何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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国の重要人物同士が合う時には、八割方話はついていることも多い

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タレスリレウトの歌声は、その繊細そうな印象そのままにどこか儚げで、でも不思議なあたたかさがあるものだった。聞いてるだけで何故か涙が溢れてくる。その歌詞が、滅んで失われてしまった故郷の国を偲ぶ望郷の思いを綴ったものだったせいもあるかもしれない。

だからか、私以外にも、私の警護の為に傍にいたバンクレンチの部下達まで涙目で聞き入ってるのがいた。

「素晴らしい歌声だね。ぜひまた聞かせて。あなたの部屋は、使用人用のを使ってもらうことになるけど、それでいいかな」

声を掛ける私に、

「もったいないお言葉。あなた様が求める限り歌わせていただきます」

と深々と頭を下げた。

その後も、タレスリレウトは様々な歌を聞かせてくれた。そのどれもが、どこか切なげな、痛みを伴った歌詞とメロディーだった気がする。

「ほう? 吟遊詩人か。また粋なものを置いたものだな」

久しぶりに屋敷に顔を出したクレフリータがタレスリレウトの歌声を耳にしてそう話しかけてきた。

「でしょ? なんか素敵でさ」

応える私に、彼女はニヤリと笑って、

「間諜の類かと思ったが、どうなんだ?」

訊いてくる。

「私もそうかなと思ったんだけどね。正直、分からない。どっちでもいいよ。私達が約束通りに来るかどうかを探りに来たんだとしても、私はちゃんと行くつもりだから」

「そうだな。私の方からも探りはいれてるんだが、取り敢えず待つつもりのようだ。この国と向こうとはあまりいい関係ではないものの、今すぐどうこうというものでもない。一応、共にムッフクボルド共和国を構成する国同士、最低限の交流はあるから、それを通じて話をさせてもらった」

「そうなんだ。正直、リータがそうやって動いてくれてるから、私達はこうして無事にいられるんだろうなってすごく思うよ」

「それは否定はせん。この辺りの駆け引きは、戦をするにも話し合いをするにも必要なことだ。特に話し合いの場合には、国の重要人物同士が合う時には、八割方話はついていることも多い。国交とはそういうものだ」

「リータが言うと説得力が半端ないな。だけど確かにそうなんだろうなって感じる。ムッフクボルド共和国は建前だけでも共和制を取ってるらしいから、特にそういう根回しとかが重要なんだろうな」

「ああ。その通りだ。しかし、直接情報を得たいと考えるのも普通のことだからな。それがある限り、間諜の仕事は無くならん」

「欲しい情報を与えてあげれば大人しくしててくれる?」

「必ずしもそうとは言えんが、そういう場合も多いな」

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