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第20話
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仕事を終えて一息つく。店の経営も順調な形に戻ってオーナーの機嫌もいい。
例の「ライバル店」はもはや存在せず、ちまたでは「謎の閉店」として一時話題になった。
美和ちゃんが荷物を抱えながらやってくる。
「店長、高倉様宛の荷物もう送りますか?」
「待って、私が包装するし。展示会の案内も入れるから」
「分かりました」
法外なサービス続ける優良店は消えてなじみのお客さんも姿を見せるようになった。
今月からオーナーは私を正式な「店長」に指名し、待遇と同時に責任も大きくなった。
仕事に関しては前途洋々で不安はないと言える。しかし……
コール音一回で槇岡は出た。
「どうだった? 莉奈から返事来た?」
「ダメだ。既読にはなってるが」
あれから二人の間で時間を置こうという話にはなった。
莉奈のマンションは知らぬ間に家財道具も引き払われて行方知れずになっていたという。
私や槇岡の電話にも出ない。
根負けするまでメールを送り続けていると「もう連絡しないで」とだけ返信が返ってきた。
無事なのは確かなようだが、まだ関係の修復は難しそうだった。
莉奈の友人の話だと東京を引き払って地方にいるとのことだった。
「だいじょうぶだ。後は時間が解決する」
「…………」
「もう莉奈も亜矢から離れて独り立ちしていい頃だ。ちょうどいい機会にもなる。一回り大人になって帰ってくるさ」
「……そう思いたいわ」
槇岡は私が仕事を続けるのに異存はなかった。
援助めいたことを口にしたこともあったが、妨害をゆるさなかったように槇岡からの援助も拒否した。不自然な形で発展させるのではなく、自分の実力で店は盛り立てていきたい。それが私なりの目標だった。
「なら代わり一つだけ願いを聞いてほしい」
槇岡は言った。
「何?」
「婚約指輪を付けて働いてくれ。お客に誘惑されたらかなわない」
「あんたがそれ言うわけ?」
思わず笑ってしまった。なんでもないことだが迷った。
言うまでもなく莉奈だ。ほんとに婚約指輪を付けるとなると……
「式はやらなくてもいい。生活も今までと同じでいい。ただ籍だけ入れてほしい」
「…………」
もう舵は切ってしまってる。
莉奈が許してくれるかどうか分からないけど。もう後戻りできない。
道は前にしかない。槇岡と二人で進む道しか。
私は提案を受け入れた。
日常生活は変わらない。
ただ戸籍上の名字は変わり薬指に誰かに所有されている証を付けた。
「結婚の記念に旅行に行こう」と槇岡は誘う。
海外でもどこでも行けたが仕事もある。
本格的な新婚旅行は先延ばししていい。
まず小旅行として北海道の別荘にスキーに行こうと話になった。
飛行機のファーストクラスを取るという槇岡に、二人で長旅を楽しみたいと新幹線を頼んだ。
なおも連絡が取れない莉奈に籍を入れたこと、そして旅行を計画してることはメールをしておいた。
旅行の日取りが近づくといろいろと考えた挙句、再び莉奈に手紙を書いた。
自分なりのけじめ。莉奈の友達に託すつもりだった。
まず謝罪の言葉を記した後で、本気で槇岡を愛し、将来は家族として暮らしていきたいこと、当分の間は今までと同じ生活をおくること、形だけの新婚旅行すること、そして莉奈にも戻ってきてほしいことを記した。迷った末に最後に付け加える。
「わたしたちは三人とも血はつながってない。それでもみな家族と思ってる。
この世でたった一人の妹として戻ってきたください」
仕事を終えて一息つく。店の経営も順調な形に戻ってオーナーの機嫌もいい。
例の「ライバル店」はもはや存在せず、ちまたでは「謎の閉店」として一時話題になった。
美和ちゃんが荷物を抱えながらやってくる。
「店長、高倉様宛の荷物もう送りますか?」
「待って、私が包装するし。展示会の案内も入れるから」
「分かりました」
法外なサービス続ける優良店は消えてなじみのお客さんも姿を見せるようになった。
今月からオーナーは私を正式な「店長」に指名し、待遇と同時に責任も大きくなった。
仕事に関しては前途洋々で不安はないと言える。しかし……
コール音一回で槇岡は出た。
「どうだった? 莉奈から返事来た?」
「ダメだ。既読にはなってるが」
あれから二人の間で時間を置こうという話にはなった。
莉奈のマンションは知らぬ間に家財道具も引き払われて行方知れずになっていたという。
私や槇岡の電話にも出ない。
根負けするまでメールを送り続けていると「もう連絡しないで」とだけ返信が返ってきた。
無事なのは確かなようだが、まだ関係の修復は難しそうだった。
莉奈の友人の話だと東京を引き払って地方にいるとのことだった。
「だいじょうぶだ。後は時間が解決する」
「…………」
「もう莉奈も亜矢から離れて独り立ちしていい頃だ。ちょうどいい機会にもなる。一回り大人になって帰ってくるさ」
「……そう思いたいわ」
槇岡は私が仕事を続けるのに異存はなかった。
援助めいたことを口にしたこともあったが、妨害をゆるさなかったように槇岡からの援助も拒否した。不自然な形で発展させるのではなく、自分の実力で店は盛り立てていきたい。それが私なりの目標だった。
「なら代わり一つだけ願いを聞いてほしい」
槇岡は言った。
「何?」
「婚約指輪を付けて働いてくれ。お客に誘惑されたらかなわない」
「あんたがそれ言うわけ?」
思わず笑ってしまった。なんでもないことだが迷った。
言うまでもなく莉奈だ。ほんとに婚約指輪を付けるとなると……
「式はやらなくてもいい。生活も今までと同じでいい。ただ籍だけ入れてほしい」
「…………」
もう舵は切ってしまってる。
莉奈が許してくれるかどうか分からないけど。もう後戻りできない。
道は前にしかない。槇岡と二人で進む道しか。
私は提案を受け入れた。
日常生活は変わらない。
ただ戸籍上の名字は変わり薬指に誰かに所有されている証を付けた。
「結婚の記念に旅行に行こう」と槇岡は誘う。
海外でもどこでも行けたが仕事もある。
本格的な新婚旅行は先延ばししていい。
まず小旅行として北海道の別荘にスキーに行こうと話になった。
飛行機のファーストクラスを取るという槇岡に、二人で長旅を楽しみたいと新幹線を頼んだ。
なおも連絡が取れない莉奈に籍を入れたこと、そして旅行を計画してることはメールをしておいた。
旅行の日取りが近づくといろいろと考えた挙句、再び莉奈に手紙を書いた。
自分なりのけじめ。莉奈の友達に託すつもりだった。
まず謝罪の言葉を記した後で、本気で槇岡を愛し、将来は家族として暮らしていきたいこと、当分の間は今までと同じ生活をおくること、形だけの新婚旅行すること、そして莉奈にも戻ってきてほしいことを記した。迷った末に最後に付け加える。
「わたしたちは三人とも血はつながってない。それでもみな家族と思ってる。
この世でたった一人の妹として戻ってきたください」
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