最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
193 / 625
6章

180話 終わりは唐突に

しおりを挟む
 闇雲に探すよりも、ある程度確かめたり、予想や推理しながら何かを探す方が良いって聞いたことがある。流石に転職するのにはガンナーギルドがいるって事だった。発見すれば銃弾の購入も出来るし、転職も出来るしで良い事尽くめ。
 もしかしたら新銃とかも手に入るかもしれないから、そっち探し当ててからクランハウス購入するってのが一番いいかもしれん、って言うか一番良いんだわ。
 いちいち購入しに行く手間って結構大変だし、理想的なのはガンナーギルドとアイテムショップと転移地点のトライアングルの位置関係だな。そっち探すのはそのうちでいいや。

 とにかくガンナーギルドを見つけるのが先って訳だけど、色々と条件はクリアしていると思う。
 火薬の製造に、銃弾の製造、銃器開発、爆弾の製造もしてたな。銃弾販売権と素材割引もある訳だし、これ以上何が必要になるってのよ。
 ガンナーギルドで銃弾の販売は無いけど、素材の販売はしますってのでも正直それでいいわ。結局タダで作れる状況まで持ってきた訳だから、それを集めるための時間を金で買えるようになるだけよ。

 

 さて、前置きは良いとして、ゼイテとエルスタンの街中を確認したうえで一つ確定したことがある。職業系のギルドがあるのは基本的にエルスタンだけだった。
 無いと言う事ではなく、単純に本店がエルスタン、その他が支店であって、これによってどの街でも自分の職業のギルドサービスを受けられるようにしている親切設計。
 あの町に行かないとあれが無いとか、あっちにいかないとこれが無いとか、ああいうのって結局時間と手間が掛かるだけであんましよろしくないんだよな。
 クエストでそういうのがあるってのは良いんだけど、消耗品や武具以外の便利品でやられると、まあめんどくさい。
 人口を分散させて負荷軽減なんて事も言われていたが、結局一番使いやすい街に人口が集中して露店が出来上がるってパターンも見た事あるし、また別のゲームじゃ街同士の交通の便がそれなりに悪いのに、初期で選んだ街に自分の職業ギルドが無いのが手間だったりするから、その辺の対策なんだろうな。
 その弊害なのか街の外のマップに関してはかなりシンプル構造になってるのが気になるな。一応ゼイテ以降になれば基本4方向から8方向に増えるけど。

 何はともあれ、とにかくガンナーギルドがエルスタン以外の街にある可能性は低いと思う。二次職、サブ職でもゼイテ以降でやりくりするという話は聞かなかった。
 これもしっかり裏取りを髭親父とバトルジャンキー、ちんちくりん、犬野郎に聞いたついでにメカクレ、あとおしゃべり忍者に聞いたうえで確認済み。
 これ聞いてる時に言われてそうだなと思ったのだが、プレイ時間が長いわりに私のレベルが低すぎる。そら固定ダメージを出せる銃があるから、適正レベル以上に強力な攻撃出来るのが原因だろうな。
 ウサ銃と鳳仙花はまだ第一線を張れてはいるが、拳銃に関してはもうパワー不足が否めない。そんなに強力な拳銃ってなんだよって話にもなるのだが、消耗量に対して火力が出ないのがやっぱり問題なんだよね。がんがん撃てるってなら話は別なんだけど。



 直ぐ話がずれるな、まあそういう訳でエルスタンの街中を歩き回ってマッピングよ。何度もやってきたことを今更って感じもあるけど、今までと大きく違うのはしっかりとした予想を立てた上での捜索。
 ギルドの位置関係をマップで確認しつつ、決め打ちした所を捜索してダメだったらまた切り替えてって形にはなるが、まあ集中して探した方がいいだろう。
 エルスタンのマップを改めて確認するが、中心に転移地点があり、そこから放射状に伸びる4方向の大通りがあり、全部で4ブロックに分かれている。
 いつも行っている裁縫クランは北西、鍛冶クランの連中は南西、逆サイドに行くと全体的に戦闘系のギルドが立ち並ぶ。つまり4ブロックの中でも左右で生産と戦闘できっちり分かれてる。なので街の東側に決め打ちして捜索で正解だとは思うのだが……木工と鍛冶でガンスミスが取れたのを加味したらそうとも言い切れない……?
 ああ、やばい、またおかしい事になってきた。とにかく東側の戦闘職のギルドを周辺に見回ってからもう一度整理しよう。



 ま、すぐ見つかるって思ってなかったから、虱潰しとギルドの設置間隔で狙って建物入っては外れて、NPCとなんともない会話が発生するくらいよ。クエスト発生するかなって思ったけど何にもない他愛のない会話ばっかりで結局東半分は外れ、隅々まで確認したけど収穫無し。

 こうなってくると残った西の方を同じように虱潰しで探し回るしかないな。
 こうも当てが外れてくると結構心折られてくるな。先が見えない作業をやり続けるのってきついんだよな。
 で、結局西側も周りに回って見つからないって言うね。
 
 ほぼ一日費やして何も成果が無いってのも今まで通りだからあまり落胆する事じゃないんだけど、やっぱり何にもないと徒労感が半端ないわ。
 とりあえず手頃にあったベンチにいつもの様に座り込んで、葉巻を咥えて火を付けて一服する。
 
 ついでにマップを開いて歩き回った地点を指さしながら残った地点を確認していく。マップ的にも地下がある訳でもないし、2Fがあるって訳でもない。
 めぼしい建物も見たし、トラッカーを使って足跡を見て不自然に途切れているような所がないかも確認した。ついでに言えばこれ以上ないくらいに徹底的に色んなとこを探し回ったってのになあ。
 
 ふいーっと大きく葉巻の紫煙を吐き出して足を延ばしてだらっとしつつベンチに座ってぼうっとする。此処まで何にもないと一気に萎えるなあ。
 黙ってゲームするくらいには集中してたけど、トラッカー使い続けると普通に視界がちかちかするんだよな。サーマル、ナイトビジョンでずっと画面を見続ける事もあったけど、あれは緑に白だったり赤い色ってのはあんましなかったからなあ……全画面赤くて画面をのぞき込むと3D視点になるっていう画期的なゲーム機があったけど、今じゃ知ってる人も少ないだろうな。
 とにかく目も足も使って精神的に疲れたわ。
 あと見てない所ってなんだろうな、一応西側ブロックの裏路地が残ってるけど、入れるような建物は無かったけど、一応確認しておくか。
 最後まで確認して「無かった!」って言うなら文句はないだろうよ。街中にいる間は自動回復速度が倍加するおかげでトラッカーは使い放題だしな。

 結局裏路地もトラッカーを使って見回って、成果無し。
 入れるような建物も無ければ、表通りに回れる通路の横なども見たけど、特に無し。
 やっぱりこれ以上はもうだめだな。やっぱり条件を満たしてないのか、それともエルスタン以降の街って例外か?
 でもこれ以上の条件って難しいだろう。いくら二次、サブ向けの職だとしてもゼイテやドルイテンにってのは、ガンナーだけ例外ってのもおかしいからやっぱエルスタンにあるはずなんだよ。
 でもまあ、どん詰まりだよ。

 徒労感が一気に押し寄せると共に腰に手をついてふいーっと下を向く。
 比較的足跡が少ないのでその動線を辿るのは結構簡単なので余裕だと思っていたちょっと前の私を引っぱたきたいんだ……が……?

 ちらりと見えた足跡の一つが少し気になったのでそのまま追跡していく。
 こういうのって何も考えていないときの方が上手くいくんだよな。





 しばらくその足跡を辿っていき、足跡が途切れた地点でまた大きくため息を吐き出す。

「これはちょっとずるくね」

 もういろんな所回って、あちらこちらの建物を見て「ないない」言ってきた訳だけど、まさか地下に行く道ってのはずるいだろ。
 普通に建物あったらよかったのになんで地下に降りるタイプなんだよ。やりたい事と言うか雰囲気諸々含めてそそる形式なんだけど……いや、そそるからこそ、こう言った方式を取ったのか。
 あんまりゲームをする上で開発者の考えまで深読みするって事は好きじゃないんだが、これは銃関係の映画だったり雰囲気、諸々含めて好きな事を詰めたうえで「銃とか扱ってるのって地下にいるのが鉄板だよな!」って感じでこうしたって事か。

 そのまま地下に降りる階段の突き当り、鉄製のドアをガンガンと叩いて呼んでみる。
 しばらくすると目線の部分がガシャっと開いて此方を覗いてくる。

「許可証は」
「んなもん持ってないわよ……銃弾の販売権とかじゃダメなんか」
「ふむ……」

 そういうとのぞき窓を閉じると共に、鉄製ドアが開く。やっぱりこれでいいんかい。
 流石に電気は無いので魔法での灯りが降り注ぐなか、正面に出てくるのは雑なテーブルと椅子。奥にはカウンターが部屋の横幅一杯にあり、正面の受付以外は金網が張っており、その後ろの棚には銃器がずらっと並んでいる。

 ああ、くそ、分かってる奴が作った所だよ、これ。雰囲気やこのビジュアル最高じゃん。

「用件は」
「ギルド所属と二次転職」
「それじゃあ、これ」

 上半身しか見えないが、タンクトップにぼさぼさっとしたポニーテールにしている、もう所謂軍人タイプのNPCが、ギルド所属のいつもの奴を出してくる。

『ガンナーギルドに所属する事をここに誓いますか?』

 こんなのさくっと承認に決まってるだろう。

『認証されました。ようこそガンナーギルドへ』

 火薬や銃、銃弾を作れた時もそうだったけど、こういうのって案外感動しないのよね、私。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...