』

扉の前で警備をしていた、昨夜の彼女を見て『頭がおかしくなってるな』と考えたりもしたのとは別の看守が、口には出さなかったものの呆れたように、心の中で吐き捨てた。

こちらの看守は、ミカのことがあまり好みではなかったらしく、ここまで参加していない。どうやらお気に入りの元メイドの囚人がいるようだ。だから、

『さっさと交代してスティアとやりて~!』

などとも思っていた。<スティア>というのがお気に入りの元メイドの囚人である。風呂場でミカに対して冷たい視線を向けていた中の一人だった。

まあその辺は余談なので脇に置く。



この後も、ミカは次々と訪れる男達の相手を淡々とこなした。

が、その中で一人、他の男達とは違った視線を彼女に向けている若い男がいた。

他の男達が<商売女>を見る目で見ていたり、難い<悪女>を軽蔑する目で見ているのと違い、明らかに熱っぽい目で見ていたのだ。

それは、ミカに縋るようにして彼女を求めた男の一人であった。

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