週刊アラカシ~特集!~『執事総選挙殺人事件の犯人』に迫る!

まるねこ

文字の大きさ
13 / 19

13

しおりを挟む
「今でもよく喧嘩しているんですか?」
「それはないかもしれません。彼は沿岸部に転勤になり、一人暮らしをしていますから喧嘩にはならないと思いますがね」

「一部では不倫していたのではないかという話が出ていますが、知っていますか?」
「……まあ、彼も男ですし、浮いた話の一つや二つあってもおかしくはないでしょう」
「心当たりが?」

「無くはないが、本人から直接聞いた訳ではありませんし、憶測で言うのは違いますから」

 この人は土井啓介の不倫に関しては黙認していたのだろうか?

「直接ではないという事は別の誰かから聞いたのですか?」

 一瞬、躊躇うような仕草をしていたが、話をしてくれるようだ。

「随分前の話です。女性社員達が話をしていてたまたま通りかかった私に訴えるように彼女達は話をしてきました」
「どんな内容だったんですか?」

「どうだったかな。確か経理の女性にしつこく声を掛けてきて迷惑だから注意してくれと。

 既婚者なのに第三営業部の女性と腕を組んで歩いていたのに部署が違う若い子に次々と声を掛けているし、そんな男と一緒に仕事をしたくない、と言っていた気がする。

 雑談の延長だと思い、その場は軽く流しまし、後日、彼にはそれとなく注意したことはあります」
「それはどれくらい前の話ですか?」

「二十年、いや、もう少し前だったか。でも、それくらい前ですよ。あの当時は彼もまだ二十代後半で若かったし、こちらも大事にならなければ男女の話に首を突っ込むのは得策ではないですから」

「啓介さんは不倫を繰り返していたんですか?」
「分からない。ただ、第三営業部の女性は私達がいる第二設計部の部署まで来て、彼の私物を投げつけて退職して以降は男女のトラブルは無かったですよ」

「凄いですね。当分社内で噂の的になっていたのではないですか?」
「否定は出来ませんね。彼もそれで懲りたのかもしれない。当分の間は女性陣からは総スカンを食らって肩身の狭い思いをしていたようです」

「最初に変わったやつだと言っていましたが、どのように変わっていたんですか?」

「そうですね。真面目ではあるんですが、自分に自信があって目上の者にも物怖じしないというんでしょうか。

 悪く言えば目上の者に偉そうな態度を取り、何度か叱責されていました。それでも気にしていなかったかな。

 それに彼が係長に昇進した時、後輩達に『昇進祝いをよこせ』と強要していたようです。もちろんそんなことをするから普段からあまり人望はなかった。

 仕事はできるので目を瞑っている人も多い。会社内部でそういった人とのやり取りで失敗をするため、基本的に彼は客の前には出させていなかったんです。

 まあ、課長になった辺りからはそうも言っていられないんですがね」

「仕事ぶりはどうだったんですか?」
「仕事はきちっと期日までにこなすし、大きなミスも無く、部下への仕事の割り振りも上手です」

「仕事の面では優秀という感じですか?」
「ええ、そうですね」
「土井さんは子供の話はしたことがありますか?」

「いいえ、全く。彼は私達にはプライベートは一切しゃべらない感じです。話好きな女性陣なら聞いているかもしれません。女性と話すのは好きなようですから」

 下世話な話だが、自分に靡く女性を普段から探していたのだろうか?
 それにしても兄妹の性格は父親譲りなの、か?

 人間関係は得意ではないのかもしれない。

 変わった人間だと理解できた側から疑問が湧いてくるような。なんとももどかしい気持ちになる。ある程度聞いた後、俺は下田さんにお礼を言って会社を後にした。

 父親に直接取材をすべきか?だが、下田さんの話では離婚はしていないが、数年前から別居はしている状態だ。

 深く追及しても無駄な気もするな。
 母親を調べた方がいいのかもしれない。

 俺はそう考えた後、父親に直接取材はせず、数日かけて友人である立花綾乃や母親が務めていた職場の経理主任や彼女の親戚に取材をした。

 彼女の親戚は一様に関わりたくないと取材を拒否された。

 母方の妹がチラリと話をしてくれたが、土井啓介と姉が結婚してから祝いをくれと強要し、人間関係を切るようなことを言って回ったらしい。

 ゆかりの祖母は既に亡くなっているのだが、元気だった頃は子供達を心配して何度か預かったが、子供達の癇癪が酷く家の物を壊して回り預からなくなったらしい。

 父方の親戚も同じじゃないかとも言っていた。取材を拒否した親戚の中には引っ越しを検討している家もあった。

 田舎の方ではまだ村八分が残っているのだろう。

 ゆかりの友人と思われた立花綾乃は最初こそ仲良くしていたが、彼女は何か怖いと感じて距離を取った。

 高校でも友達を作り、最初は仲良くしていたけれど、他のグループの人に話しかけるだけで悪口を言われたり、つねられたりと嫉妬されてそれが怖かったと言っていた。

 そしてクラスで距離を置かれほどほどの付き合いとなった。その頃から次第にアイドルグループなどの推し活を始めたらしく、鞄には缶バッヂやキーホルダーが沢山付いていたそうだ。

 土井ゆかりの中で執着の対象がアイドルグループへと移行したのだろう。

 その頃からクラスの中では問題を起こすことなく穏やかに過ごしていたという。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

処理中です...