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やっぱりこういう点では、軍事とか諜報とかに長けた部署も必要なんだね

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私は、カリン商会の支社の人達には、

「決められたことを決められたとおりにやってください。余計なことはしないでください。何か問題があったり上手くいかない時には本社の指示を仰いでください」

といつもお願いしてる。そして実際に畑に堆肥を撒く時にも、

「決められた量を決められたとおりに撒いてください。でないと畑が呪われてしまいます」

と言って勝手なことをしないようにお願いしてた。たぶん、それと同じことがここでも行われてるんだろう。しかもそれがもっと徹底してる感じ?

でもそれは、上手くいってる時はいいんだけど、何か想定外のことが起こった時には柔軟に対処できないという欠点を持ってることも私は理解してる。だから<報告・連絡・相談>を徹底してもらってるんだ。刻々と変わる状況を把握し、常に最善の対策をできるようにブレーンを備えるってことで。カリン商会でも、レンガトレント支社のガーラフェイルとウォレンタルマの二人が、ブレーンとして育ってくれてきてる。だから本社機能をレンガトレント支社に委譲できた。今後も、それぞれの地域の拠点とした支社には、本社と同等の権限を与えることも予定している。そうやって徐々に体制を強化していくつもりだった。

だけど、この、ムッフクボルド共和国では、そのシステムが硬直化してるのかもしれない。だから不測の事態があった時には対処できなくて、作物に大打撃が出てしまう可能性がある。その時は駄目でも、次でまた取り返せばいいという方針かもしれないけど。

もしくは、『最悪、他国から奪えばいい』とでも思っているのか……

軍事国家に舵を切ったのは、そういう考えがあったのかもしれないな。

私が感じたことを、クレフリータが補足してくれる。

「ここ、ムッフクボルド共和国は、元々は小さな国が集まっていたのを、共和国制(という建前)によって一つにまとめて生まれた国なんだ。しかも、共和国を構成するそれぞれの小国(だから厳密には連邦国家か?)の元首が持ち回りで、共和国としての代表を勤める。

その為、代表が変わる毎に共和国自体の方針そのものも変わってしまうということがかつてあった。それに対する反省から、大まかなところはしっかりと決めて勝手に変更できないようにした。

だが、今度は逆にそのことが足枷となって、柔軟な対応ができなくなっている。というのがこの国の現状だな」

彼女の説明に、「なるほど…」と唸ったのはルイスベントだった。彼は、農業や産業の分野に力を持つ派閥に所属してるから、他国のそういうことについてまではあまり詳しくなかったらしい。やっぱりこういう点では、軍事とか諜報とかに長けた部署も必要なんだね。

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