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卒業パーティー前 〜宮殿内でも移動するのに護衛が付く王太子の浮気がバレないなんて物語は存在しない〜
41、王妃ミラリー主催のお茶会
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王妃ミラリーのお茶会は平日の午後に行われる訳だが。
お茶会の出席は貴族学校を「公休」で休む事が出来るのが絶対王制のアンドレーヌ王国である。
そんな訳で、平日の昼間っからドレスを着飾ってアンドレーヌ嬢は王妃ミラリーのお茶会に出席したのである。
何故か、王太子ハミルも同席して。
男は王太子ハミル1人のみである。
後は王妃ミラリーのご友人達とその娘達が勢揃いであった。
王太子のハミルが居るのに年頃のうら若き令嬢達が同席しているのはハミルの参加が直前に決まったからである。
男はハミル1人なのだから、ハミルからすればたまったものではない居心地の悪い空間な訳だったが。
本日は快晴だったが中庭のガゼボではなく、室内でお茶会は開かれていた。
「母上、どうして私までが呼ばれたのですか」
「王太子が婚約者をちゃんとエスコート出来てるかの確認よ」
嘘である。
本日この時間に「サバルス商会の会頭のすげ替えを決行する」のがハミルがお茶会に参加させられている真の理由である。
王太子ハミルの実力では嘘がつき通せないので、下手にその現場に乱入されると邪魔となるので。
事前に王妃ミラリーも国王カミルから事情を知らされていた訳だが、さすがは隣国の王室出身。ミラリーも嘘はお手の物だった。
「ちゃんとエルゼを大切にしていますが」
ハミルの何気ない言葉を聞いて王妃ミラリーはピクリとした。
息子が作り笑顔だったからだ。
つまりは嘘をついている訳だが、王妃ミラリーから言わせればハミルの嘘のつき方が分かりやす過ぎる。モロバレであった。
それでも婚約者のエルゼーシアや他の貴婦人達が居る前で注意する訳にも行かず、
「そうなの、エルゼちゃん?」
「はい、殿下には変わらずよくしていただいております。このネックレスも殿下にプレゼントされまして」
エルゼーシアは屈託なく笑ってノロケたのだった。
エルゼーシアの方は「嘘だ」とバレるような笑い方はしない。
完璧にハミルの婚約者を演じきっている。
因みにだが、前に王太子ハミルにプレゼントされた宝石には害になる毒は塗られていなかった。
茶会は進み、
「そう言えば、エルゼちゃんの夏休みの予定は?」
「事前に申請した通りに領地のカードレートの街へ行こうかと。殿下と結婚してアンゼル宮殿に入ったらもう気軽に向かえないと教えていただいたので」
そのエルゼーシアの言葉にも内心でハミルは引っ掛かっていた。
もう王太子妃になったつもりでいるのか、エルゼの奴?
図々しいにもほどがあるわ。
そのお陰でポーカーフェイスを保っているものの、ハミルの機嫌は更に悪くなり、それを母親の王妃ミラリーは完全に見抜いていた。
もしかして本当に子爵令嬢に入れ上げているの、ハミルは?
何を考えているのかしらね?
本当に死んじゃうわよ、その子爵令嬢?
そんな事を思いながらもエルゼーシアに、
「お土産はニハイス産の白真珠のネックレスでお願いね」
「大粒のですか? あれは少し下品かと・・・」
「いえいえ、中粒のロングネックレスよ」
「畏まりました」
と喋ってると、メイドが1人室内に入ってきて王妃ミラリーの耳許で何かを告げた。
既に国王カミルから聞かされており、予定調和だったので王妃ミラリーは平然としながらも、
「皆さんに教えておくわね。たった今、宮殿内で王家御用達のサバルス商会の会頭が税の過少申告で捕まったそうよ」
「あら、まあ」
「うちも気を付けないと」
貴婦人達が口々に言う中、エルゼーシアは「事前に知っていたのね、王妃陛下は」とお茶会が中庭でない理由を悟りながら、
「うちは文官が会計をやってるので大丈夫だそうですわ」
と答えたが、王太子ハミルは興味を覚えた。
(税関係でマリーハルケン公爵を失脚させる手もある訳か。いや無理か。そんなヘマをするような公爵じゃない。そもそもカードレート港には文官を大量送り込んでるからな。ならば冤罪で・・・いや、王家が高位貴族を冤罪に掛けて露見した時にリスクを考えると)
などとチラッと思った訳だが「ん、サバルス商会の会頭?」と遅蒔きに、
「宰相は知っているのですか?」
そう質問したのは王太子ハミルは宰相の隠し子が逮捕されたという会頭コンドルの嫁だと知っていたからだが。
「どうして宰相閣下の名をお出しになったのですか、ハミル殿下?」
エルゼーシアは素知らぬ顔で尋ねた。
(何だ、エルゼは知らぬのか? マリーハルケン公爵家も大した事ないな)
と内心で馬鹿にしたハミルな訳だが、エルゼーシアは当然、イーグルの母親が宰相ブラックスの隠し子である事を知っていた。
知っていて素知らぬ顔で質問していたのだから。
「いや、宰相とサバルス商会はズブズブだと聞いたものでな」
ハミルとしては隠し子の事を隠して上手く発言したつもりだろうが、王妃ミラリーから言わせれば「宰相の悪口を言ってどうするつもりよ? ああ、もう。100点満点で言えば20点よ、今の答えだと」という訳で、
「政策の主導が宰相なだけよ、ハミル」
ミラリーがそうフォローする破目になったのだった。
お茶会の出席は貴族学校を「公休」で休む事が出来るのが絶対王制のアンドレーヌ王国である。
そんな訳で、平日の昼間っからドレスを着飾ってアンドレーヌ嬢は王妃ミラリーのお茶会に出席したのである。
何故か、王太子ハミルも同席して。
男は王太子ハミル1人のみである。
後は王妃ミラリーのご友人達とその娘達が勢揃いであった。
王太子のハミルが居るのに年頃のうら若き令嬢達が同席しているのはハミルの参加が直前に決まったからである。
男はハミル1人なのだから、ハミルからすればたまったものではない居心地の悪い空間な訳だったが。
本日は快晴だったが中庭のガゼボではなく、室内でお茶会は開かれていた。
「母上、どうして私までが呼ばれたのですか」
「王太子が婚約者をちゃんとエスコート出来てるかの確認よ」
嘘である。
本日この時間に「サバルス商会の会頭のすげ替えを決行する」のがハミルがお茶会に参加させられている真の理由である。
王太子ハミルの実力では嘘がつき通せないので、下手にその現場に乱入されると邪魔となるので。
事前に王妃ミラリーも国王カミルから事情を知らされていた訳だが、さすがは隣国の王室出身。ミラリーも嘘はお手の物だった。
「ちゃんとエルゼを大切にしていますが」
ハミルの何気ない言葉を聞いて王妃ミラリーはピクリとした。
息子が作り笑顔だったからだ。
つまりは嘘をついている訳だが、王妃ミラリーから言わせればハミルの嘘のつき方が分かりやす過ぎる。モロバレであった。
それでも婚約者のエルゼーシアや他の貴婦人達が居る前で注意する訳にも行かず、
「そうなの、エルゼちゃん?」
「はい、殿下には変わらずよくしていただいております。このネックレスも殿下にプレゼントされまして」
エルゼーシアは屈託なく笑ってノロケたのだった。
エルゼーシアの方は「嘘だ」とバレるような笑い方はしない。
完璧にハミルの婚約者を演じきっている。
因みにだが、前に王太子ハミルにプレゼントされた宝石には害になる毒は塗られていなかった。
茶会は進み、
「そう言えば、エルゼちゃんの夏休みの予定は?」
「事前に申請した通りに領地のカードレートの街へ行こうかと。殿下と結婚してアンゼル宮殿に入ったらもう気軽に向かえないと教えていただいたので」
そのエルゼーシアの言葉にも内心でハミルは引っ掛かっていた。
もう王太子妃になったつもりでいるのか、エルゼの奴?
図々しいにもほどがあるわ。
そのお陰でポーカーフェイスを保っているものの、ハミルの機嫌は更に悪くなり、それを母親の王妃ミラリーは完全に見抜いていた。
もしかして本当に子爵令嬢に入れ上げているの、ハミルは?
何を考えているのかしらね?
本当に死んじゃうわよ、その子爵令嬢?
そんな事を思いながらもエルゼーシアに、
「お土産はニハイス産の白真珠のネックレスでお願いね」
「大粒のですか? あれは少し下品かと・・・」
「いえいえ、中粒のロングネックレスよ」
「畏まりました」
と喋ってると、メイドが1人室内に入ってきて王妃ミラリーの耳許で何かを告げた。
既に国王カミルから聞かされており、予定調和だったので王妃ミラリーは平然としながらも、
「皆さんに教えておくわね。たった今、宮殿内で王家御用達のサバルス商会の会頭が税の過少申告で捕まったそうよ」
「あら、まあ」
「うちも気を付けないと」
貴婦人達が口々に言う中、エルゼーシアは「事前に知っていたのね、王妃陛下は」とお茶会が中庭でない理由を悟りながら、
「うちは文官が会計をやってるので大丈夫だそうですわ」
と答えたが、王太子ハミルは興味を覚えた。
(税関係でマリーハルケン公爵を失脚させる手もある訳か。いや無理か。そんなヘマをするような公爵じゃない。そもそもカードレート港には文官を大量送り込んでるからな。ならば冤罪で・・・いや、王家が高位貴族を冤罪に掛けて露見した時にリスクを考えると)
などとチラッと思った訳だが「ん、サバルス商会の会頭?」と遅蒔きに、
「宰相は知っているのですか?」
そう質問したのは王太子ハミルは宰相の隠し子が逮捕されたという会頭コンドルの嫁だと知っていたからだが。
「どうして宰相閣下の名をお出しになったのですか、ハミル殿下?」
エルゼーシアは素知らぬ顔で尋ねた。
(何だ、エルゼは知らぬのか? マリーハルケン公爵家も大した事ないな)
と内心で馬鹿にしたハミルな訳だが、エルゼーシアは当然、イーグルの母親が宰相ブラックスの隠し子である事を知っていた。
知っていて素知らぬ顔で質問していたのだから。
「いや、宰相とサバルス商会はズブズブだと聞いたものでな」
ハミルとしては隠し子の事を隠して上手く発言したつもりだろうが、王妃ミラリーから言わせれば「宰相の悪口を言ってどうするつもりよ? ああ、もう。100点満点で言えば20点よ、今の答えだと」という訳で、
「政策の主導が宰相なだけよ、ハミル」
ミラリーがそうフォローする破目になったのだった。
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