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36.逃げなきゃ、でも助けなきゃ
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「夜斗、大丈夫?」
「後先考えず……行動するなってんだよ……」
倒れこんでしまった夜斗は、ゼイゼイと荒い息をしている。
それでも無理に体を起こそうとしたので、
「そのままでいいから! ……ごめんね」
と言って、私は夜斗を膝枕した。
多分、フェルを使いすぎて気絶寸前なんだ。
……そうだ、私の力をあげることができれば……。
「……あれが、ユウなのか?」
夜斗がポツリと言った。
「そうだよ。……どうして?」
「男だから」
「えっ……!」
私は塔の方に振り返った。
壁に開いた大穴からユウと理央が激しく戦っている様子が見える。
ユウの方が、かなり余裕があるように見える。
一方、理央は決め手に欠けるようで、ユウを攻めあぐねている。
私には元々男の子に見えていたから、よくわからない。
「ヤジュ様の術……解けたのかな」
思わず呟くと、夜斗が「ヤジュ様……?」と不思議そうな顔をした。
――そのとき、理央がユウに吹き飛ばされて、壁から庭に転がり出てきた。
『ぐっ……』
『そろそろ茶番は終わりにするぞ』
かなり怒っているらしいユウが、冷たく言い放つ。
『茶番……ですってぇ!?』
理央のまわりに凄まじいオーラが立ち昇る。
それらは一つに固まり、ユウに向かって一斉に放たれた。ユウの身体を取り巻き、軽々と持ち上げる。締め上げようとしているようだ。
『……っ……これで……最後だな!』
ユウは小さく身構えると、両手両足を思いきり広げた。
理央の力が四方八方に飛び散る。
『そん……な……』
理央は驚愕の表情でユウを見上げると……そのまま気を失った。ガクリと身体が前に傾き、芝生に倒れ込む。
『……燃料切れだな』
ユウは理央を見下ろしてちょっと息をついた。
やっぱり、大変だったみたいだ。
四散した理央の力が塔の壁に当たり……ガラガラと崩れ始めた。
ユウは気絶した理央を抱えると、塔の崩壊に巻き込まれないよう、安全な場所に寝かせた。
そして私たちの方を見て……ぎょっとした顔になる。
黙ったまますごい勢いで歩いてくると、寝ていた夜斗を軽く蹴り飛ばした。
「いってぇ!」
夜斗がゴロゴロと転がされる。
ユウらしくないあまりにも乱暴なやり方に、びっくりしてしまった。
「ユウ! 何するの!」
「こっちの台詞だ」
「夜斗がフェル切れで気絶しそうになってたから……」
「どこが?」
ユウが夜斗の方を指差すと……確かに、夜斗は普通に起きあがってユウに蹴られた太腿をさすっていた。
「夜斗!」
「……朝日から分けてもらったみたいだな……。サンキュ」
「よかった!」
「何がだよ……」
ユウはとても不機嫌そうに呟いたけど
「とにかく、脱出するから」
と言ってピューッと口笛を吹いた。
「……何?」
「ちょっと待ってて」
しばらくすると、遠くから青い塊が飛んできた。
「……飛龍!」
夜斗が驚いたように声を上げる。
「サン!」
ユウが両手を上げる。
青っぽい……恐竜に羽が生えたような生き物が、目の前に降り立った。
何だか可愛い顔をしている。
「キュィ!」
「よしよし、エラかったな、サン」
ユウが首の辺りを撫でている。
「……サンって名前なの? 女の子?」
不思議に思って聞くと、後ろから夜斗が
「青っぽいからオスだな。メスはもうちょっと赤っぽい」
と教えてくれた。
「そうなんだ。サン、よろしくね」
「キュゥゥ……」
私はサンの頭をなでた。
何だか私の方に擦り寄ってくる。
「……飛龍って普通、飼い主以外の人間には懐かねぇんだけどな……」
夜斗が憮然としながら呟いた。
「それでもって、こいつはどうして俺には土をかけるんだよ!」
見ると、サンは私たちに甘える一方で、後ろ足で穴を掘り、夜斗にザッザッと大量の土をかけていた。
「……多分、気に入らないんじゃないかな」
ユウがボソッと言った。
「……俺が育てた飛龍だから」
「飛龍を……育てた!?」
夜斗が驚いて素っ頓狂な声を上げる。
「とにかく、早く出よう。今は塔が崩れて足止めされている。このまま、追手が来る前に行かないと。……サン、三人乗せられるか?」
「……キュゥ」
ちょっと不安そうにしている。
「まだ子供だし、不安みたいだな。……夜斗も乗せることに不満、っていうのもあるかも」
ユウが困ったように呟いた。
後ろで夜斗が「悪かったな」と拗ねている。
「……あのね」
私はサンの顔を、両手で包んで話しかけた。
「夜斗は私を助けてくれた恩人なのよ。お願い」
サンの首に抱きつく。すると、私の中から何かがサンに吸い込まれた感じがした。その途端、サンの身体が二回りぐらい大きくなる。
「えっ!? 今の、何?」
「子供のうちはフェルティガを糧とするんだよ」
「フェル……」
「多分、残りの必要な分を朝日から吸収したことで成長したんじゃないかな」
「そうなんだ……」
私はサンを見た。
「もう大きくなったから大丈夫だよね。三人乗せて?」
「キュゥ!」
サンが腰を下ろした。ユウ、私、夜斗の順に背中に乗る。
「よし、行くぞ! サン、とりあえず南のダイダル岬だ!」
ユウの声で、サンは空に舞い上がった。
かなり凄いスピードだ。エルトラ王宮がどんどん小さくなる。
「……ところで、夜斗。理央が言ってたフィラの民がどうのっていうのは、どういう話だ?」
「カンゼルとフレイヤ女王の間で、朝日一人と囚われていたフィラの民百人を交換するっていう取引があったんだよ。それが、今日だったんだ」
「えっ!」
寝耳に水で、思わず夜斗の顔を見る。
「じゃあ、そっちは今どうなってるの?」
「さあ……」
「さあじゃないでしょ!」
私が怒鳴ったので、夜斗がびっくりしたような顔をした。
そりゃ、カンゼルのところには行きたくないけど、フィラの人を取り戻すことも重要でしょ。
「サン、さっきの黒い集団の場所、分かるか? 分かるなら行ってくれ」
ユウが私の気持ちを汲んでくれたのか、サンにお願いしてくれた。
「行くのかよ!」
夜斗が驚いて叫び、私とユウを交互に見比べる。
「要は、エルトラ領にその人たちを運べばいいんだろ? 夜斗、百人全員にバリアを張ることってできるか? できれば球状にしてほしいけど」
「まあ……さっき朝日に回復してもらったから、どうにかなるとは思う。……かなり大仕事だが」
「よし」
サンがスピードを上げて橋の方に向かっていった。
◆ ◆ ◆
『おい、約束の刻限はとうに過ぎているぞ!』
エミール川の東側には、十人ぐらいの兵士がずらりと並んでいた。
その中央の兵士が、高圧的に怒鳴り散らしている。
後ろには、人質たちが疲れ切った様子で立たされていた。老人も、小さい子供も、みんな。
そして、赤ん坊を抱えている女の人もいる。よろめいて倒れそうになり……周囲の老人が支え合っていた。
一方、川の西側では、完全防御の内側で兵士たちがオロオロしている。
『おい、あの人質はどうなってるんだ』
『それが王宮に侵入者が現れて、それどころじゃない、みたいな』
『何だって?』
『西の塔が崩れて塞がって……通路も塞がれていて、情報が錯綜しているらしい』
『どうするんだよ……』
そのとき、彼らの頭上に黒い影が差した。青い飛龍が飛んでいる。
『何だ?』
その瞬間、川の東側のフィラの民がいくつかのバリアに包まれた。
そして……いくつもの丸い珠ができあがる。
『え……うわっ!』
丸い珠に気を取られたキエラの兵士たちは、見えない力で突き飛ばされた。次々と川に落とされる。
『ぐはっ…』
『何……』
兵士たちは鎧が邪魔で身動きができなくなっている。
幸い川は足がつく深さだったので溺れることはないが……なかなか岸に上がれない。
キエラの兵士たちの頭上に……丸い珠が橋を越えて完全防御の内側に吸い込まれるのが見えた。
『くそ、人質が……!』
キエラの兵士の中の一人が川から飛び出した。
フェルティガエのようだ。丸い珠に飛びついてバリアを壊そうとしたが、空から激しい衝撃波が降ってきて飛ばされた。
『ぐはあーっ!』
かなり遠くまで飛ばされる。それ以外の兵士はみな川岸に向かうのが精一杯で、人質を止めることができなかった。
――そして川に落とされた兵士たちが必死に岸に上がった頃には……丸い珠はすべて完全防御の内側に吸い込まれていた。
『くそっ……』
『もう無理だ……俺達は中に入れねぇ……』
『カンゼル様に……殺される……』
東側の兵士たちはその場でがっくりとうなだれた。
一方、西側の完全防御の内側にいた兵士たちは次々と降ってくる丸い珠と格闘していた。
『うわっ……何だ? 何だ?』
丸い珠は地面に着くと、パチンと割れた。中から老人や子供、赤ん坊が現れる。
『わしは……助かったのか?』
『うわーん!』
『おぎゃー! ふぎゃーっ!』
事情が全く呑み込めない兵士たちは呆然としていたが
『と、とにかく……早く馬車に乗せて王宮へ運ぼう!』
『お、おう……』
と仲間たちと力を合わせ、彼らを助け出した。
――それらを見届けた青い飛龍は、南の方へ飛び立っていった。
「後先考えず……行動するなってんだよ……」
倒れこんでしまった夜斗は、ゼイゼイと荒い息をしている。
それでも無理に体を起こそうとしたので、
「そのままでいいから! ……ごめんね」
と言って、私は夜斗を膝枕した。
多分、フェルを使いすぎて気絶寸前なんだ。
……そうだ、私の力をあげることができれば……。
「……あれが、ユウなのか?」
夜斗がポツリと言った。
「そうだよ。……どうして?」
「男だから」
「えっ……!」
私は塔の方に振り返った。
壁に開いた大穴からユウと理央が激しく戦っている様子が見える。
ユウの方が、かなり余裕があるように見える。
一方、理央は決め手に欠けるようで、ユウを攻めあぐねている。
私には元々男の子に見えていたから、よくわからない。
「ヤジュ様の術……解けたのかな」
思わず呟くと、夜斗が「ヤジュ様……?」と不思議そうな顔をした。
――そのとき、理央がユウに吹き飛ばされて、壁から庭に転がり出てきた。
『ぐっ……』
『そろそろ茶番は終わりにするぞ』
かなり怒っているらしいユウが、冷たく言い放つ。
『茶番……ですってぇ!?』
理央のまわりに凄まじいオーラが立ち昇る。
それらは一つに固まり、ユウに向かって一斉に放たれた。ユウの身体を取り巻き、軽々と持ち上げる。締め上げようとしているようだ。
『……っ……これで……最後だな!』
ユウは小さく身構えると、両手両足を思いきり広げた。
理央の力が四方八方に飛び散る。
『そん……な……』
理央は驚愕の表情でユウを見上げると……そのまま気を失った。ガクリと身体が前に傾き、芝生に倒れ込む。
『……燃料切れだな』
ユウは理央を見下ろしてちょっと息をついた。
やっぱり、大変だったみたいだ。
四散した理央の力が塔の壁に当たり……ガラガラと崩れ始めた。
ユウは気絶した理央を抱えると、塔の崩壊に巻き込まれないよう、安全な場所に寝かせた。
そして私たちの方を見て……ぎょっとした顔になる。
黙ったまますごい勢いで歩いてくると、寝ていた夜斗を軽く蹴り飛ばした。
「いってぇ!」
夜斗がゴロゴロと転がされる。
ユウらしくないあまりにも乱暴なやり方に、びっくりしてしまった。
「ユウ! 何するの!」
「こっちの台詞だ」
「夜斗がフェル切れで気絶しそうになってたから……」
「どこが?」
ユウが夜斗の方を指差すと……確かに、夜斗は普通に起きあがってユウに蹴られた太腿をさすっていた。
「夜斗!」
「……朝日から分けてもらったみたいだな……。サンキュ」
「よかった!」
「何がだよ……」
ユウはとても不機嫌そうに呟いたけど
「とにかく、脱出するから」
と言ってピューッと口笛を吹いた。
「……何?」
「ちょっと待ってて」
しばらくすると、遠くから青い塊が飛んできた。
「……飛龍!」
夜斗が驚いたように声を上げる。
「サン!」
ユウが両手を上げる。
青っぽい……恐竜に羽が生えたような生き物が、目の前に降り立った。
何だか可愛い顔をしている。
「キュィ!」
「よしよし、エラかったな、サン」
ユウが首の辺りを撫でている。
「……サンって名前なの? 女の子?」
不思議に思って聞くと、後ろから夜斗が
「青っぽいからオスだな。メスはもうちょっと赤っぽい」
と教えてくれた。
「そうなんだ。サン、よろしくね」
「キュゥゥ……」
私はサンの頭をなでた。
何だか私の方に擦り寄ってくる。
「……飛龍って普通、飼い主以外の人間には懐かねぇんだけどな……」
夜斗が憮然としながら呟いた。
「それでもって、こいつはどうして俺には土をかけるんだよ!」
見ると、サンは私たちに甘える一方で、後ろ足で穴を掘り、夜斗にザッザッと大量の土をかけていた。
「……多分、気に入らないんじゃないかな」
ユウがボソッと言った。
「……俺が育てた飛龍だから」
「飛龍を……育てた!?」
夜斗が驚いて素っ頓狂な声を上げる。
「とにかく、早く出よう。今は塔が崩れて足止めされている。このまま、追手が来る前に行かないと。……サン、三人乗せられるか?」
「……キュゥ」
ちょっと不安そうにしている。
「まだ子供だし、不安みたいだな。……夜斗も乗せることに不満、っていうのもあるかも」
ユウが困ったように呟いた。
後ろで夜斗が「悪かったな」と拗ねている。
「……あのね」
私はサンの顔を、両手で包んで話しかけた。
「夜斗は私を助けてくれた恩人なのよ。お願い」
サンの首に抱きつく。すると、私の中から何かがサンに吸い込まれた感じがした。その途端、サンの身体が二回りぐらい大きくなる。
「えっ!? 今の、何?」
「子供のうちはフェルティガを糧とするんだよ」
「フェル……」
「多分、残りの必要な分を朝日から吸収したことで成長したんじゃないかな」
「そうなんだ……」
私はサンを見た。
「もう大きくなったから大丈夫だよね。三人乗せて?」
「キュゥ!」
サンが腰を下ろした。ユウ、私、夜斗の順に背中に乗る。
「よし、行くぞ! サン、とりあえず南のダイダル岬だ!」
ユウの声で、サンは空に舞い上がった。
かなり凄いスピードだ。エルトラ王宮がどんどん小さくなる。
「……ところで、夜斗。理央が言ってたフィラの民がどうのっていうのは、どういう話だ?」
「カンゼルとフレイヤ女王の間で、朝日一人と囚われていたフィラの民百人を交換するっていう取引があったんだよ。それが、今日だったんだ」
「えっ!」
寝耳に水で、思わず夜斗の顔を見る。
「じゃあ、そっちは今どうなってるの?」
「さあ……」
「さあじゃないでしょ!」
私が怒鳴ったので、夜斗がびっくりしたような顔をした。
そりゃ、カンゼルのところには行きたくないけど、フィラの人を取り戻すことも重要でしょ。
「サン、さっきの黒い集団の場所、分かるか? 分かるなら行ってくれ」
ユウが私の気持ちを汲んでくれたのか、サンにお願いしてくれた。
「行くのかよ!」
夜斗が驚いて叫び、私とユウを交互に見比べる。
「要は、エルトラ領にその人たちを運べばいいんだろ? 夜斗、百人全員にバリアを張ることってできるか? できれば球状にしてほしいけど」
「まあ……さっき朝日に回復してもらったから、どうにかなるとは思う。……かなり大仕事だが」
「よし」
サンがスピードを上げて橋の方に向かっていった。
◆ ◆ ◆
『おい、約束の刻限はとうに過ぎているぞ!』
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その中央の兵士が、高圧的に怒鳴り散らしている。
後ろには、人質たちが疲れ切った様子で立たされていた。老人も、小さい子供も、みんな。
そして、赤ん坊を抱えている女の人もいる。よろめいて倒れそうになり……周囲の老人が支え合っていた。
一方、川の西側では、完全防御の内側で兵士たちがオロオロしている。
『おい、あの人質はどうなってるんだ』
『それが王宮に侵入者が現れて、それどころじゃない、みたいな』
『何だって?』
『西の塔が崩れて塞がって……通路も塞がれていて、情報が錯綜しているらしい』
『どうするんだよ……』
そのとき、彼らの頭上に黒い影が差した。青い飛龍が飛んでいる。
『何だ?』
その瞬間、川の東側のフィラの民がいくつかのバリアに包まれた。
そして……いくつもの丸い珠ができあがる。
『え……うわっ!』
丸い珠に気を取られたキエラの兵士たちは、見えない力で突き飛ばされた。次々と川に落とされる。
『ぐはっ…』
『何……』
兵士たちは鎧が邪魔で身動きができなくなっている。
幸い川は足がつく深さだったので溺れることはないが……なかなか岸に上がれない。
キエラの兵士たちの頭上に……丸い珠が橋を越えて完全防御の内側に吸い込まれるのが見えた。
『くそ、人質が……!』
キエラの兵士の中の一人が川から飛び出した。
フェルティガエのようだ。丸い珠に飛びついてバリアを壊そうとしたが、空から激しい衝撃波が降ってきて飛ばされた。
『ぐはあーっ!』
かなり遠くまで飛ばされる。それ以外の兵士はみな川岸に向かうのが精一杯で、人質を止めることができなかった。
――そして川に落とされた兵士たちが必死に岸に上がった頃には……丸い珠はすべて完全防御の内側に吸い込まれていた。
『くそっ……』
『もう無理だ……俺達は中に入れねぇ……』
『カンゼル様に……殺される……』
東側の兵士たちはその場でがっくりとうなだれた。
一方、西側の完全防御の内側にいた兵士たちは次々と降ってくる丸い珠と格闘していた。
『うわっ……何だ? 何だ?』
丸い珠は地面に着くと、パチンと割れた。中から老人や子供、赤ん坊が現れる。
『わしは……助かったのか?』
『うわーん!』
『おぎゃー! ふぎゃーっ!』
事情が全く呑み込めない兵士たちは呆然としていたが
『と、とにかく……早く馬車に乗せて王宮へ運ぼう!』
『お、おう……』
と仲間たちと力を合わせ、彼らを助け出した。
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