声劇・セリフ集

常に眠い猫

文字の大きさ
56 / 96
1人用声劇

女 「狂気じみた愛」

しおりを挟む
 ねぇ、それなら、聞いてくれる?
 私はね、愛のためならなんだってできるのよ?
 それこそ、どんなことだって、すべてをね。
 誰かが私を嫌おうと、憎もうと。
 私にとっては愛以上に重要視するべきことじゃない。
 それは私自身も同じ。
 私と言う存在も、愛より下に位置するの。
 愛を貫くか。自身が生きる道を選ぶか。どちらかを選べと言われたら。
 私は喜んで死を受け入れるわ。それどころか、求めることすらするでしょうね?

 どうして?

 どうしてそこまでするのかって?あなたが聞くの?
 面白いわね。なにも気づいていないなんて。
 あのね?私は、あなたを愛しているから今ここにいるの。
 それはわかる?
 私はあなたを愛していて、あなたしか愛していないの。
 あなた以外の全てが私にとってはついででしかない。
 周りの環境を整えるのも。
 いい彼女を演じているのも。
 まともに見えるように振る舞っているのも。
 何もかも。あなたを愛していると言う感情が引き起こした結果よ?
 貴方のためにやったの。とは口が裂けても言えないわ?
 そんな重いものを貴方に背負わせたくないし、嫌われるようなことを進んでやる私じゃないもの。
 それに、貴方のためにやっていることかと言われたら消して肯定できない。
 だってこれは、貴方を愛している私が、勝手に、やりたくてやっていることだもの。
 本来なら、貴方にはなーんの関係もないことなのよ?
 貴方に話すようなことでもない。
 ならなぜ話しているのかって、貴方はそれが聞きたいんでしょう?

 貴方が心の底から望んでくれたから。

 理由はその一点よ。
 どう言うことかわからない?
 なら、説明するわね?
 私はね?貴方の一挙一動に目を向けて、貴方がなにを考えているのかを把握しながら日々を過ごしてきたの。
 言葉の使い方、声のトーン。表情や目の動き、体の動きから息遣いまで注意して、貴方が心の中でなにを思っているのか。その感情の動きを今まで見てきた。
 私相手に少し嘘をついていることも、私はきちんと知っている。
 だけど、それを私には気づかれたくないと言う内心も私はわかってしまったから、あえて気づかないフリをしていたの。
 貴方のやることに私はなんの不満も抱かないから安心してね?
 話を戻すわ。
 毎日毎日見てきた中で、貴方の感情のパターンを見つけたの。主に『心から願っていること』が発言から分かるようになった。
 そして今。あなたが私に対して「話してくれ」と言ってきた時、貴方は心の底から私の本心や本性が知りたいと、そう求めたのがわかったの。
 嘘をついてほしくない。全部知りたい。
 それも、私を信じたいからの行動。
 本心を聞いたからと言ってその気持ちが変わることはないと、どこか確信してもいるわね。
 だから、話してるの。
 本当なら、黙って嘘をつくこともできたのだけど、貴方の意思ったら今まで見たどんなパターンよりも一番強いみたいなんですもの。
 そんな強い意志に、私が逆らうわけがないわ。
 他の人間なら、違うのだけれどね?

 そう。私は貴方を愛している。
 貴方以外の全てが私にとってはついででしかない。それは、私自身の全てを含めて、ね。
 だから、どんなことでもするし、どんな嘘もつく。
 逆に、貴方が望めばこうして真実も話す。
 貴方が望めば、あらゆるもの全てに危害も加えない。
 その逆も、然り。
 貴方の意思一つで、私を自由に扱えるの。
 生かすことも、殺すこともできる。
 貴方がなにも望まずに私をこのまま放置するのであれば、私は勝手に、貴方に対する愛に従僕し、生き続けることになるわ。
 可もなく、不可もない。そこらへんにいる一人の女と同じような振る舞いで、貴方のためだけに生きてゆく。
 私は別に、それで幸せだからいいのだけれど。
 今この全てを知った貴方はあまり心情がよくないんじゃないかしら。


 これが私の全て。
 気持ちの悪い言い方をするなら、私は。
「貴方に対する愛の奴隷」ってところなのかしらね。
 誰にも迷惑をかけず、私一人で完結した奴隷。
 さて。貴方はこの話を聞いて、どうしたいの?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...