声劇・セリフ集

常に眠い猫

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一人用セリフ

脳内日記。独り言。風邪「私はハイテンションイズ病院!」

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志亜さん小さな日記帳。

 わたしは今病院に来ている。
 受付は済ませ、待合室でのんびりゲームをして待っているわけだが、こう、退屈しないものだな。
 小さなかわいい子供たちがいっぱいいて幸せ気分だ。
 しかし泣いてる子たちがやけに多いので、どうにかしたくなるが我慢。
 わたし自身インフルエンザの疑惑がかかっているので、やたらと近づけない。
 母親でさえ最低10センチの距離を常に保っているのだ。
 ぁぁ、悲しいかな。
 んまぁ全然悲しんでもいないし、仕事をしてることを考えると当たり前なのだが。
 インフルエンザに関して話すとなると、約4、5日前に遡るのだが、まぁ聞いてくれ。
 お前は誰でなにがしたいんだというツッコミはなしだ。あのなにが言いたいんだもなしだ。
 わたしの言動に関して突っ込みたいのはわかるが我慢してくれ。

 というわけで、インフルエンザが我が家に来たのは4、5日前に遡る。

 その日、祖母の様子が少しおかしかった。
「ん?どうしたの?何かあった?」
 わたしがそう聞くといつものように突っぱねて。
「なんでもないわよ」
 と言う。
 この野郎素直に話しやがれい。
 と内心思ったのは内緒だ。
「そう、、、まぁ、ならいいけど」
 わたし相手にホイホイ話しような人でもないから、まぁ仕方ないかと思いつつそう返し、わたしはやるべきことに専念した。

 次の日、祖母の様子はさらにおかしくなっていた。
 変人になっていたとか、父親のように変態化したとか、誠のように鬼畜になったとかそういうことではなく。
 明らかに体調が悪そうなのだ。
 仕事から帰ってきてからというもの、終始だるそうというか。
「ねぇねのところに行くから、あとはよろしくね」
 覇気のない声で言われれば「あ、うん」としか言えなくて、そのまま玄関を出て車を出す祖母を黙って見送った。
 あ、説明し忘れてた。
 わたしは毎日、夕方になると一階のキッチンに降りてみんなの分の夕飯を作ったり、お風呂洗ったりしている。
 そして祖母が仕事から帰ってくるのがちょうどその時間と重なるので、夜はほぼ下にいるということになる。
 そしてそれは同時に、ばあばと同じ階に長くいるという事になる。

そして次の日、ばあばは前日ねぇねの家から帰ってきて「びょういんにいったらずっとねてるから」という言葉を実行に移し、病院に行ったあとはずっと部屋から出なかった。
「お母さん、インフルエンザだって」
「げ、まじかよ」
 夕方6時ごろ。
 母が帰ってきて祖母の病名について話してくれた時の第一声がそれだった。
 つ、つい声に出ちゃっただけなんだからね!
 、、、冗談は置いておいて。
 インフルエンザが我が家にお越しなさったと気付いたのはその日だった。
 インフルエンザとわかったならうつってはまずいと、ご飯やお風呂をさっさと済ませみんな二階に上がらせた。
 私は、まぁ家事があるわけでそうすぐには上がれない。

次の日、1日寝ていたからなのか、祖母の様子は前日より良くなっていた。
「お?随分と良くなったのか?」
と思ったがそうではなく、チラリズムと祖母の部屋を覗けばベットで寝ながらテレビを見ていた。
「あ、なーるほど」
「なに?」
「いやなんでも?」
 そっと扉を閉めた。
 まぁ完全になおったわけではないが、前日よりかはマシになったってそういうことか。
「んまぁ、良くなってるみたいだし、よかったよかった」
 うんうんと頷いた。

 次の日、私に要らぬお鉢が回ってきた。
 言葉の使い方間違ってたっけ?
 その日私は従兄弟に絵を描いていた。
 アニメの主人公と、マスコットキャラ(?)をかくため、コピックという画材を使っていたのだが、コピックのインクの匂いは何かと癖があって強烈。
 そんなのを匂い続けてどれほど時間がかかったかは覚えてはいない。覚えてはいないがしかし。
「あ、あったまいてぇ」
 となってしまったのだ。
 とりあえず描いた絵を誠に預け、夕飯を作る事に取り掛かったのだが、頭痛は収まるどころか勢いを増すばかりで。
 夕飯を作り終えた頃には、もう頭なんか割れた後なのではないかというほど、頭痛はヒートアップしていた。
「コピック、、、恐るべし」
?チーン、、、。

 それからというもの、その頭痛に悩まされ、夕飯は自分で作ったおかゆになった。
 しかし聞いてくれ!
 そんなっ、、、そんな日に限って!
 うちの母親はっ、母親はっ!

「なんで今日に限ってブリの刺身なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 ブリは! 私の! 大好物なのに!
 しかもこの季節はまだギリギルブリの美味しい季節!
 のにもかかわらず今日食べられない今日!
 まさかのブリの刺身ぃ~!

 私は、ブリの刺身が切られている様を脳裏に浮かべつつ、たまごと豆腐とほうれん草で作ったなんちゃってお味噌雑炊を、悔し紛れに掻き込むのだった。

 そして今日。
 私は朝叩き起こされて病院に連れてこられた。
 あちこちで子供の声が聞こえる。かわゆい。
 もうその場でぎゅうしてなだめてあげたい。シール?診察後にもらえるシールが欲しいのかい?ならあげようだからほら大丈夫だよぉ~?
「か、かわいすぎる」
 変質者ここに現る。
 そんなことを思っていてもお顔は真顔なのだから、よっぽどの変質者とみたぜ。ふん。
 そうして堪能していると、次々と人が入ってきては椅子に座る。その中で、右側壁に位置する椅子に座った、一組の親子がいた。
 女親子なのだが、何というか。私が言うのもアレなのだが、全体的にこう、豊かなお身体をしているわけでして。というか豊か過ぎるというか。
 はいすいません私も豊かすぎますともええ。
 いや私が言いたかったのはそこではなく。
 その二人の話し声がチラリと聞こえたあたり、母親の話し方が少し気になった。
 聞き覚えがあるのではなくて。
 ああゆう体型の人って、みんな言い方が威圧的というか、我が強そうっていうか。
 うちの母も豊か過ぎる人の一人なのだが、話し方はほぼ同じと言っていい。
 何だろう。いろいろ好きに食べたり寝たりしてると、体に出るからなのかな。だから少しわがままっぽい発言が出るのかな?
 ならば私はそうならないようにしようと心に決めるのだ。

 と、そうこうしてはいなかったが。
 脳内であらゆるものを展開しつつ、手元でゲームをしつつ待っていると、私の名前が呼ばれたので、左端にある通路の入り口に二人でたった。
「はい。今日はどうしましたか?」
 思ったより平坦な声に少しだけ驚いた。
 もっとこう、、、
『いらっしゃいませぇ~?今日はどのようになさいますかぁ~?』
 と無駄に元気のいい美容院の人みたいな明るさがあるかと思ったが、まぁったくそんなことはない。
「あ、えと、この間から体調が悪くて、家族にインフルエンザの人がいるので検査して欲しいんですけど」
 思った以上に真顔で対応してくる看護婦さんにそう答える母親。
 それを聞いてメモを取るのだが、手元を見るとやけに文字が丸い。
 え、、、まるっ。
 それ以降無感情に見つめた。
「では熱以外に何かありますか?体の痛み、鼻水、頭痛とか」
 そう聞かれてどう答えたものかと一瞬迷い、ヤケーにまん丸い文字から目を離して後ろの母を振り返ると、顔を横にフィッフィッと降って「自分で言いなさい」ジェスチャー。
 私はぎこちなく鼻水と咳があると伝えると、奥のベンチに座って待つように言われたので、私は適当なところに座ってまたゲームを始めた。

 1分ほどそうしていただろうか。
 私は気づいた。
「っ!?」
 気づかないほうがよかったかもしれない。
 しかし気づいてしまったものはしかたがない。
 私はゲームをその場でやめ、お絵かきアプリを取り出し、そこに猫の絵を描き始めた。
 そう。私が座ったすぐ、すぐ横に、めちゃくちゃ可愛い男の子が抱っこされているのだ。
 可愛い。かわいすぎてはまっていたゲームでさえもやめてしまえるほどに!
 抱っこをされながらもあっちこっちをチラチラ見る仕草に、キョロキョロと動くつぶらな瞳に、口元にちょこんと持ってきたあの小さな指!
 全てにおいて私の興味をひくに等しい。
 セコセコとお絵描きを始める私。
 視界の隅で相変わらずキョロキョロする男の子。
 しかし耳を描いたところではたと気づく。
 私、何してんの?
 お絵描きするのをやめた。
 何というか、虚しい。これじゃ本当に変質者じゃないですかヤダァ。
 数分もしないうちに呼ばれ、私は診察室に入った。
 中に入って最初に見たのは椅子に座ったおじさん?おじいさん?だった。
 その後は早くてあまり覚えてはいない。
 平坦なお姉さんに話したことを復唱、確認されて、服をあげてペタペタをされて、背中をなぜかシャツまでめくり上げられて、問題はその後。
「それではインフルエンザの検査しますね。では鼻を検査しますこっちを向いて~?」
 何を言われたのか一瞬分からないまでも、とりあえず向いてみればおじいさんの手には長~い綿棒のようなものが。
 あぁ。そう言えば鼻って言ってぐぼあおうあほう!?!?!?!?!?
 「はいオッケーでーす」
 え!?えおじいさん!?今綿棒が鼻だけではなく喉のあたりまで来た気がするんですが!?なんかもうそれ大丈夫なんですか!?それが普通なんですか!?私が知らなかっただけ!?
 と、後ろで看護婦さんが扉を開けていってくれる。
「それではあっちの広い方でお待ちください」
「あ、、、はい」
 絶対もうインフルになんてなってやるものかと強く誓うのであった。

「あーもう。インフルなんて嫌いだぁ」
 そう言いつつホールで待っていたお母さんの元に戻ると素っ気なくうるさいと言われて終わった。
 なんかもうあれが普通なのかどうか聞くのもだるくなってきた。
 結局のところ、結果はインフルではなく単なる風邪だった。
 風邪薬が処方されるようで、処方箋と「インフルエンザの検査。それおすすめねー」と言われながら渡された「インフルエンザではないと判断された方へ」なる物を抱えて席に着いた。
「どうだったの?」
「インフルじゃなく、ただの風邪だって」
「あらよかったじゃない」
「ホントよかったよもう」
「やっぱり妊娠してたのね」
「何の話!?」
 私はついゲーム画面を開いていた携帯端末から目を離して突っ込んだ。
 おいおいいきなり何を言い出すんだこの人は! 一応人前だぞう!?
「前々から妊娠じゃないかと思ったけど、やっぱりそうなのよ。小児科に行きましょう」
「いやだから極論すぎだから!というか全く関係ないから!ただの風邪だから!」
「わかってるわよ?」
「え、なにが」
 もういやな予感が拭えないのだがというかいやな予感しかないのだが。
「免疫力の低下でしょ?」
「そ、そうだね」
「それで風邪でしょ?」
 あ、あれ?まとも?
「そうだねぇ」
「ほら妊娠じゃん」
「いい加減にしろよ!」
 私のまともかもしれない疑惑を返せこのやろー!
「うるさいわよ」
「くっそ」
 クッソこいつ自分で言っておきながらぐぬぬぬぅぅ!

 んまそんなこんなで何事もなく終わったわけだが、やっぱり病院は嫌いだぁ!


  これ以降は余談だが。
  車まで戻ってとりあえず一息ついたとき。
「あんた熱はいくつあったの?」
「え?平熱」
「プッ、だっさぁ」
 と、笑われたのでさっさと薬を取りに行った。


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