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番外編 その後の二人<ディミトラとアリシア>
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ディミトラから正式な招待を受け、アリシアはお茶会のために登城していた。
「本日はアイラ王女殿下と三人でのお茶会と伺っておりますが、ご体調はいかがですか?」
アリシアの問いに、一人がけのゆったりとした椅子に腰かけたディミトラは手にしていた扇をパチリと閉じる。
「体調はだいぶ落ち着いているよ。アリシアには気苦労をかけるかもしれないが、今日はよろしく頼む」
「微力ながらお役に立てるよう頑張ります」
ディミトラから指定されたお茶会の開始時間は王女へ知らせた時間よりも少し早めだったらしい。
アリシアはつかの間のディミトラとの会話を楽しむ。
「アリシア、私はなかなか気難しくてな。自分の気に入る者を不当に攻撃されるとたいへん腹立たしく感じるたちなのだよ」
「腹立たしく、ですか?」
アリシアから見て、ディミトラはとても公正で公平な皇太子妃だと思う。
私情を挟むことなく頑張った者にはきちんと相応の評価をしている。
そう思うと『気難しい』という言葉は当てはまらないように思えた。
「王家周辺や政治の中枢にいると多くの者は歪む。たとえ歪んでも民にとって正しい政策をしていればそれは問題ではない」
そこで一息つき、ディミトラは言葉を続ける。
「しかし、周りが化かし合いをしている者ばかりになると荒むのだよ。そんな中でルーカス公もアリシアも、誠実で実直でい続けている。二人とも得難い人材だということを案外本人たちが一番理解していないだろう?」
褒められているのだが、アリシアにはいまいち実感がなかった。
アリシアにしてみれば特別に意識していないからだ。
その様子を見てディミトラは微笑む。
「アリシアにはそのままでいて欲しいところだな」
「何かを改めるつもりはありませんのでおそらくこのままだと思いますが、それで良い、ということでしょうか?」
「そういうことだ」
満足げに言ってディミトラはカップのお茶を飲む。
王女が来たら新しく入れ直すつもりなのか、二人の前にはすでにお茶が振る舞われていた。
お茶会の場所は王城の中庭にある東屋だった。
外でのお茶会はディミトラの体に障るのではないかと心配したが、今日は天気が良いため気分転換にもなるだろうと決められたようだ。
そしてディミトラは王女と長々と茶会をする気はないらしい。
「アリシア、そなたは正式な公爵夫人だ。たとえ相手が他国の王女であっても遠慮する必要はない。無礼な行いに対して抗議するのも当然の権利だよ」
「しかし、相手はあまり交流のない国の王女殿下です。問題にならないでしょうか?」
「トウ国の国王が愚かでなければ王女が騒いだところで問題にはしないだろう。まぁ、これで問題にするような国であれば積極的に交流する必要もないと結論が出るがな」
そうやって二人で話していると、ディミトラ付きの専属侍女が王女の来訪を伝えにくる。
「現実が見えていないお姫様がやってきたようだな」
相変わらずどこまでいっても辛口のディミトラに、アリシアは思わず笑ってしまった。
「本日はアイラ王女殿下と三人でのお茶会と伺っておりますが、ご体調はいかがですか?」
アリシアの問いに、一人がけのゆったりとした椅子に腰かけたディミトラは手にしていた扇をパチリと閉じる。
「体調はだいぶ落ち着いているよ。アリシアには気苦労をかけるかもしれないが、今日はよろしく頼む」
「微力ながらお役に立てるよう頑張ります」
ディミトラから指定されたお茶会の開始時間は王女へ知らせた時間よりも少し早めだったらしい。
アリシアはつかの間のディミトラとの会話を楽しむ。
「アリシア、私はなかなか気難しくてな。自分の気に入る者を不当に攻撃されるとたいへん腹立たしく感じるたちなのだよ」
「腹立たしく、ですか?」
アリシアから見て、ディミトラはとても公正で公平な皇太子妃だと思う。
私情を挟むことなく頑張った者にはきちんと相応の評価をしている。
そう思うと『気難しい』という言葉は当てはまらないように思えた。
「王家周辺や政治の中枢にいると多くの者は歪む。たとえ歪んでも民にとって正しい政策をしていればそれは問題ではない」
そこで一息つき、ディミトラは言葉を続ける。
「しかし、周りが化かし合いをしている者ばかりになると荒むのだよ。そんな中でルーカス公もアリシアも、誠実で実直でい続けている。二人とも得難い人材だということを案外本人たちが一番理解していないだろう?」
褒められているのだが、アリシアにはいまいち実感がなかった。
アリシアにしてみれば特別に意識していないからだ。
その様子を見てディミトラは微笑む。
「アリシアにはそのままでいて欲しいところだな」
「何かを改めるつもりはありませんのでおそらくこのままだと思いますが、それで良い、ということでしょうか?」
「そういうことだ」
満足げに言ってディミトラはカップのお茶を飲む。
王女が来たら新しく入れ直すつもりなのか、二人の前にはすでにお茶が振る舞われていた。
お茶会の場所は王城の中庭にある東屋だった。
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そうやって二人で話していると、ディミトラ付きの専属侍女が王女の来訪を伝えにくる。
「現実が見えていないお姫様がやってきたようだな」
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