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【 2章 】
8話 〔19〕
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――数年前。日本では、ある情報がネット上の掲示板で話題になったことがある。
それは、今から百年先の未来人と名乗る人物が、未来からネットワークを通じてメールを転送し現代の掲示板にメッセージを書き込んで、そこの住人といくつかやりとりをした。というものだ。
そのなかで自称未来人は、前東京都知事の辞任と現アメリカ大統領の当選を事前に言い当てている。
それが単なる偶然かはいまだ判明していない。だが人の意思では変動しないであろう事象、東海地震(ここでは南海トラフと同じ)の発生する年を予言しているので、それを待って立証することになる。
「実際は電波の特性で可能としてるのかもしれないけど、時間系列から見るとそうなるな」
「時間って……、よく川の流れに例えられるけど……」
「ほんのちょっとですけど、その流れのギャップを乗り越えるってことですか!?」
シュウは目を閉じて、何かをイメージしているみたいだった。
「太陽の光ってのは地球に届くまで、光速でも八分以上かかってる計算なんだ」
「うん。その光の粒子は……太陽では八分前に過ぎた出来事……」
「えーっと? それだと地上からここまで電波が来るっていうのは、なんとなくわかりますね!」
「でもな、この問題では逆のことも起こっていることになるんだよな? 現在の地球から八分過去の太陽に電波を送るようなものだ」
「アレッ!? シュウ君それって、もう未来の光が現在の地球に届いてるってことになるんじゃないですか?」
「…………!」
マリアの素直な疑問に、シュウと由那のふたりは目を瞬かせた。
「それって……、現在の地球から見て、未来はもう決定していたことになるんじゃ……」
少なくとも八分前まで太陽が存在しなければ、いま地球に飛来する太陽光はないし、一万光年離れた恒星から放たれた光は、現在の地球より一万年先の未来まで決定していたからこそ今届いている。
「未来は決定してる? って、もうわけわかんないな、どうなんだ未那?」
シュウは頭を掻いて降参した。
それはそうだ。時間の概念というものに対して、「時間は流れではない」と言う者や、「そもそも時間など存在しない」と唱える者すらいるぐらいなのだから。
いくらシュウが賢くても答えを出せるものではない。意地悪すぎたと思わずクスリと笑う。
「残念ねぇ、そういう風に考えてたらダメなのよ、シュウ」
私は、わざと大げさにやれやれって感じのジェスチャーをして返す。
「答えはもっとシンプルよ。ケータイから送った時点はすでに過去だし、受け取る側はそこからは更に未来なんだから」
「あっ……」
やられた……と、驚きの顔。由那とマリアも小さく口を開けた。
「固定観念は時間の概念を想像するうえでは禁物ってことよ」
シュウはひとり、まだ考え込んでブツブツと口を動かしていた。
それは、今から百年先の未来人と名乗る人物が、未来からネットワークを通じてメールを転送し現代の掲示板にメッセージを書き込んで、そこの住人といくつかやりとりをした。というものだ。
そのなかで自称未来人は、前東京都知事の辞任と現アメリカ大統領の当選を事前に言い当てている。
それが単なる偶然かはいまだ判明していない。だが人の意思では変動しないであろう事象、東海地震(ここでは南海トラフと同じ)の発生する年を予言しているので、それを待って立証することになる。
「実際は電波の特性で可能としてるのかもしれないけど、時間系列から見るとそうなるな」
「時間って……、よく川の流れに例えられるけど……」
「ほんのちょっとですけど、その流れのギャップを乗り越えるってことですか!?」
シュウは目を閉じて、何かをイメージしているみたいだった。
「太陽の光ってのは地球に届くまで、光速でも八分以上かかってる計算なんだ」
「うん。その光の粒子は……太陽では八分前に過ぎた出来事……」
「えーっと? それだと地上からここまで電波が来るっていうのは、なんとなくわかりますね!」
「でもな、この問題では逆のことも起こっていることになるんだよな? 現在の地球から八分過去の太陽に電波を送るようなものだ」
「アレッ!? シュウ君それって、もう未来の光が現在の地球に届いてるってことになるんじゃないですか?」
「…………!」
マリアの素直な疑問に、シュウと由那のふたりは目を瞬かせた。
「それって……、現在の地球から見て、未来はもう決定していたことになるんじゃ……」
少なくとも八分前まで太陽が存在しなければ、いま地球に飛来する太陽光はないし、一万光年離れた恒星から放たれた光は、現在の地球より一万年先の未来まで決定していたからこそ今届いている。
「未来は決定してる? って、もうわけわかんないな、どうなんだ未那?」
シュウは頭を掻いて降参した。
それはそうだ。時間の概念というものに対して、「時間は流れではない」と言う者や、「そもそも時間など存在しない」と唱える者すらいるぐらいなのだから。
いくらシュウが賢くても答えを出せるものではない。意地悪すぎたと思わずクスリと笑う。
「残念ねぇ、そういう風に考えてたらダメなのよ、シュウ」
私は、わざと大げさにやれやれって感じのジェスチャーをして返す。
「答えはもっとシンプルよ。ケータイから送った時点はすでに過去だし、受け取る側はそこからは更に未来なんだから」
「あっ……」
やられた……と、驚きの顔。由那とマリアも小さく口を開けた。
「固定観念は時間の概念を想像するうえでは禁物ってことよ」
シュウはひとり、まだ考え込んでブツブツと口を動かしていた。
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