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【 6章 】
3話 〔58〕
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それから、ことあるごとに利用している駅前に到着すると、こちら(といっても私自身のことは含まないんだけど)の三人を見つけたマリアが大きく手を振って迎えていた。
「おはよう。マリア」
「おはようございます! みなさん遅いですよー!」
「シュウがぐずぐずしてるからよねぇ」
「変なこと言うなって、時間どおりだろ」
「えへへ、待ってないです。実はマリアもいま来たところでした!」
仲良くからかい半分で、シュウをいじり合っている。いまとなってはそれも羨ましい光景だった。
合流した四人は改札を抜けてホームに上がると、間もなくはいってきた予定の電車に乗り込んだ。
私は構わず後からそれに続いて、車内で邪魔にならないように注意する。
(確かこのときは、他県の海水浴場まで足を延ばしたんだったわよね)
¶
二時間半ほど電車に揺られて目的の海水浴場にやって来ると、もうお昼近くになっていて、ビーチはすでに大勢の人でごったがえしている。
長い砂浜が続く美しい海岸で、遠浅の海辺は天気のいい日は波も穏やか、海の家やレジャーも豊富。この時期は若い男女の他に、ファミリー・海外旅行の観光客からの人気も高い。
四人も早速近くの更衣室を利用して、水着に着替えるとビーチに繰り出した。
先日、みんなそろって買いに行った水着を身に着けている。
(なかなか似合ってるわね)
シュウは無難な膝上丈のサーフ型水着ながら鮮やかな色使いの柄で、選んであげた私達のセンスの良さが光る。
ミナの水着は……大人っぽい黒のヒモビキニ。我ながら若い肢体がはちきれんばかりに眩しい。
どうやら久々の海で気合を入れすぎていたらしい。
こうやって客観的に見るとかなり刺激的だ。いまにも胸がこぼれそう、見ているこっちの顔が赤くなるくらいだった。
(これは……やりすぎだわ)
シュウも目のやり場に困ったように視線をそらしているのがわかる。
一方、由那は持ち前の長い黒髪をトップで纏め、大きなお団子が仕上がっている。それに合わせるのは、上下のフリルが可愛らしい控え目な白ビキニ……のはずが、元々私と変わらぬボリュームのポテンシャルを隠し切れていない。
(これは由那にしてやられたわね、周りの男どもの注目をあたしに向けさせて自分から注意をそらす計算だったとは……)
当時、気に留めていなったことが、いまこの視点だからこそわかることもある。
それは、最後に登場したマリアのことがそうであったようにである。
長いツインテールを半分に折り曲げて、頭の後ろでひとつに合わせて留めている。
そして、マリアに至ってはあまり胸が目立たないタンキニのレディースビキニの装いだった。気になる下半身は付属のパレオスカートで隠れていて、ちょっとやそっとではバレることはない。
なんてことだ、あのときはあまりに違和感がなくて完全に無防備だった。当然のように女性用更衣室を使用して、私の体も見られていたということに……。
「おはよう。マリア」
「おはようございます! みなさん遅いですよー!」
「シュウがぐずぐずしてるからよねぇ」
「変なこと言うなって、時間どおりだろ」
「えへへ、待ってないです。実はマリアもいま来たところでした!」
仲良くからかい半分で、シュウをいじり合っている。いまとなってはそれも羨ましい光景だった。
合流した四人は改札を抜けてホームに上がると、間もなくはいってきた予定の電車に乗り込んだ。
私は構わず後からそれに続いて、車内で邪魔にならないように注意する。
(確かこのときは、他県の海水浴場まで足を延ばしたんだったわよね)
¶
二時間半ほど電車に揺られて目的の海水浴場にやって来ると、もうお昼近くになっていて、ビーチはすでに大勢の人でごったがえしている。
長い砂浜が続く美しい海岸で、遠浅の海辺は天気のいい日は波も穏やか、海の家やレジャーも豊富。この時期は若い男女の他に、ファミリー・海外旅行の観光客からの人気も高い。
四人も早速近くの更衣室を利用して、水着に着替えるとビーチに繰り出した。
先日、みんなそろって買いに行った水着を身に着けている。
(なかなか似合ってるわね)
シュウは無難な膝上丈のサーフ型水着ながら鮮やかな色使いの柄で、選んであげた私達のセンスの良さが光る。
ミナの水着は……大人っぽい黒のヒモビキニ。我ながら若い肢体がはちきれんばかりに眩しい。
どうやら久々の海で気合を入れすぎていたらしい。
こうやって客観的に見るとかなり刺激的だ。いまにも胸がこぼれそう、見ているこっちの顔が赤くなるくらいだった。
(これは……やりすぎだわ)
シュウも目のやり場に困ったように視線をそらしているのがわかる。
一方、由那は持ち前の長い黒髪をトップで纏め、大きなお団子が仕上がっている。それに合わせるのは、上下のフリルが可愛らしい控え目な白ビキニ……のはずが、元々私と変わらぬボリュームのポテンシャルを隠し切れていない。
(これは由那にしてやられたわね、周りの男どもの注目をあたしに向けさせて自分から注意をそらす計算だったとは……)
当時、気に留めていなったことが、いまこの視点だからこそわかることもある。
それは、最後に登場したマリアのことがそうであったようにである。
長いツインテールを半分に折り曲げて、頭の後ろでひとつに合わせて留めている。
そして、マリアに至ってはあまり胸が目立たないタンキニのレディースビキニの装いだった。気になる下半身は付属のパレオスカートで隠れていて、ちょっとやそっとではバレることはない。
なんてことだ、あのときはあまりに違和感がなくて完全に無防備だった。当然のように女性用更衣室を使用して、私の体も見られていたということに……。
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