側妃の愛

まるねこ

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13 暗鬱

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 それからもずっと父は病に身で無理をしてでも教会に行き、女神像に祈りを捧げていた。

 ……父は今何を思っているのだろう。


 病は確実に父を蝕んでいき、父はとうとうベッドから起き上がることも叶わなくなってきた。

 父はやせ細り、ベッドで毎日窓の外を眺めていた。

 母はというと、父を心配するどころか、好き勝手に遊び惚けている状態だ。

「父上、体調はいかがですか?」
「ロッシュ、私はもう長くない。もし私が死んだら王家の墓に入れず、女神像の傍に埋葬してほしい」
「王家は代々墓が決まっております」
「私は女神像の傍にいたい」

「なにを今更、エレフィア様の傍にですか?」
「知っていたのか。お前に教えたのはアーシャか」
「ええ、彼女は先日子供や夫に見守られながら息を引き取ったようです。亡くなる前に『エレフィアお嬢様が迎えに来てくれた』と笑顔だったそうです」

「そうか。彼女は元々エレフィアの侍女だったからな」
「父上、なぜ、母を選んだのですか」

 俺はずっと気になっていたことを聞いた。

 すると父は女神像に視線を向けたまま理由を考えているようだ。

「なぜだろうな。あれほどエレフィアのことを愛していたのに」
「アーシャは女神さまの試練だと言っていました」
「試練、か。そうかもしれんな。私は試練から逃げてしまった。だから女神は私からエレフィアを取り上げ、メグミの力も取り上げた」

「母上は私を産んで力がなくなったのではないのですか」
「いいや、メグミはお前を産む前から力を失っていた。力をなくしたと公表したら混乱を生むためお前を産むまで公表は控えられていただけだ」
「母上は何を考えていたのでしょうか」

「さあな。ただ単に王妃になりたかったのではないか。メグミのいた世界では白馬に乗った王子様がお姫様を迎えに来て幸せにしてくれるという話があるらしいからな」
「母上ならありえそうだ。父上は後悔しているのですか?」

「後悔か……。ロッシュ、お前は間違えてはならん」
「わかりました」

 その三か月後、父は静かに息を引き取ると不思議なことに今まで国を覆っていた結界も消えてしまった。

 そして母の姿も。

 人々は国王の死と聖女が居なくなったことで嘆き悲しみ、教会には多くの人たちが殺到した。

 国全体で一年もの間喪に服すことになった。

 誰もが悲しむ中で俺は一人遣る瀬無い感情をもてあまし、ため息をつくしかなかった。

 『エレフィア様、どうか安らかに』

【本編完】
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