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3-9 確かに可愛いけどさ
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それでもやはり、この女は魔法使いなのだ。今現在こうして会話をしていることさえも不本意だというのに、家の中にまで上げるだなんて、もっての他だ。
だいたい、そのカバンとやらはいったいどこにあるというのだ。見たところ、衣装ばっかり仰々しくて、肝心のカバンがどこにも見当たらないじゃないか。すごく身軽だ。
だからといって、それを指摘するほどおれも短絡的ではない。なにせ、カバンは小さくして懐の中にでも入れているに決まっているのだから。もちろん魔法を使って、だ。下手な質問をして、魔法という言葉を吐かせてしまってはおれの負けである。
ああ、なんということだろう。おれときたら、魔法の存在を確信しているじゃないか。おれが二人いるのなら、おれはおれをぶん殴ってやりたい。なんだっておれは、魔法があることを前提に物事を考えているんだ。
「あ、でも荷物なら大丈夫ですよ。カバンなら」
おいおい、こいつ、何を言おうとしているんだ!
「だっ、黙れよぉっ」
カバンが懐に入っている、だなんて言われたら、もうどうしようもないじゃないか。ここはなんとしても、こいつを黙らせなければなるまい。
「えっ、あの、カバンは」
「うるせぇっ」
きゃんっ。それが魔女の声であると認識した時には、小柄な少女がアスファルトに尻餅をついていた。気づくとおれの腕は少女の方に向かってまっすぐに伸ばされていて、おれが金髪碧眼を突き倒したことは明白だった。
「かばん……なんなんですかいきなり」
黒い服の尻をさすりながら、金髪が立ち上がる。きれいな碧眼が浮かべているのは、完全に怯えた表情。
その顔を見て、おれが思ったことはと言えば……。
もう押し切るしかない。
「なんでもいいよ、もう喋るなよ、とっとと帰れよ!」
ひいっ。怯えた魔女が泣きそうな顔で発した声は、よく見れば意を決したように固く歯を食いしばった口から漏れているようだった。
だいたい、そのカバンとやらはいったいどこにあるというのだ。見たところ、衣装ばっかり仰々しくて、肝心のカバンがどこにも見当たらないじゃないか。すごく身軽だ。
だからといって、それを指摘するほどおれも短絡的ではない。なにせ、カバンは小さくして懐の中にでも入れているに決まっているのだから。もちろん魔法を使って、だ。下手な質問をして、魔法という言葉を吐かせてしまってはおれの負けである。
ああ、なんということだろう。おれときたら、魔法の存在を確信しているじゃないか。おれが二人いるのなら、おれはおれをぶん殴ってやりたい。なんだっておれは、魔法があることを前提に物事を考えているんだ。
「あ、でも荷物なら大丈夫ですよ。カバンなら」
おいおい、こいつ、何を言おうとしているんだ!
「だっ、黙れよぉっ」
カバンが懐に入っている、だなんて言われたら、もうどうしようもないじゃないか。ここはなんとしても、こいつを黙らせなければなるまい。
「えっ、あの、カバンは」
「うるせぇっ」
きゃんっ。それが魔女の声であると認識した時には、小柄な少女がアスファルトに尻餅をついていた。気づくとおれの腕は少女の方に向かってまっすぐに伸ばされていて、おれが金髪碧眼を突き倒したことは明白だった。
「かばん……なんなんですかいきなり」
黒い服の尻をさすりながら、金髪が立ち上がる。きれいな碧眼が浮かべているのは、完全に怯えた表情。
その顔を見て、おれが思ったことはと言えば……。
もう押し切るしかない。
「なんでもいいよ、もう喋るなよ、とっとと帰れよ!」
ひいっ。怯えた魔女が泣きそうな顔で発した声は、よく見れば意を決したように固く歯を食いしばった口から漏れているようだった。
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