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いつかは辿り着く
希望の鎖
なるべくニヤニヤしている顔を悟られないように振り返ることなく早歩きでオカルトコーナーへ向かう。自分は随分と図太くなったものだ。まあいくら顔がいいとはいえ、あんな童貞ムーブをかますやつは俺の敵じゃない。顔がいいどころかぶっちゃけよくみると俺好みの顔だなと思うけどそれでも余裕だ。
それはそれとして本当に悪女みたいなことしてしまった自分に少しだけ危機感は抱いている。もっとセクシーなお姉さんがやらねえとこういうの映えないよな。そういう問題じゃない? うるせえ虎杖を大人しくさせつつ俺の想いを伝える方法があれしか思い浮かばなかったんだ。
「……ん? ここ光ってね?」
オカルトコーナーの隅にある俺があの魔導書を初めて手に取ったその隙間から光が漏れている。それはこの禍々しい文字が刻まれまくった空間の中ではかえって目立ちすぎる。
学園長達曰く、この場所に何かあるとは言っていたがそれってこれのことだろうか? どれどれと手を伸ばし光源を探る。手に硬い感触を感じた。金属のようで、持つとジャリジャリと音がなる。鎖を掴んで引っ張ろうとするが、なかなか重い。
「これは……」
思わず引っ張り上げたそれに見覚えがあった。JBからもらっておいて使い道がわからなかったそれ。願いが形になったものとかいうあまりにも伝わりづらい説明と共に渡されたそれ。
赤い首輪と繋がった鎖が図書室の床に擦れる。
…………………………
「て、天使様とはつながらないのか!?」
「うーん。どうやらスマホを紛失してしまわれたようですね」
「あのスターにそっくりな男の子にまた奪われちゃったのかなぁ」
「それか揉み合いになった拍子に無くしたとかな」
天使様と連絡が取れなくなった直後、自分たちは慌てふためくことしかできなかった。扉を開けた時に僕とそっくりな彼の声が聞こえたと思ったら、スマホの視点がブラックアウトしてこちらからは全く干渉できなくなってしまった。……そういえば彼声すらも僕と同じなんだな。気持ち悪いとまではいかない。けれど何故天使様のおられる天界に僕と瓜二つの人間が? という疑問があったことは間違いなかった。
「むー……兄貴、どんな感じ?」
「全然ダメだ。スマホが使えなくなった今新しい媒介が必要だ。もっとも今はあの目が確実におかしくなっていたスタッフォードくんのそっくりさんに酷いことされてないかを心配する必要がありそうだが」
「怖いこと言わないでください」
「怖いのはギャリックだと思うぞ……」
「そっくりさんと同じレベルでやべえよ瞳孔開いてるって」
あんな凶悪な雰囲気の彼と一緒にされる僕が異常なのか、なにか天使様に乱暴なことをした映像を残したわけじゃないのに僕と同じぐらい危険視される彼が異常なのか。個人的には後者だと願いたい。
……いいや違うな。時間は既に夜すら超えて朝の10時。授業にすらいかず付きっきりで天使様を助けようと奮闘するが、全員眠気を始めとした疲れが見え始めている。その中でこんなふうに1人だけから回っていたら確かにそいつは怖いと思われてしまうかもしれない。
「__ねえねえ、急に話変えるね。……なんか廊下の方から音がしない? ジャラジャラっていうかさ、金属が這ってる音?」
アナに言われて耳を覚ます。確かにジャラジャラという音に加えて何か引きずる音も聞こえた。音はこちらに近づいてくる。こんな緊急事態のタイミングにいきなり流れる異音に全員が警戒体制をとる。少しずつ距離が近くなる、それなのに足音が一切しないのがまた不気味だ。
そして遂にその正体が僕たちの前に現れる。ガチャリと器用にドアを開けるそれは人どころか生き物ですらなかった。
「な、なにあれ……」
「確か、ハジメの首輪だよな? JBがあげてたやつ」
「あーやっぱアレ動くんだ」
アナの言った通りだった。異音の正体は赤く光りジャラジャラと音をたてる鎖と、それに繋がれた首輪だった。犬はもちろん人も何も繋がっていない。手綱は誰にも握られていない。蛇のようにクネクネと動きながら前進し、ドアを器用に開けるその姿。
「こ、怖いんだけど!? あれ無人で動いてるし!」
「JBお前動くの知らんかったんか」
「知らねえよ! むしろジョセフはなんでそんなに冷静なんだよ!?」
「見たことあるし」
「あるんかい!」
赤い首輪は警戒する僕にも漫才をするJBとジョセフにも目もくれない。真っ直ぐにホワイト先生の方へ向かっていた。それは無機物であるはずなのに、確かな意思を感じる足取りだった。足ないけど。
「へえ……この首輪は素晴らしい。魔法製であるはずなのに天使様の力を感じる一品だ。ノー……いや、ドルレアックだったな。これ作ったのきみか?」
「……はい。俺っすよ」
「いい魔法だ。将来大成するだろう」
先生は何食わぬ顔で首輪を手に取る。そして魔術式を超特急で書き換え始めた。
「今からこれを媒介とする。仕事してくれよ、赤い鎖……」
それはそれとして本当に悪女みたいなことしてしまった自分に少しだけ危機感は抱いている。もっとセクシーなお姉さんがやらねえとこういうの映えないよな。そういう問題じゃない? うるせえ虎杖を大人しくさせつつ俺の想いを伝える方法があれしか思い浮かばなかったんだ。
「……ん? ここ光ってね?」
オカルトコーナーの隅にある俺があの魔導書を初めて手に取ったその隙間から光が漏れている。それはこの禍々しい文字が刻まれまくった空間の中ではかえって目立ちすぎる。
学園長達曰く、この場所に何かあるとは言っていたがそれってこれのことだろうか? どれどれと手を伸ばし光源を探る。手に硬い感触を感じた。金属のようで、持つとジャリジャリと音がなる。鎖を掴んで引っ張ろうとするが、なかなか重い。
「これは……」
思わず引っ張り上げたそれに見覚えがあった。JBからもらっておいて使い道がわからなかったそれ。願いが形になったものとかいうあまりにも伝わりづらい説明と共に渡されたそれ。
赤い首輪と繋がった鎖が図書室の床に擦れる。
…………………………
「て、天使様とはつながらないのか!?」
「うーん。どうやらスマホを紛失してしまわれたようですね」
「あのスターにそっくりな男の子にまた奪われちゃったのかなぁ」
「それか揉み合いになった拍子に無くしたとかな」
天使様と連絡が取れなくなった直後、自分たちは慌てふためくことしかできなかった。扉を開けた時に僕とそっくりな彼の声が聞こえたと思ったら、スマホの視点がブラックアウトしてこちらからは全く干渉できなくなってしまった。……そういえば彼声すらも僕と同じなんだな。気持ち悪いとまではいかない。けれど何故天使様のおられる天界に僕と瓜二つの人間が? という疑問があったことは間違いなかった。
「むー……兄貴、どんな感じ?」
「全然ダメだ。スマホが使えなくなった今新しい媒介が必要だ。もっとも今はあの目が確実におかしくなっていたスタッフォードくんのそっくりさんに酷いことされてないかを心配する必要がありそうだが」
「怖いこと言わないでください」
「怖いのはギャリックだと思うぞ……」
「そっくりさんと同じレベルでやべえよ瞳孔開いてるって」
あんな凶悪な雰囲気の彼と一緒にされる僕が異常なのか、なにか天使様に乱暴なことをした映像を残したわけじゃないのに僕と同じぐらい危険視される彼が異常なのか。個人的には後者だと願いたい。
……いいや違うな。時間は既に夜すら超えて朝の10時。授業にすらいかず付きっきりで天使様を助けようと奮闘するが、全員眠気を始めとした疲れが見え始めている。その中でこんなふうに1人だけから回っていたら確かにそいつは怖いと思われてしまうかもしれない。
「__ねえねえ、急に話変えるね。……なんか廊下の方から音がしない? ジャラジャラっていうかさ、金属が這ってる音?」
アナに言われて耳を覚ます。確かにジャラジャラという音に加えて何か引きずる音も聞こえた。音はこちらに近づいてくる。こんな緊急事態のタイミングにいきなり流れる異音に全員が警戒体制をとる。少しずつ距離が近くなる、それなのに足音が一切しないのがまた不気味だ。
そして遂にその正体が僕たちの前に現れる。ガチャリと器用にドアを開けるそれは人どころか生き物ですらなかった。
「な、なにあれ……」
「確か、ハジメの首輪だよな? JBがあげてたやつ」
「あーやっぱアレ動くんだ」
アナの言った通りだった。異音の正体は赤く光りジャラジャラと音をたてる鎖と、それに繋がれた首輪だった。犬はもちろん人も何も繋がっていない。手綱は誰にも握られていない。蛇のようにクネクネと動きながら前進し、ドアを器用に開けるその姿。
「こ、怖いんだけど!? あれ無人で動いてるし!」
「JBお前動くの知らんかったんか」
「知らねえよ! むしろジョセフはなんでそんなに冷静なんだよ!?」
「見たことあるし」
「あるんかい!」
赤い首輪は警戒する僕にも漫才をするJBとジョセフにも目もくれない。真っ直ぐにホワイト先生の方へ向かっていた。それは無機物であるはずなのに、確かな意思を感じる足取りだった。足ないけど。
「へえ……この首輪は素晴らしい。魔法製であるはずなのに天使様の力を感じる一品だ。ノー……いや、ドルレアックだったな。これ作ったのきみか?」
「……はい。俺っすよ」
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