声劇・セリフ集

常に眠い猫

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一人用セリフ

男女可 語り「大人になって分かったこと」改変OK

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 子供の頃夢見ていたこと。
 子供の頃はわからなかったこと。
 昔は美味しく感じなかった物。
 昔は美味しく感じていた物。
 大人になってから思い出して、少し浸ってしまう自分がいた。
 周りのみんなもそう。昔はこうだった。今はこうだ。前はそんなことなかったのにね。なんて。
 そんな話を聞くたびに「なぜそうなるのか」疑問だった。

 私の昔は、みんなが持っているものより色褪せていたと思う。
 多くの人のように元気というわけではなかったし、物静かで、本だけが友達とでもいうような生活を送ってきた。
 そんな話を今すると
「想像できないわ」
 なんて言われてしまう。失礼な話だ。
 確かにその人からじゃわからないことだし、そういうのも頷ける。
 今の私は元気で自由奔放。何事にも突進するタイプで、突っ込んでから間違いに気づくような、どうしょうもないやつだ。
 ちゃんと自覚はしてるぞ。
 そんな今の私から見た昔の私はつまらない。
 誰と話すわけでもなく、声も発さず。
 自分の全神経を本にのみ捧げていたような、そんな子供だった。
 今は本を読みはするものの、そんな没頭することもないし、友達だってたくさんできた。
 バカ言って、からかって、からかわれて、くだらないことで電話して。時には間違って、その度に怒られて。諌められ、導かれて。時には導いて。
 そんなどこまで行っても中身のない、くだらない。他愛無い日常。

 でも。

 そうだね。
 昔からこれが欲しかったのだろうとは思う。
 本を読んでたのも話しかける友人がいなかったから。
 それに没頭し過ぎていたのも、自分の世界には無いキラキラした世界がそこにあったから。
 心の底から憧れて、欲しくても手は届かなくて、どうすればいいかもわからないから。
 私は本の世界に魅了されていたんだと思う。
 

 みんなが集まると、子供の頃の話をする。
 昔はこれが美味しかった。これが不味かった。でも今は食べられる。
 あそこに行ってもつまらなかったのに、今行ってみたら面白過ぎて没頭してしまった。
 あんな事をしたのは若気の至りだ。本当によくやったと思う。
 なんていう、全てがくだらなくて、バカみたいで、笑い飛ばしても足りないようなそんな話。
 そんな話をする友人たちの顔を見て、私は幸せだなと思う。
 子供の頃は望むことすらできなかったこの最高にくだらない日常がそこにあること。
 子供の頃にはわからなかった。大人になってよく理解した。
 子供の頃の日常も嫌いじゃ無いが、私は大人になってバカな事を言っている友人たちが、最高に大好きだ。





おわり
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