絵里奈の独白

京衛武百十

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いい人だと思いますよ?

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玲那は続ける。

「七号室の樫牧かしまきって人も<沙奈子ちゃんのファン>だったんだけど、お父さんが沙奈子ちゃんだけじゃなくて私や絵里奈とまで仲良くなったもんだからそれが許せなかったみたいで、嘘の通報したらしいんだ。

でも、それはただの嫌がらせだったらしいんだけど、あの来支間きしまって人がそれを真に受けちゃったってことなのかな。

その後、秋嶋さんが『虐待なんかなかった』って電話したらしいよ」

って。

時間がなくてそれ以上の詳しい話はその時には聞けなかったらしいけど、概要だけならそれで十分だった。ただ、玲那が聞いたという話を聞いた私の正直な印象としては、

『それってどこまで信用していい話なの?』

ってことだった。秋嶋さんって人が一方的に言ってることの全部が正しいという保証はどこにもない気がするんだよね。だけど、実際に本人と会って話をした玲那は、それを信じてるらしかった。信用に値するだけの何かを感じたってことかもしれない。だって、玲那は男性をそのまま信じるような子じゃないから。素直に信じられるような経験をしてきてないから。

そういう意味では、<玲那が信じてるってこと>自体が保証になるのかもしれないけどね。

それにしても、七号室の人って、窓から飛び降りて怪我して入院したって人でしょう?。そんな人が同じアパートに住んでたっていうのはやっぱりすごく不安になる。

「秋嶋さん、嘘の通報があったって知ってピンときたらしくて樫牧さんを問い詰めて、それでケンカになっちゃって、パニックになった樫牧さんが窓を突き破ってベランダから飛び降りたってのが真相みたいだよ」

なんて気楽に言ってるけど、それって大変なことじゃないの?。

いたるさんも当然、そう感じたみたいで、

「それって大丈夫なのかな?。その…、秋嶋さんって人のこととか」

と玲那に尋ねる。なのに彼女は、

「え?、秋嶋さん、いい人だと思いますよ?」

だって。さすがに私も『え~?』って顔になってしまうのが自分でも分かった。

確かに、その秋嶋さんって人がそうやって玲那に事情を話せて、しかも警察に留め置かれたりしてないってことは、<事件>としてはホントに些細なことで、もう終わりってことなのかもしれなくても、気分は良くないって。

これはやっぱりちゃんと私達が傍にいて沙奈子ちゃんを守ってあげなくちゃ。

そういう気持ちがさらに強くなるのを感じたんだよね。

ホント、色々あるなあ。

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