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牢獄の女怪
やはり来ぬか
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みすぼらしい服を着て、牢に監禁され、前歯が欠けているというのにミカの威厳は衰えるどころかむしろ凄みを増していたかもしれない。
あの地下牢で心が折れることさえなく生き抜いた経験が彼女の人間としての厚みを高めたからだろうか。
いずれにせよ、これでノーティアが男達の相手をすることになる期限は先に延ばされた。
しかし、この時のミカの態度もあって、ノーティアがミカに感謝するようなことはなかったし、そもそもいずれやらされることには変わりないので、そういう意味でも<感謝>というのはさすがにしにくいだろう。
元より、ミカ自身がそんなことを期待もしていない。だから青い顔をして自分を見上げていたノーティアに対しても、ただ冷たい目で見下ろしていただけだ。
一方、ノーティアに<務め>を果たさせようとした若い看守は、同じ看守達からどころか、元メイドの囚人達からさえ、
<子供とヤりたがる変質者>
という目で見られるようになり、それはまさに<針のムシロ>だったと思われる。
けれどそれでも、彼は他の職場への異動は望まなかった。代わりに毎日ミカのところに通い詰め、その度に涙を流して、
「すいません…すいません……」
などと謝罪しながら彼女を抱いた。
『まったく…どうしようもない男だな……』
ミカは内心呆れながらも特に叱責するでもなく彼の好きにさせ、自身は淡々と毎日を過ごしたのだった。
そして季節は巡り、冬が近付いてきた。
けれど、ミカの様子はまるで変わらない。
牢に閉じ込められているというのにまるでこの城の主の如く<君臨>している。
なお、この監獄とされた城は、元々、一年を通して快適に過ごせるようにと工夫を凝らして造られていたことで、中で暮らしている分には比較的快適だった。
壁の中や床下に水を流す水路があって、夏はそこに水を流すことで壁や床を冷やして室温を下げ、冬は水の代わりに暖炉の排気を通すことで温めるという形になっているのだ。
しかも、それは、全館含めて綿密に計算された上で作られていたものだったので、元々の部屋の一部を改修して囚人達の牢にしていることもあり、看守達が快適に過ごそうと思えば結果的に囚人達もその恩恵に預かる形で、一般的な監獄と言われるものよりは格段に快適に過ごすことができていただろう。
ただし、それを加味してもミカの監獄生活はストイックを極めていたと思われる。
誰よりも規律正しく、誰よりも禁欲的に、決して贅沢でもない食事にも一言も不満を漏らさず、パンくず一粒、スープの滴も残さず食べ、体を清潔に保ち、程よく鍛え、美しさを維持していた。その姿は彼女が思う通り、少しも『可哀想』に見えなかったのである。
なのに……
「やはり来ぬか……」
いつものように排泄を済ませた彼女は、ほんの一瞬だけ、浮かない表情をしたのであった。
あの地下牢で心が折れることさえなく生き抜いた経験が彼女の人間としての厚みを高めたからだろうか。
いずれにせよ、これでノーティアが男達の相手をすることになる期限は先に延ばされた。
しかし、この時のミカの態度もあって、ノーティアがミカに感謝するようなことはなかったし、そもそもいずれやらされることには変わりないので、そういう意味でも<感謝>というのはさすがにしにくいだろう。
元より、ミカ自身がそんなことを期待もしていない。だから青い顔をして自分を見上げていたノーティアに対しても、ただ冷たい目で見下ろしていただけだ。
一方、ノーティアに<務め>を果たさせようとした若い看守は、同じ看守達からどころか、元メイドの囚人達からさえ、
<子供とヤりたがる変質者>
という目で見られるようになり、それはまさに<針のムシロ>だったと思われる。
けれどそれでも、彼は他の職場への異動は望まなかった。代わりに毎日ミカのところに通い詰め、その度に涙を流して、
「すいません…すいません……」
などと謝罪しながら彼女を抱いた。
『まったく…どうしようもない男だな……』
ミカは内心呆れながらも特に叱責するでもなく彼の好きにさせ、自身は淡々と毎日を過ごしたのだった。
そして季節は巡り、冬が近付いてきた。
けれど、ミカの様子はまるで変わらない。
牢に閉じ込められているというのにまるでこの城の主の如く<君臨>している。
なお、この監獄とされた城は、元々、一年を通して快適に過ごせるようにと工夫を凝らして造られていたことで、中で暮らしている分には比較的快適だった。
壁の中や床下に水を流す水路があって、夏はそこに水を流すことで壁や床を冷やして室温を下げ、冬は水の代わりに暖炉の排気を通すことで温めるという形になっているのだ。
しかも、それは、全館含めて綿密に計算された上で作られていたものだったので、元々の部屋の一部を改修して囚人達の牢にしていることもあり、看守達が快適に過ごそうと思えば結果的に囚人達もその恩恵に預かる形で、一般的な監獄と言われるものよりは格段に快適に過ごすことができていただろう。
ただし、それを加味してもミカの監獄生活はストイックを極めていたと思われる。
誰よりも規律正しく、誰よりも禁欲的に、決して贅沢でもない食事にも一言も不満を漏らさず、パンくず一粒、スープの滴も残さず食べ、体を清潔に保ち、程よく鍛え、美しさを維持していた。その姿は彼女が思う通り、少しも『可哀想』に見えなかったのである。
なのに……
「やはり来ぬか……」
いつものように排泄を済ませた彼女は、ほんの一瞬だけ、浮かない表情をしたのであった。
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