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再び茶会
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「随分と楽しそうですね、姉上」
真っ赤になった頬を隠すようにそっと手をやり俯くセシリア。その背後からジークフリートがこちらへとやってきた。後ろにはレジナルドも控えている。
爽やかな初夏の陽射しを受け、姉弟の髪が黄金に光り輝く。髪ばかりではない。穏やかに微笑みあう二人にセシリアはしばし見惚れてしまいそうになり、いかに自分が場違いなのかを痛感する──。
「あらジーク、貴方がお茶の時間に来るなんて珍しいわね。」
「確かにそうですね。ここで貴方と二人で茶会をして以来かな?」
ジークフリートがセシリアに確認するように目をやると、セシリアはうろたえたように目線をリーナに向けた。
「ジーク、今ちょうどリアと話をしていたのだけれど…。私少し学園の寮について調べておきたいのよ。貴方代わりにここでリアとお茶を飲んでいくといいわ?」
「私は構いませんが…。学園の寮についてとは、一体何なのですか?」
レジナルドに目配せをすると、ジークフリートはセシリアの隣に腰かけた。
「それは、リアに自分で聞くことね。──ではリア、失礼するわね。」
──ごゆっくり。リーナはジークフリートにそう囁くと、にっこりと笑って侍女を引き連れて風のように去って行った。ジークフリートとレジナルドは何とも言えない顔でその様を見つめている。セシリアとしてはまだ自分の身の振り方をジークフリートたちにまで相談する心構えはできていないのだが…。
なんともいえない雰囲気が3人を取り巻いていた。沈黙を破ったのはレジナルドだった。
「セシリア嬢…申し訳ないのですが、私はこれから騎士団に顔を出しに行く予定でして。ジーク、また後で…。」
どきりとしてセシリアが見上げると、レジナルドは憐れむようにこちらを見ながら一礼すると去って行った。
「…まったく あの二人は…」
ジークフリートは小さくため息をつくと紅茶で喉を潤した。リーナとセシリアの茶会には必ず甘い菓子が用意されている。今日は焼き菓子らしい。クッキーと一口大のケーキのようなものがスタンドに見える。
隣のセシリアはまだレジナルドの背中を見送っており、そのすがるような目線にジークフリートはつい嫉妬した。
「今日はチョコレートはないようだね?」
思わず自分が口にした意地の悪い言葉に驚く。驚いたのはセシリアもまた同様だった。
「…殿下」
続く言葉に詰まるセシリアを見て、ジークフリートはやっと自分の放った言葉の意味するところを理解した。
「──いや、申し訳ない。変な意味で言った訳ではなくて。リアは、チョコレートが好きだと言っていただろう?だから…」
「…そうですか。」
「私が甘い物を好きではないことを知っていたからあの時はあんな風な態度をとったんだろう?」
「それもありましたが──チョコレートが好きなのは本当です。」
「そうか、好き…なのか。じゃあ、趣味が読書というのは本当だった?」
そう聞いてくるジークフリートはとても楽しそうだ。久しぶりに見るジークフリートの自然な笑顔に、思わず本音が出てしまう。
「…いえ、それは」
「──あの時は、そう答えることしかできなかった?」
あの日の会話の流れを思い出してみる。確か、好きなことは何かと聞かれたのだった。あの頃の自分に好きなことなどあったのだろうか?学園と、邸との往復の日々。逃げるように走った本の世界…。そこから得るものは確かに多かったがただそれだけだ。
「──はい。それくらいしか思いつかなかったのです。」
やはりそうだったか──ジークフリートが小さく頷いた。
真っ赤になった頬を隠すようにそっと手をやり俯くセシリア。その背後からジークフリートがこちらへとやってきた。後ろにはレジナルドも控えている。
爽やかな初夏の陽射しを受け、姉弟の髪が黄金に光り輝く。髪ばかりではない。穏やかに微笑みあう二人にセシリアはしばし見惚れてしまいそうになり、いかに自分が場違いなのかを痛感する──。
「あらジーク、貴方がお茶の時間に来るなんて珍しいわね。」
「確かにそうですね。ここで貴方と二人で茶会をして以来かな?」
ジークフリートがセシリアに確認するように目をやると、セシリアはうろたえたように目線をリーナに向けた。
「ジーク、今ちょうどリアと話をしていたのだけれど…。私少し学園の寮について調べておきたいのよ。貴方代わりにここでリアとお茶を飲んでいくといいわ?」
「私は構いませんが…。学園の寮についてとは、一体何なのですか?」
レジナルドに目配せをすると、ジークフリートはセシリアの隣に腰かけた。
「それは、リアに自分で聞くことね。──ではリア、失礼するわね。」
──ごゆっくり。リーナはジークフリートにそう囁くと、にっこりと笑って侍女を引き連れて風のように去って行った。ジークフリートとレジナルドは何とも言えない顔でその様を見つめている。セシリアとしてはまだ自分の身の振り方をジークフリートたちにまで相談する心構えはできていないのだが…。
なんともいえない雰囲気が3人を取り巻いていた。沈黙を破ったのはレジナルドだった。
「セシリア嬢…申し訳ないのですが、私はこれから騎士団に顔を出しに行く予定でして。ジーク、また後で…。」
どきりとしてセシリアが見上げると、レジナルドは憐れむようにこちらを見ながら一礼すると去って行った。
「…まったく あの二人は…」
ジークフリートは小さくため息をつくと紅茶で喉を潤した。リーナとセシリアの茶会には必ず甘い菓子が用意されている。今日は焼き菓子らしい。クッキーと一口大のケーキのようなものがスタンドに見える。
隣のセシリアはまだレジナルドの背中を見送っており、そのすがるような目線にジークフリートはつい嫉妬した。
「今日はチョコレートはないようだね?」
思わず自分が口にした意地の悪い言葉に驚く。驚いたのはセシリアもまた同様だった。
「…殿下」
続く言葉に詰まるセシリアを見て、ジークフリートはやっと自分の放った言葉の意味するところを理解した。
「──いや、申し訳ない。変な意味で言った訳ではなくて。リアは、チョコレートが好きだと言っていただろう?だから…」
「…そうですか。」
「私が甘い物を好きではないことを知っていたからあの時はあんな風な態度をとったんだろう?」
「それもありましたが──チョコレートが好きなのは本当です。」
「そうか、好き…なのか。じゃあ、趣味が読書というのは本当だった?」
そう聞いてくるジークフリートはとても楽しそうだ。久しぶりに見るジークフリートの自然な笑顔に、思わず本音が出てしまう。
「…いえ、それは」
「──あの時は、そう答えることしかできなかった?」
あの日の会話の流れを思い出してみる。確か、好きなことは何かと聞かれたのだった。あの頃の自分に好きなことなどあったのだろうか?学園と、邸との往復の日々。逃げるように走った本の世界…。そこから得るものは確かに多かったがただそれだけだ。
「──はい。それくらいしか思いつかなかったのです。」
やはりそうだったか──ジークフリートが小さく頷いた。
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