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イギニス人の気質

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 ペーランドで出会った、イギニス全権大使チャールス。彼はポトポトへ帰る俺たちに、しれっと後をついてきた。

 せっかくだし、歩きながらイギニスの話を聞いてみるか。

「……イギニス連合王国といったな。どういった国なのか知りたい。」

「ンッンー!素晴らしい態度ォ!ぜひお互いの理解を深めましょうッ!」

「イギニスは島国で、長い間他国と隔絶しておりました。ソデザベス女王陛下はそんな我が国を、海運国家として育て上げ、国力をウナギのぼーりーにしています!」

「……ソデザベス女王、なるほど、それが指導者の名か。力の源は、貿易か?」

「えぇ!流石機人さま、とてもお察しがいい!オーマやムンゴルで産出する物資は、その場の価値ではハナクソみたいな値段ですがッ!」

「必要とする場所ィに持って行けば、何倍にも跳ね上がりますッ!」

「……例えばムンゴルであれば火薬の材料といった具合にか」

「ンッンー!機人さまは、1を知れば10を知るお方だ!イギニスの友邦にふさわしいお方ですな!」

 ふーん、島国で貿易国家かぁ。結構な海軍力を持って居るんだろうな。迫撃砲でいじめたマルダの海軍とは、比較にならないものを持って居そうだ。

 いやはや、イギニスになってから、いきなり国家としての、規模感が増したね?

「……しかし、イギニスはポトポトに何を求める?いってはなんだが、ポトポトは、いまさっきできたばかりのような村で、ロクなもんがないぞ」

「ンッンー!!あるじゃあないですか!機人様という!唯一無二がッ!!!!」

 キャーエッチ!!私の体が目当てだったのね!!
 ……いや、こんなアーマードでコアなボディに欲情するやつがいてたまるか。
 そんなのは、体が闘争を求めるような、焼け野原な人くらいだろう。

 妥当な線は、圧倒的武力を持つ機人、それを知ったイギニス。
 それと関係をもって、何か当座の問題を解決したい。
 
 そう考えるのが妥当だな。

 だが、すぐにそれを切り出さないあたり、まだ見定めているか?
 いいだろう、こっちもそっちを見定めたい。
 そのための大使館だな?

 俺たちがポトポトに帰ってくると、夜になっていた。
 そしてまた、変化が起きてた。T-Wallの城壁、あれが見る影もなくなっている。
 いや、正確に言うと、なくなってはいないか。がっつり改造されてるのだ。

 ドワーフ達は、出発前にプリミティブのキューブをねだっていたので、しこたま作って置いて行ったのだ。
 きっとなにかの建築に使うんだろうなーと、軽く考えてたのだが……。

 ただ並べてつなげただけだったT-Wallが、なんかちょっと近未来な、厚みのある城壁になっている。

 ドワーフもちゃんと頭おかしいな?エルフが特殊部隊なら、ドワーフは工兵隊か?
 やっぱあいつらもスーパーなミュータントの仲間なんじゃ……。

「ンッンー!素晴らしい城壁ですな!まるで無駄が無い!」
「これこそが城壁です。イギニスの城壁は、旗や明かりを点けて、店のようです」

 ――機人は知る由もないが、これはイギニス人の典型的ディスりである。
 つまりチャールスの真意は、このようなものとなる。
(……とても殺風景すぎて住めたもんじゃねえな、鉄の体に美醜は解らんか?)
 そう!イギニスは、表向きは礼儀を保つが、とても失礼な事を考えるのである!

「……今は身を守れれば良い。どうせ町がもっと大きくなれば、壊す壁だ。」

「ほう!機人様は、まだ先をお見据えでしたか」

 ポトポトの中に入ったチャールスは、豆腐ハウスと訓練場、炉、あとは畑の並ぶ中を見た。それは街とは呼べず、村というにはあまりにも雑だった。
 あまりにも雑で、適当すぎた。

「何も無さ過ぎて、いっそ清々しいまであるか?いや、ねえな。」
(のどかで素晴らしい土地ですね)

 パァン!と小気味良い、ローキックの音。それがポトポトの夜を彩った。
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