5 / 9
本編
5.魔獣と令嬢が奏でる音色
しおりを挟む
『まぁ、こんなものかしらね』
レミリアが起き上がれるようになった、次の日。
流れる金髪を頭巾で隠し、やや小柄な女性の姿に変身したユーケルンは、手に入れたパンや鍋ごと入ったシチュー、焼いた肉や煮た魚、果物を眺めて満足そうに頷いた。
ここは、ユーケルンの領域からそう遠くはない、港町エリスン。市場にはさまざまな食べ物を売る店が並び、奥に続く町並みには洋服屋や靴の修理屋、珍しい異国の品を取り扱う店などがある。
人間の食事を必要としない魔獣ユーケルンだが、レミリアはそうはいかない。彼女のために、いや彼女と二人きりでずっと一緒にいるために、ユーケルンはこの町までやってきた。目立たないように、わざわざ町娘の姿になってまで。
『とりあえずこれだけあればいいわね』
ひゅるる、と小さな風が巻き起こり、手に入れた食糧が舞い上がる。風の珠の中に閉じ込められ、ふわわと宙に浮いた。
こうして魔法で封じておけば腐ることも無く、必要な時に必要なだけ取り出せばいい。
『あとは……そうね、王都かしらね。どうせなら一流の人間を連れてこないと』
そう呟くと、ユーケルンの姿がみるみるうちに風の渦に消えていく。
つむじ風はエリスンの町を飛び出し、北の王都へと向かっていた。
◆ ◆ ◆
「ん? あれ?」
中年の小太りの男性が、パチパチと何度も瞬きをしながら辺りを見回した。
ふかふかした絨毯、美しく広い部屋……その奥の、白いグランドピアノが目に入る。
「こ、これは……まさか〝エリシャス・ノヴェルヴァリ〟!?」
『気に入りまして?』
「はへ!?」
美しい鈴が鳴るような声が聞こえて振り向くと、そこには淡いエメラルドグリーンのドレスを纏った貴婦人がいた。
顔半分は扇で隠されているものの、その美しい蒼色の瞳といい、流れ落ちる見事な金髪といい、優美な仕草といい、男が度々接する上流階級の人間のそれに間違いなかった。
『そのピアノなんですが、音が狂っているようで……調律してくださる?』
「は、はい! 勿論ですとも!」
首をカクカクと縦に振り、飛びつくようにピアノに駆け寄る。
彼の目には、もうまばゆいばかりの白い鍵盤しか映っていなかった。
◆ ◆ ◆
「〝エリシャス・ノヴェルヴァリ〟……まさか、そんなすごいピアノだったなんて」
とり憑くように調律の仕事にとりかかる男の様子をそっと窺いながら、レミリアが呟く。その左隣にいたユーケルンは、ついとレミリアを見下ろした。
『あら、知ってるの?』
「はい。約800年前、エリシャス親子によって作られた十八台のピアノのことです。その素晴らしい出来に〝ノヴェルヴァリ〟と讃えられ、ワイズ王国の貴族にこよなく愛されていました。ですが、古の魔王侵攻で殆どが失われてしまって……。完全な形で残っているのは、ワイズ王宮にある一台だけと言われています。それなのに、まさかここにあるなんて」
『ふうん、そうなの。一流の調律師を連れてきた甲斐があったわ』
男はワイズ王都でも有名な調律師だった。ピアノを愛し慈しむ彼の仕事はとても丁寧で、ワイズ王侯貴族の間でも評判らしい。
王都でその噂を聞きつけたユーケルンは、風魔法で彼を攫い、この隠れ家に連れてきたのだった。
『本当にレミリアは物知りね』
「いえ、そんなことは……。でも、そんなすごいものがここにあるとわかったらワイズ王国で大騒ぎになるのではないでしょうか」
『ふっ、あり得ないわよ』
ユーケルンがやや得意気に、鼻を鳴らす。
『そのために魔法でここに連れてきたのだし、いまも幻影を見せてるんだから』
「幻影……?」
確かに男は、風の珠から現れたあと、あさっての方向を見ながら何かと会話していた。そのあとはピアノへとすっ飛んでいき、今は血走った目で作業している。
ユーケルンの姿も、そしてその隣にいるレミリアの姿も全く目に入っていないようだった。
『ええ、彼にだけ見える幻影をね。我に返っても、きっと夢だと思うわ』
「そうですか……」
ホッとしたように息をつくレミリア。
「ワイズ王国の人達がここに押し寄せてくるんじゃないかと心配になってしまいました」
『……馬鹿ね』
ユーケルンは右手でそっとレミリアを抱き寄せると、彼女を安心させるように、その小さな頭を何度も撫ぜた。
『アタシは魔獣よ? 人間なんかに邪魔させないわ』
だから安心して傍にいなさい――。
耳元でそう囁くユーケルンに、レミリアは瞳を潤ませ、かすかに頷いた。
* * *
『ただいま、レミリア! 弾いてみてどうだった?』
調律を終えた男をワイズ王国に送り届けて帰ってきたユーケルンが、上機嫌に広間の扉を開ける。
レミリアがさぞかし嬉しそうに弾いているのだろうと思っていたのだが、彼女は目をキラキラさせて両手を頬に当てたまま、くるくるとピアノの周りを歩き回っているだけだった。
『……どうしたの?』
「見れば見るほど素晴らしいんです、このピアノ……!」
レミリアが開けてある屋根の下、内部の鍵盤側を指差す。
「ここに番号が記載されているんですが、なんと〝2〟なんです。つまりこれは、ワイズ王宮にあるピアノの次に製造されたもの! 公爵、いえひょっとしたらかつてのワイズ王族が所有していたと思われる、由緒ある……」
『別にいいじゃない、弾きましょうよ』
「でも、私なんかが……」
『嫌だわ、レミリア。私なんか、なんて言わないで。レミリアに弾いてほしくて直したのに』
両手を腰に当て、むくれたような顔をするユーケルン。その表情に、レミリアの胸がチクリと痛む。
確かに、ユーケルンがわざわざ王都まで出向き、調律師を連れてきたのだ。魔法を駆使し、二人の生活が何物にも脅かされないようにと苦慮して。
ユーケルンと白いグランドピアノを見比べていたレミリアは、しばし考えると、「あっ!」と声を上げ、ユーケルンの方に駈け寄ってきた。
その左腕を取り、ピアノの方へと促す。
「ケルン様、一緒に弾きましょう!」
『え、ええ!?』
「このピアノはケルン様が所有されているんですもの、ケルン様が弾かないと!」
どうやらレミリアなりに考えた結果、納得できるのが“一緒に弾くこと”だったらしい。
わからないでもなかったが、美しいものを眺めることが好きなだけで触れたことは無いユーケルンは珍しく戸惑った表情を見せた。
『アタシ、音なんてわからないわよー』
「大丈夫です。私が弾くのに合わせて、この白い鍵盤を一緒に叩いてください」
椅子に腰かけたレミリアが蓋を開け、右側の白い鍵盤をポーンと鳴らす。
それは、ちょうどレミリアの笑い声に似た、高らかな音。
『ここ?』
「そうです。そうすれば二人で弾けるでしょう?」
『まぁ……そうね』
「では……1、2、3、はい!」
レミリアが楽し気なメロディを奏で、ユーケルンを促す。
いきなり指示されたユーケルンはとりあえず叩いてみるが、レミリアの奏でる音と微妙に合わない。
『もう、よくわからないわ!』
「これぐらいのテンポですよ。1、2、3、4、1、2、3,4……」
ニコニコしながら両手を叩くレミリア。
初めて弾いた、一人のときよりもよほど嬉しそうなその表情に、ユーケルンの頬も緩んだ。
『こう?』
ポーン、ポーン、ポーン、ポーン……と、レミリアの手拍子とユーケルンの鍵盤の音が軽やかに響き合う。
「はい! それでは弾きますね」
右側に佇むユーケルンを見上げ微笑んだレミリアが、すっと両手を鍵盤の上に広げる。
彼女の両手が奏でる美しい旋律に、ユーケルンの一本指から広がる高らかな音が絡み合い、広間に広がる。
二人が奏でる音色は、ユーケルンが知らず知らず溢れさせていた魔精力に紛れ、家全体に広がって包み込んだ。
魔獣と令嬢、二人きりの時間と空間を守るかのように。
* * *
ユーケルンの領域に守られた、小さな島の小さな家。
二人はつねに寄り添い、時には一緒にお茶を飲み、時には一緒にピアノを弾き、とても穏やかで幸せな日々を過ごした。
しかしそれは、本当に限られた時間だった。
人と魔獣は、共に在ることはできない。
どれほどレミリアがユーケルンを慕おうとも、どれほどユーケルンがレミリアを愛そうとも。
レミリアが起き上がれるようになった、次の日。
流れる金髪を頭巾で隠し、やや小柄な女性の姿に変身したユーケルンは、手に入れたパンや鍋ごと入ったシチュー、焼いた肉や煮た魚、果物を眺めて満足そうに頷いた。
ここは、ユーケルンの領域からそう遠くはない、港町エリスン。市場にはさまざまな食べ物を売る店が並び、奥に続く町並みには洋服屋や靴の修理屋、珍しい異国の品を取り扱う店などがある。
人間の食事を必要としない魔獣ユーケルンだが、レミリアはそうはいかない。彼女のために、いや彼女と二人きりでずっと一緒にいるために、ユーケルンはこの町までやってきた。目立たないように、わざわざ町娘の姿になってまで。
『とりあえずこれだけあればいいわね』
ひゅるる、と小さな風が巻き起こり、手に入れた食糧が舞い上がる。風の珠の中に閉じ込められ、ふわわと宙に浮いた。
こうして魔法で封じておけば腐ることも無く、必要な時に必要なだけ取り出せばいい。
『あとは……そうね、王都かしらね。どうせなら一流の人間を連れてこないと』
そう呟くと、ユーケルンの姿がみるみるうちに風の渦に消えていく。
つむじ風はエリスンの町を飛び出し、北の王都へと向かっていた。
◆ ◆ ◆
「ん? あれ?」
中年の小太りの男性が、パチパチと何度も瞬きをしながら辺りを見回した。
ふかふかした絨毯、美しく広い部屋……その奥の、白いグランドピアノが目に入る。
「こ、これは……まさか〝エリシャス・ノヴェルヴァリ〟!?」
『気に入りまして?』
「はへ!?」
美しい鈴が鳴るような声が聞こえて振り向くと、そこには淡いエメラルドグリーンのドレスを纏った貴婦人がいた。
顔半分は扇で隠されているものの、その美しい蒼色の瞳といい、流れ落ちる見事な金髪といい、優美な仕草といい、男が度々接する上流階級の人間のそれに間違いなかった。
『そのピアノなんですが、音が狂っているようで……調律してくださる?』
「は、はい! 勿論ですとも!」
首をカクカクと縦に振り、飛びつくようにピアノに駆け寄る。
彼の目には、もうまばゆいばかりの白い鍵盤しか映っていなかった。
◆ ◆ ◆
「〝エリシャス・ノヴェルヴァリ〟……まさか、そんなすごいピアノだったなんて」
とり憑くように調律の仕事にとりかかる男の様子をそっと窺いながら、レミリアが呟く。その左隣にいたユーケルンは、ついとレミリアを見下ろした。
『あら、知ってるの?』
「はい。約800年前、エリシャス親子によって作られた十八台のピアノのことです。その素晴らしい出来に〝ノヴェルヴァリ〟と讃えられ、ワイズ王国の貴族にこよなく愛されていました。ですが、古の魔王侵攻で殆どが失われてしまって……。完全な形で残っているのは、ワイズ王宮にある一台だけと言われています。それなのに、まさかここにあるなんて」
『ふうん、そうなの。一流の調律師を連れてきた甲斐があったわ』
男はワイズ王都でも有名な調律師だった。ピアノを愛し慈しむ彼の仕事はとても丁寧で、ワイズ王侯貴族の間でも評判らしい。
王都でその噂を聞きつけたユーケルンは、風魔法で彼を攫い、この隠れ家に連れてきたのだった。
『本当にレミリアは物知りね』
「いえ、そんなことは……。でも、そんなすごいものがここにあるとわかったらワイズ王国で大騒ぎになるのではないでしょうか」
『ふっ、あり得ないわよ』
ユーケルンがやや得意気に、鼻を鳴らす。
『そのために魔法でここに連れてきたのだし、いまも幻影を見せてるんだから』
「幻影……?」
確かに男は、風の珠から現れたあと、あさっての方向を見ながら何かと会話していた。そのあとはピアノへとすっ飛んでいき、今は血走った目で作業している。
ユーケルンの姿も、そしてその隣にいるレミリアの姿も全く目に入っていないようだった。
『ええ、彼にだけ見える幻影をね。我に返っても、きっと夢だと思うわ』
「そうですか……」
ホッとしたように息をつくレミリア。
「ワイズ王国の人達がここに押し寄せてくるんじゃないかと心配になってしまいました」
『……馬鹿ね』
ユーケルンは右手でそっとレミリアを抱き寄せると、彼女を安心させるように、その小さな頭を何度も撫ぜた。
『アタシは魔獣よ? 人間なんかに邪魔させないわ』
だから安心して傍にいなさい――。
耳元でそう囁くユーケルンに、レミリアは瞳を潤ませ、かすかに頷いた。
* * *
『ただいま、レミリア! 弾いてみてどうだった?』
調律を終えた男をワイズ王国に送り届けて帰ってきたユーケルンが、上機嫌に広間の扉を開ける。
レミリアがさぞかし嬉しそうに弾いているのだろうと思っていたのだが、彼女は目をキラキラさせて両手を頬に当てたまま、くるくるとピアノの周りを歩き回っているだけだった。
『……どうしたの?』
「見れば見るほど素晴らしいんです、このピアノ……!」
レミリアが開けてある屋根の下、内部の鍵盤側を指差す。
「ここに番号が記載されているんですが、なんと〝2〟なんです。つまりこれは、ワイズ王宮にあるピアノの次に製造されたもの! 公爵、いえひょっとしたらかつてのワイズ王族が所有していたと思われる、由緒ある……」
『別にいいじゃない、弾きましょうよ』
「でも、私なんかが……」
『嫌だわ、レミリア。私なんか、なんて言わないで。レミリアに弾いてほしくて直したのに』
両手を腰に当て、むくれたような顔をするユーケルン。その表情に、レミリアの胸がチクリと痛む。
確かに、ユーケルンがわざわざ王都まで出向き、調律師を連れてきたのだ。魔法を駆使し、二人の生活が何物にも脅かされないようにと苦慮して。
ユーケルンと白いグランドピアノを見比べていたレミリアは、しばし考えると、「あっ!」と声を上げ、ユーケルンの方に駈け寄ってきた。
その左腕を取り、ピアノの方へと促す。
「ケルン様、一緒に弾きましょう!」
『え、ええ!?』
「このピアノはケルン様が所有されているんですもの、ケルン様が弾かないと!」
どうやらレミリアなりに考えた結果、納得できるのが“一緒に弾くこと”だったらしい。
わからないでもなかったが、美しいものを眺めることが好きなだけで触れたことは無いユーケルンは珍しく戸惑った表情を見せた。
『アタシ、音なんてわからないわよー』
「大丈夫です。私が弾くのに合わせて、この白い鍵盤を一緒に叩いてください」
椅子に腰かけたレミリアが蓋を開け、右側の白い鍵盤をポーンと鳴らす。
それは、ちょうどレミリアの笑い声に似た、高らかな音。
『ここ?』
「そうです。そうすれば二人で弾けるでしょう?」
『まぁ……そうね』
「では……1、2、3、はい!」
レミリアが楽し気なメロディを奏で、ユーケルンを促す。
いきなり指示されたユーケルンはとりあえず叩いてみるが、レミリアの奏でる音と微妙に合わない。
『もう、よくわからないわ!』
「これぐらいのテンポですよ。1、2、3、4、1、2、3,4……」
ニコニコしながら両手を叩くレミリア。
初めて弾いた、一人のときよりもよほど嬉しそうなその表情に、ユーケルンの頬も緩んだ。
『こう?』
ポーン、ポーン、ポーン、ポーン……と、レミリアの手拍子とユーケルンの鍵盤の音が軽やかに響き合う。
「はい! それでは弾きますね」
右側に佇むユーケルンを見上げ微笑んだレミリアが、すっと両手を鍵盤の上に広げる。
彼女の両手が奏でる美しい旋律に、ユーケルンの一本指から広がる高らかな音が絡み合い、広間に広がる。
二人が奏でる音色は、ユーケルンが知らず知らず溢れさせていた魔精力に紛れ、家全体に広がって包み込んだ。
魔獣と令嬢、二人きりの時間と空間を守るかのように。
* * *
ユーケルンの領域に守られた、小さな島の小さな家。
二人はつねに寄り添い、時には一緒にお茶を飲み、時には一緒にピアノを弾き、とても穏やかで幸せな日々を過ごした。
しかしそれは、本当に限られた時間だった。
人と魔獣は、共に在ることはできない。
どれほどレミリアがユーケルンを慕おうとも、どれほどユーケルンがレミリアを愛そうとも。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
王子様とずっと一緒にいる方法
秋月真鳥
恋愛
五歳のわたくし、フィーネは姉と共に王宮へ。
そこで出会ったのは、襲われていた六歳の王太子殿下。
「フィーネ・エルネスト、助太刀します! お覚悟ー!」
身長を超える大剣で暗殺者を一掃したら、王子様の学友になっちゃった!
「フィーネ嬢、わたしと過ごしませんか?」
「王子様と一緒にいられるの!?」
毎日お茶して、一緒にお勉強して。
姉の恋の応援もして。
王子様は優しくて賢くて、まるで絵本の王子様みたい。
でも、王子様はいつか誰かと結婚してしまう。
そうしたら、わたくしは王子様のそばにいられなくなっちゃうの……?
「ずっとわたしと一緒にいる方法があると言ったら、フィーネ嬢はどうしますか?」
え? ずっと一緒にいられる方法があるの!?
――これは、五歳で出会った二人が、時間をかけて育む初恋の物語。
彼女はまだ「恋」を知らない。けれど、彼はもう決めている――。
※貧乏子爵家の天真爛漫少女×策略王子の、ほのぼのラブコメです。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる