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198話 お礼 5
しおりを挟む「はぁ、はぁ、はぁ...うぅ...。」
結局、また好き勝手に翻弄されて、南原さんより先に達してしまった...。
「う...うぇ...ぐすっ...」
そりゃあ、南原さんは経験豊富だし、こんなの当たり前なのかもしれないけどさ。
ちょっとは乱れてくれてもいいじゃんか。
自分の不甲斐なさを痛感して、悔しさに涙を流していると、不意にクイッと顔を持ち上げられて、優しく口付けられた。
「ククッ、その泣き顔は堪らないな。」
「ふぇ...? 」
「もっと苛めて泣かせたくなる。」
あ、れ...?
なんだか雰囲気が一変して、また一段とサディスティックに光る瞳。さらに、少し低くなった気がする声。
「み、みなみはら、さん...? 」
もしかして、変なスイッチいれちゃった?
「ククッ、健気に馴れない奉仕を賢明にしてくれた上、それでも俺に翻弄されて、思うようにいかず、悔しくて泣いてしまうなど...そんな姿を見せられて、正気では居られる訳がない。」
「え...」
それって...。
俺が思っていたのとは違うけど、一応南原さんの余裕は少しは崩せたってこと?
泣き顔に煽られるなんて、この人は本当にブレないドSだ。
でも、なんだかとってもマズイような気がする。
だって、なんか、南原さんの目がギラギラしてて...こ、怖い。
俺はどうやら意図せず南原さんのS心を刺激してしまったらしい。
俺はただ、いつも不適な南原さんが、快楽によって悩ましげに身悶えちゃったりするところが見たかっただけで、こんなはずじゃなかったのにっ...。
「えっと、南原さん、ちょっと落ちつい...うわっ! 」
慌てて宥めようとするが、性欲の化身である南原さんの欲情を止める術などあるはずもなく。
身の危険を感じた俺は、一旦離れようとしのだが、突然腕を強く引かれ、南原さんの胸に倒れ込んでしまった。
「お前が煽ったのだろう? 責任はとって貰わないとね。」
「ひゃっ...!? 」
耳元で囁かれて、息がかかり、ゾクゾクと寒気にも似た快感が背筋を這う。
「俺を満足させてくれるまで、逃がさないよ。」
っ...。
ど、どうしよう...。
熱を持った吐息混じりのその声に、これからどうなってしまうのかという恐怖と期待が溢れ、俺の心臓をトクトクと打ち鳴らしていた。
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