声劇・セリフ集

常に眠い猫

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1人用声劇

小説っぽい 地文字とセリフの使い分け重要「青翠者」

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そこは海の底の神殿の中。
長く続く階段の中腹だった。
俺はそこに座り込み、うなだれている。
その様子を心配そうに後ろからみんなが見ていた。
全てが終わっていた。やるべきことも、なすべきことも、何もかも。
そして俺は知った。
俺は『全ての核』なのだと。
今まであった破壊を、そしてこれからあるだろう崩壊を止めるには、、、。
その事実を俺以外にはとある人だけが知っている。
俺は立ち上がって階段を降りた。
螺旋階段になったその壁には、魔法なのかなんなのか、水の壁がすぐ向こうにあった。
下を見ると、昔あったのであろう街並みと水路がはるか下の海底に見える。
美しく、いつまでも見ていた異世界。
俺は昔その世界にいた。
忘れていたことを思い出した中に、そんな記憶があった。
ゆえに海の中でも、俺は息が出来る。
俺は振り返った。
ここまでついてきてくれた人たちの顔が、上にある。
ぁぁ、なんていい眺めなのだろう。
幸せに浸りそうになって、止める。
そんな俺を遮るかのように、みんなの前に女が立ちふさがった。
格闘に長けた、剣でもそれなりの腕を持つ女。
彼女は、俺の全てを知っている。
そして、彼女は昔あった、この湖の中に住んでいた一族の末裔。
そして俺はその町を滅ぼした原因の一つ。
彼女は俺を憎んでいる。
「こいよ。レイティア」
俺が呼びかけると、彼女の体がピクリと動く。
「今まで済まなかった。我慢、していたのだろう?」
その言葉に、少し目の輝きに曇りが生じたのは、気のせいだろうか。
「俺はお前の仇で間違いないんだ、レティ。さぁ、こい!」
俺が最後に両手を広げそう言うと、彼女はゆっくりと歩き出す。
「そう。それでいいんだ」
その歩みは少しずつ走りに変わってゆく。
「このまま俺を殺しても、なんの支障もない」
階段の上だというのに、彼女の走りは乱れのないまっすぐなものとなり。
「だって俺は」
彼女は剣を抜き放ち、全速力で走りながら突きの構えを取る。
そして

「俺はもう、死んでいるのだから」

その言葉と同時に、彼女の剣が深く深く突き刺さり、背中から血濡れた剣先が姿を現していた。
「がはっ」
大量の血を口から吐き出し、数秒の沈黙の後、剣は、抜かれる。
「それで、、、いい」
俺は背後の海の中に落ちていった。


くるしい。
そう思って息を止めようとするか、すぐさまそれは息ができない苦しさとは違うことに気づく。
あぁ、そっか。海の中でも息できるんだっけ。
そう思い、全身の力を抜いた。
一つだけ、言わなかったことがあった。
どうしても、言えなかったことだ。
俺は全ての核であり、全ての破壊を止めるには、確かに俺を殺さなければならない。
しかしそれは破壊を止めるのではなく。
『核がない世界に作り変えられる』だけ。
ゆえに俺はまた戻ってこられるし、あいつらは全てを忘れているだろう。
ここに来る前に、そういえば先生と喧嘩をしたっけ。
謝らないできてしまった。
戻ったら、きちんと謝ろう。
長老ともいろんな話をしたかったな。
次こそは昔の話を真剣に聞き出してやろう。
あの黒人にもなんでそこまで真っ黒なのか聞いてなかった。
あれは気になって仕方がないのに。
そんなふうに思いを巡らせていると、少しづつ体が軽くなっていく。
海の水の中、まるでゆりかごのように揺られているからか、とても眠い。
もうすぐ終わる。何もかも。本当に全てが終わりを迎える。
夢を見よう。見られるように、いろんなことを考えよう。
次目覚めた時はきっと、みんなと幸せで、ほのぼのとした日々を送れるように。
また、楽しく話せる、ように、、、。
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