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新章 切掛
39 回復薬の作成
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「改めて魔女クロエ様、ようこそ我が王宮へ。私はジルディット・ロマス・サン・フォルン。第一王子で現在は王太子として政務に就いている。魔女クロエ様には回復薬の話など様々なことをお聞きしたい」
「そうなの? 私の知識で良ければいいよ? 魔女の村も二百年前くらいに無くなっているし、ここのお城だって戦争で焼けたから魔法についての知識も大部分がないんでしょう?」
「魔女の村……。本当か? という前に二百年前? クロエ様は一体何歳なのだ?」
私が長生きしていると知って彼の態度から本当かどうかも分からないというのが見て取れる。
「女性に年齢を聞くなんて失礼だよ! これでも五百年前の私は凄かったんだよ! 王宮魔法使い総団長だったんだから!」
子供の姿をした私がえっへんと腰に手を当てても嘘をついているように見えてしまうのかもしれない。
「で、この魔法薬は誰が作ったんだ?」
「だから、私だって言っているでしょう? ああ、子供の姿だから信じられないのかな」
私はジルディット殿下の目の前で少し複雑な魔法円を三つ浮かび上がらせた。
「殿下はこの魔法円を読み解くことができる?」
私は魔法で部屋の隅にあった茶器を手元に持ってくる。そして魔法円を起動する。
一つ目の魔法円は水を出し、二つ目でカップを浮かせ、三つ目で温める。
そしてお茶を淹れてジルディット殿下にどうぞ、と渡すと彼はまた驚愕の目で私を見ている。驚きすぎてそのうち目玉がコロリと落ちちゃうんじゃないかな。
「……魔法円を三つも同時に。魔女クロエ様は本当の魔女なの、ですか?」
「だからそう言ってるのに。私は五百年間この姿で生きてきたの。材料があるならここで回復薬を作ってみせてもいいよ。最近の薬って効果が薄いから気になっていたんだよね。込める魔力の量が少ないのもあるけど、手順が間違っているんじゃないかな」
魔法円を見てからのジルディット殿下は、少しは私を信用したようだ。
「本当ですか?」
「うん」
一応昔ほどの効果は出ないながらも回復薬も作られているため王宮にも材料は揃っているのだとか。
魔法薬の材料がある場所へジルディット殿下と共に歩いていく。
王宮の造りは簡素で、どちらかといえば要塞に近い造りで豪華絢爛ではない。これも世相を反映しているのかもしれない。
私の中でふと疑問が湧いた。ジルディット殿下は王太子だよね?
なのに自ら回復薬の作成者を探していたのは何故なんだろう?
「ここになります」
魔法使いたちが勤務している建物の一番奥にある場所で扉を開けると、光の入らない部屋になっていた。
室内は薬草の香りに包まれていて、私にとってはとても落ち着く香りだ。
私は照明魔法で部屋を明るく照らし、回復薬の材料を選んでいく。
「これと、これと、これ。あと、これも」
私が薬草を取り出すとジルディット殿下はその薬草を部屋の入り口にあった空箱へと入れている。
そして魔法使い達が魔法薬を作っている調合室にやってきた。
突然ジルディット殿下と女の子が入ってきて驚いていたが、室内にいた人たちは礼を執っている。
「楽にしてくれ」その言葉を聞いた後、この部屋の責任者のような人が殿下の前に立ち、聞いてきた。
「殿下、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ、王都で効果がある回復薬をこの方が今から作ってくれるというので案内してきたんだ」
「彼女が、あの魔法薬の作成者なのですか?」
そう言うと、部屋にいた誰もが一斉に私に視線を向けた。
「そうだ。彼女は魔女クロエ様だ。決して無礼のないように頼む」
殿下がそう言うと、他の人たちは一斉に礼を執った。よく考えてみると、私は黒色を持つ忌み子なのに忌避感はないようだ。
なんなら室内にいる数名は黒髪も混じっている。長い時間を経て黒髪は忌み子だという考えは変わったのだろうか。まあ、いいや。そのうちに聞いてみればいいかな。私は早速回復薬を作る準備に入る。
「この窯、今使っていないよね?ジルディット殿下、ここを使っていいかな?」
「だ、そうだ。フィルいいか?」
「もちろん構いません。私共も見学してもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ。むしろ、みんなちゃんとした回復薬の作り方を覚えておいてね」
私は室内にいる魔法使い達に説明をはじめた。まず、薬草の種類と量の説明。この辺は魔法使い達も理解しているので問題なく進んだ。そしていざ実演しようとした時、一人の魔法使いが手を挙げた。
「クロエ様、魔法円を浮かび上がらせていますが、どうしてなのですか?」
「この魔法円は見たことない?ここから水を出すの。魔法で作った水は綺麗な水だから薬草とも相性がいいし、魔力を込める量も増えて効果が高くなるから、こうやって使っているの。ここらの質問は後で答えるから今はよく見ておいてね」
「「「はい」」」
私は窯に水を満たし、火を点け、ヘラから窯の中の水に魔力を流しゆっくりとかき混ぜ始める。
少しずつ薬草を足し、灰汁が極力出ないように小さな火で時間をかけて作っていく。そして最後の仕上げに詠唱をする。
― 闇の奥深くに潜む力を探し求め、流星の如き煌めく光を取り込む。混沌の中の秩序をもたらす力を得て全てを癒すものとならん。今その光を解き放て-
窯の液体は淡い緑色の強い光を帯び、徐々に光が弱くなってくる。そして最後には光は消え、回復薬が完成した。
「そうなの? 私の知識で良ければいいよ? 魔女の村も二百年前くらいに無くなっているし、ここのお城だって戦争で焼けたから魔法についての知識も大部分がないんでしょう?」
「魔女の村……。本当か? という前に二百年前? クロエ様は一体何歳なのだ?」
私が長生きしていると知って彼の態度から本当かどうかも分からないというのが見て取れる。
「女性に年齢を聞くなんて失礼だよ! これでも五百年前の私は凄かったんだよ! 王宮魔法使い総団長だったんだから!」
子供の姿をした私がえっへんと腰に手を当てても嘘をついているように見えてしまうのかもしれない。
「で、この魔法薬は誰が作ったんだ?」
「だから、私だって言っているでしょう? ああ、子供の姿だから信じられないのかな」
私はジルディット殿下の目の前で少し複雑な魔法円を三つ浮かび上がらせた。
「殿下はこの魔法円を読み解くことができる?」
私は魔法で部屋の隅にあった茶器を手元に持ってくる。そして魔法円を起動する。
一つ目の魔法円は水を出し、二つ目でカップを浮かせ、三つ目で温める。
そしてお茶を淹れてジルディット殿下にどうぞ、と渡すと彼はまた驚愕の目で私を見ている。驚きすぎてそのうち目玉がコロリと落ちちゃうんじゃないかな。
「……魔法円を三つも同時に。魔女クロエ様は本当の魔女なの、ですか?」
「だからそう言ってるのに。私は五百年間この姿で生きてきたの。材料があるならここで回復薬を作ってみせてもいいよ。最近の薬って効果が薄いから気になっていたんだよね。込める魔力の量が少ないのもあるけど、手順が間違っているんじゃないかな」
魔法円を見てからのジルディット殿下は、少しは私を信用したようだ。
「本当ですか?」
「うん」
一応昔ほどの効果は出ないながらも回復薬も作られているため王宮にも材料は揃っているのだとか。
魔法薬の材料がある場所へジルディット殿下と共に歩いていく。
王宮の造りは簡素で、どちらかといえば要塞に近い造りで豪華絢爛ではない。これも世相を反映しているのかもしれない。
私の中でふと疑問が湧いた。ジルディット殿下は王太子だよね?
なのに自ら回復薬の作成者を探していたのは何故なんだろう?
「ここになります」
魔法使いたちが勤務している建物の一番奥にある場所で扉を開けると、光の入らない部屋になっていた。
室内は薬草の香りに包まれていて、私にとってはとても落ち着く香りだ。
私は照明魔法で部屋を明るく照らし、回復薬の材料を選んでいく。
「これと、これと、これ。あと、これも」
私が薬草を取り出すとジルディット殿下はその薬草を部屋の入り口にあった空箱へと入れている。
そして魔法使い達が魔法薬を作っている調合室にやってきた。
突然ジルディット殿下と女の子が入ってきて驚いていたが、室内にいた人たちは礼を執っている。
「楽にしてくれ」その言葉を聞いた後、この部屋の責任者のような人が殿下の前に立ち、聞いてきた。
「殿下、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ、王都で効果がある回復薬をこの方が今から作ってくれるというので案内してきたんだ」
「彼女が、あの魔法薬の作成者なのですか?」
そう言うと、部屋にいた誰もが一斉に私に視線を向けた。
「そうだ。彼女は魔女クロエ様だ。決して無礼のないように頼む」
殿下がそう言うと、他の人たちは一斉に礼を執った。よく考えてみると、私は黒色を持つ忌み子なのに忌避感はないようだ。
なんなら室内にいる数名は黒髪も混じっている。長い時間を経て黒髪は忌み子だという考えは変わったのだろうか。まあ、いいや。そのうちに聞いてみればいいかな。私は早速回復薬を作る準備に入る。
「この窯、今使っていないよね?ジルディット殿下、ここを使っていいかな?」
「だ、そうだ。フィルいいか?」
「もちろん構いません。私共も見学してもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ。むしろ、みんなちゃんとした回復薬の作り方を覚えておいてね」
私は室内にいる魔法使い達に説明をはじめた。まず、薬草の種類と量の説明。この辺は魔法使い達も理解しているので問題なく進んだ。そしていざ実演しようとした時、一人の魔法使いが手を挙げた。
「クロエ様、魔法円を浮かび上がらせていますが、どうしてなのですか?」
「この魔法円は見たことない?ここから水を出すの。魔法で作った水は綺麗な水だから薬草とも相性がいいし、魔力を込める量も増えて効果が高くなるから、こうやって使っているの。ここらの質問は後で答えるから今はよく見ておいてね」
「「「はい」」」
私は窯に水を満たし、火を点け、ヘラから窯の中の水に魔力を流しゆっくりとかき混ぜ始める。
少しずつ薬草を足し、灰汁が極力出ないように小さな火で時間をかけて作っていく。そして最後の仕上げに詠唱をする。
― 闇の奥深くに潜む力を探し求め、流星の如き煌めく光を取り込む。混沌の中の秩序をもたらす力を得て全てを癒すものとならん。今その光を解き放て-
窯の液体は淡い緑色の強い光を帯び、徐々に光が弱くなってくる。そして最後には光は消え、回復薬が完成した。
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