何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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火の精霊と水の精霊とが仲違いしてしまっているのが原因です

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その村では、原因不明の病が流行していた。

それも、昨日今日始まったものじゃなく、何年も前からだそうだ。

主な症状としては、腹痛や嘔吐、下痢、全身の倦怠感、場合によっては高熱も発するという。

特に子供に多く、中には亡くなってしまう子もいるらしい。

だから私はまず、畑で作業をする前に、その病に冒された患者達を診ることになった。

魔法使いは、多くの場合、医者でもあるからね。

そんな訳で、魔法をフルに活かして患者達を診断した結果、

『大腸菌の反応がムチャクチャ多いよ。食中毒だな、これ……』

診た患者どころか、症状が見られない人も念の為に調べたら、辛うじて免疫が勝ってる状態なだけで、やっぱり大腸菌の反応があった。口の周りとかからも。

これはもう、日常的に口にしてるものが大腸菌に汚染されてるってことだ。

そして、あまりにみんなが保菌してるものだから、大人も子供も関係なく口にするもの、

<水>

を調べてみた。

そしたら案の定、日本で言ったら海水浴場で遊泳禁止が出るレベルを大きく超えた濃度で大腸菌が検出された。

普通に飲料水にしちゃダメな奴じゃん。これ。

清潔な生活環境に慣れた現代日本人に比べれば圧倒的に免疫力の高いこの世界の人達でも、免疫力が低い幼い子供や、大人でも少し体調が悪かったりしたら余裕でアウトだろうね。

一応、煮沸すればまだ大丈夫なんだろうけど、この辺りは水の硬度が高い地域が多い大陸にあって奇跡的に軟水と言っていいレベルにあったからか、ついつい煮沸せずに井戸から汲み上げたのをそのまま飲んじゃうこともあったらしい。

で、私は、その大腸菌による井戸水の汚染に思い当たる節があった。

『やっぱり、ウンチの処分場が原因だろうな……』

炭鉱は、距離は臭いがほとんど届かないくらいには離れてるけどここより高い位置にあって、多少知識のある人間ならすぐに思い付くようなものだけど、肝心のその<知識>がまだ十分じゃないここの人達にとっては、<原因不明の流行病>ってことになってしまうんだろうな。

こういうところからも、<教育>の必要性をすごく感じてしまう。

知っていれば簡単に回避できてしまう危険に、知らないが故に曝されてしまうっていうのはやっぱり残念だ。

取り敢えず私は、

「火の精霊と水の精霊とが仲違いしてしまっているのが原因です。なので、面倒ですけど、水は必ずしっかりとぐつぐつ沸かし、それを冷ましてから飲むようにしてください。

火の精霊と水の精霊に戯れてもらうんです。そうすれば今までのことが嘘のように収まりますよ」

と告げさせてもらった。

「おお……! そうでしたか……!」

村の人達は、『目から鱗』と言わんばかりに感心してた。

精霊の存在を信じてるここの人達には、この言い方がばっちりハマるなあ。

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