スーパーおてんばプロレスの女神たち ~やさぐれ女社長☆プロフェッショナルへの未知(みち)に挑むの巻~

ちひろ

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スーパーおてんばプロレスよ、永遠(とわ)に

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 二分。いや、三分は経っただろうか。ジュリーとSAKIが、プロとして船出を始めたばかりのリング上で、にらみ合いを続けた。「本気で殺(や)ってやる」とでもいわんばかりのふたりのせめぎ合いに大きな拍手が巻き起こった。そんな拍手の渦に包まれながら、容子も美央もジュリーも、あ、それに安子までもが――。あばずれ日奈子のチルドレンがリングに結集した。
 おてんばプロレスの強みは、何といっても地域力であった。地域愛という栄養を吸収しながら、すくすくと育ってきた団体。しかも、おてんば女子大学(=学生)と、おてんば企画(=社会人)という、ふたつの可能性をドッキングさせたことが、とてつもないパワーを呼び覚ましていたのである。
 ジュリーがマイクをつかんだ。興奮しているのか、「はぁはぁ」という軽い息づかい。
 「あのー‥‥あの、突然出てきてしまいましたが、ひとこといわせてもらってもいいですか。皆さんご承知のように、私は男子です。本物の女子じゃないということは、この際だからいっておきますけど、女子プロレスのことだけは、真剣に愛しています。一時は女子プロレスと結婚したいなんて、そんなことまで思っていました。本気で――本気でそう思っていたのです。だからって、すぐにプロになれるなんて思ってはいないけど‥‥。
 でもね、今は心の底からプロになりたいの。私、女子プロレスと心中してもいい! お願いだから、私たちの夢を叶えて」という大絶叫に、雪崩のような拍手が巻き起こった。
 スーパーおてんばプロレスのセンターとして、「私がやるしかないわ」という想いを見せつけるジュリー。かつてはタイのバンコクおてんばプロレスで、しのぎを削り合ったSAKIは「待っていたぜ、あんたとの対戦をよ」という想いを込めて、大きな大きな、本当に大きな雌(め)叫びをあげるのであった。
 「ウッホウホウホウッホ―ホ」。
 レディーコングSAKIという永遠のライバルを前に、ジュリーの胸は高鳴った。ホンネをいえば、SAKIという大戦友のことが好きで好きでたまらない――それがジュリーの偽らざる想いであった。
 本格的なプロとしての歩みを刻み始めた、おてんばプロレス。女子プロレス界のレジェンドでもある花形の発案により、団体名は「スーパーおてんばプロレス」に改められた。
 「あら、だったら私も改名しようかしら。プレジデント日奈子改めプリンセス日奈子よ」なんていっているが、全員の猛反対に遭い、ものの十秒で却下された。
 社長レスラーのプレジデント日奈子がいる。男の娘(こ)レスラーのジュリーがいる。元気印のジャッキー美央がいる。若きエースの稲辺容子がいる。パワーファイターのファイヤー松本がいる。赤毛のアン子(安子)がいる。容子の妹の隆子もいる。吹けば飛ぶような弱小団体でしかなかったが、選手ひとりひとりの瞳の奥には輝く未来が映し出されているのであった。
 この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。迷わず行けよ、行けばわかるさ。スーパーおてんばプロレス。プロフェッショナルの未知(みち)へ。それは女子プロレスならではの美しさが見えてくる、まさに美知(みち)との出会いでもあった。
 社長の日奈子が「よっしゃ~。未来へ向かって闘うわよ」と前置きをしながら、「We are スーパーおてんばプロレス!」と吠えた。いいぞー、やれやれ。もっとやれ。女子プロレス界の台風の目、スーパーおてんばプロレス。
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