最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
245 / 625
8章

228話 他人から見ると

しおりを挟む
 散々だ。
 そりゃもう散々よ。

 ボスに引っ掻き回されてボスを倒しに行ったら大炎上。
 いや、まあ、チャンネル登録者数と視聴者数は凄い増えたから万々歳だけど。
 しかもその上で、大炎上ポンコツピンクチャンネルって名前変えたらどうだって思いっきり笑われたって言うね。
 あまりにもしっくり来たから変えようってちょっと思っちゃったけど。

「ポンコツ、援護」
「またそうやってー!」

 今日も今日とて配信をしながらボスのワンパンショーを配信する。
 本日の獲物とやり方はいつも通りだけど、私が前線に出てボスを捌きながら良い所でFWS?ってので吹っ飛ばすやり方。
 獲物の方に関しては中型のレッドパンサー。動きの素早い、でかくて大きい猫って所。
 素早い相手に対しての実験も含めてやるらしいけど、その前に、私がガンフーになって35にもなったから、手に入れた奥義系スキルも見せていこうって話。
 こういう情報は隠した方が良いとか言ってたのに何で公開するんだろうか?って思ったけど、そもそも配信してるからそんな隠す意味なかったよ!

 あと、だんだんと要求してくることがきつくなってるよね!
 ついでにいえば今日は犬耳っことボスと私だけだから私の負担くっそ重いんだけど!

「やっぱり獣相手ってのは厳しいと思うんですよ!」
「ヒーラーはいるから無茶は出来るぞ」

 明らかにキャパオーバーになって、目がぐるぐるになっている犬耳っこが、私とボスの回復と補助をしつつ必死に立ちまわってる。
 あの子も可哀そうだよなあ、ボスの知り合いから貸してもらった子って聞いたけど、まさかこんなに振り回されるとは思ってなかっただろうにさ。
 あ、カバーが遅いって怒られてやんの、ぷーくすくす。

「ポンコツ、前!」
「おほ?」

 あー、もー、食らったー、やっべ、ガンシールド割れちゃったよ、あーあー、バイパーさんにまた報告しなきゃあ!

「チャージは完了したけど、このままじゃぶっ放せないんだけどー」
「こっち、回復、あっち、補助、ああ、向こうは回復して……!」
「ブラック企業はんたーい!」

 ガンフーの二次用スキルを使い、G4を2丁構え、向かってくるにゃんこの横っつらを蹴り払い、蹴った勢いのまま軸足で回転しながら、すぐに2丁拳銃で射撃。
 当たって怯んだら接近してすぐに銃のグリップで殴り、たじろいだ所を殴っていない方の銃で追撃。
 一度後ろに飛んでからのばねを生かした噛みつきを割れたガンシールドを噛ませて防ぎ、すぐに離させる為に射撃。
 口を離した隙を見計らって空マガジンを落とし、新しいマガジンを二つ宙に放り上げてから、銃のグリップで殴るのに合わせて空中リロード。
 とにかく接近戦でガンガン撃ち殴れる、これぞガンフー。もうちょっとガンカタだと思ったけど、違うみたい。

「何か知らん間に強いのが揃ってるじゃない」
「オートマチックしか装備できないけどー!」

 噛みつきを上体を倒して、女の子座りでぺたんと背中を付けながら回避し、銃口で顎下をボスのFWSの車線上に持ち上げる。

「……もう、このクラン、わけわかんないんですよ!」
「違いないね」

 ここ最近毎回見ている光速弾がにゃんこを貫いて瞬殺。固定ダメージ∞って暴力だよなあ。今はまだ私やマイカさんが前線を抑えられているからいいけど、抑えられない攻撃やもちーっと嫌らしい敵が来たら、戦法変えないとだめっぽい。

「三等分の経験値じゃ中々レベルあがんないわね」
「等分で全員じゃないかんねー、ドロップは?」
「いつもの感じでいいんじゃないですか?」
「そう言う事」

 砲身を立てた状態にしてから思い切り葉巻を吸っているボス。ブラックマフィアだけど、かっこいいんだよなあ。





 ブラックだよ。
 もう、とことんブラック。

 とにかくあっちこっち連れまわされるうえに、ヒールタンク扱いされるから信じられないくらいに神経を使う。
 しかも兄さんと違って「じゃあ、こういう感じで」って言うものすごい雑な指示でアドリブであれこれさせてくるし、本当に大変。

「っていう訳で、早くそっちに戻りたいよ」
「相変わらずですね、アカメさんは」

 家じゃ玄米茶ばっかり飲むくせに、このゲーム中は紅茶ばっかり飲んでいる。別に飲むのが悪いって訳じゃないけど、戦闘中にも一息入れるのは勘弁してほしい。ダメージ回復するのは僕なんだから。

「それで、楽しいですか?」
「楽しいわけないよ……あっちこっち連れまわされるし、回復が遅いと怒るし、適当にやれとか……具体性が無さ過ぎるし……」
「随分と楽しくやってるじゃないですか」

 そんな事はないって言っているのに、どうしてこうも前向きに考えて言うんだろうか。こっちは前線で戦っている時よりも神経すり減らしてるってのにさ。
 大体防御力も0、避ける事も出来ない。かなりの前提条件をクリアしなきゃいけない一撃を当てるためだけに駆り出されているってどうなんだ。

「兄さん達とあれこれやってる方が圧倒的に楽だなんて……」
「……1つ聞きますけど、アカメさんと何をやってるんですか?」
「ボスを一撃で倒すってだけですよ、これからもどっかの猫科のボスを倒しに行くって」
「道中も大変そうですが」
「機動力の高い前衛と火力のある後衛が2人ですから、突破力は凄まじいですよ……またこの3人がですね」

 ああ、もう、また思い出したよ、突破力が高すぎて、モンスターハウスにも突っ込んでいくから、ヒールが間に合わない場合が多くなったし、いきなり進む道を切り替えて迷ったりもするんだった。
 出向って形だからいずれは兄さんのクランに戻るけど、並みのヒーラーだったら数分で潰れるね。

「次は兄さんが一緒に行ってあげてくださいよ……かばうスキルでやってくれた方がよっぽどいいですよ」
「はっはっは……振り回されるので嫌です」
「……だから僕に押し付けたんでしょ!」
「さて、何の事やら」

 くつくつ笑いながら紅茶を啜ってる時点で自供してるようなもんだよ……。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...