【幼馴染の過去改変はハッピーエンドで終われるか!?】

久久泉

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【 1章 】

10話 〔11〕

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 それは恐怖に満ちた形相なんかが見えるわけではなく、断末魔の叫びが聞こえるわけでもない。ただ、いつも何かを必死で訴えかけているような、念みたいなものが空気の中に色濃く混じっている……。

「シュウちゃん……?」

 鞄を持つ左腕の袖をそっとつままれながら、由那に小声で名前を呼ばれた。
 僕の不自然な間に何か感じ取ったのかもしれない。由那は頭の回転が早いし、感も鋭い。さぞかし不安な表情をうかべていることだろう……。

「あ、あぁ……、なんでもない。部室にケータイを忘れたかと思ったけど、大丈夫みたいだ」

 何事も無かったように扉を閉め、微笑みでつくろいながら向き直る。

「帰ろう」

 由那の不安を打ち消すように、つまんだ手を取ってしっかりと繋ぎ直すと、彼女は何も言わず、普段の優しい顔に戻った。

 廊下を少し進んだ所で、未那とマリアが僕達を待っていたので、すぐに追いついて四人横になって歩く。


 ¶


「あっ、そうです!」

 学校の玄関を出ると、いきなりマリアが何か思いついたように声をあげた。

「明日はちょっとした実験をしてみませんか!?」
「……実験?」

 も不思議そうに聞き返した未那だったが、その声はどことなくたのしげだ。
 未那も今日のような議論ばかりも少なからずは飽きていたのかもしれないが、科学研究部としては実験などは望むところだ。

「先に言っておくけど。未那の幽霊理論を実践して、時間移動したい! なんて言うなら止めておきたい」

 僕の冗談に、マリアは笑いながら首を横に振った。

「今日の時間移動の話の殆どは、相対性理論が関係していますよね?」
「そうね、議論のとおり相対性理論無しでは語れないわ」

「だけど、その相対性理論自体がだいぶ疑わしい、ってことじゃないか?」

 僕にはマリアの言いたいことが、イマイチよくつかめないでいた。

「はい! だからこそ相対性理論の真偽の裏づけが必要だと思うんです!」

 それはしかり。だがもし、正しくないことが証明されれば、既存のタイムマシン理論は破綻しかねない。

「けど、どうやって? あたし達には調べようもないわよ?」
「そこはマリアに任せてください! 家におもしろい物があるのを思い出しました!」

「おもしろい物って……?」
「それはまた明日、家から持って来るので! それまでナイショってことにします!」

 双子姉妹は揃って釈然としない様子の顔を見合わせた。

「そうか、なんか楽しみだな」

 めずらしくマリアがすごくやる気を出してくれているようなので、誰もが水を差すようなことは言わなかった。

「そういえば……聞いてなかったよな。マリアはどっちなんだ? 時間移動は可能だと思うか?」
「えっ、マリアは――」

 立てた人差し指を唇にあてがって考える仕草をしながら、ドキッとするような少女の笑顔を見せる。



「できると思います! だって、アニメやドラマだと特に根拠は無いけど、タイムスリップする話はいっぱいあるじゃないですか!」

 その言葉が本気だったのか冗談だったのかはわからないけれど、やっぱりこいつはいつも無邪気でいいな。と、僕は思った……。
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